« バイロイト音楽祭2004 | トップページ | 焼肉製作所の試食 »

2005年7月20日 (水)

バイロイト音楽祭2004

だんだんと進歩してきたことは、
ラインの黄金を聞いて、面白いと感じるようになったのだ。
音楽はたいへんに美しいが、
話の内容はというと複雑で入ってきにくい。
神々と巨人族、神々とニーベルング族、
さらにはラインの乙女たちとニーベルング族(アルベリヒ)
そうした対立関係が、場面を変えて展開される。
ラインの黄金は、ワルキューレ以降の物語の
発端ともいうべき、なぜこうなったのか、というのが、
丁寧に細かく描き出されていく。
ワーグナーにとって、説明すべきことは多すぎて、
それが少々詰め込みすぎのように、
完全に言い尽くされていくのだ。
音楽を聞く方にとっては、内容が非常に多様である。
しかしそれを面白いと感じるようになったのは、
話の展開と音楽がやっと結びついてきて、
ワーグナーが表現した極めて必然的でもある
緻密にして同時に劇的でもある舞台設計を
そこに感じられるようになったのだ。
そうなるとラインの黄金は面白くて仕方ない。
なんと素晴らしい作品だ。
研きぬかれて、全く隙がない。
ワルキューレ、ジークフリート、神々の黄昏へと
その充実度と高揚感は、それは圧倒的なものだが、
そこに展開される人間関係はむしろ単純でもあり、
話の方向性も明確に示されている。
実は意外に、一番わかりにくいのがラインの黄金であった。
しかしその謎がひとつひとつ解き明かされてきて、
突然に輝きだしたのだ。

そんなことを考えつつ、ワルキューレを聞きはじめ、
第1幕を聞いたのだが、やはり感動的である。
文句なしに。この陶酔感は他には存在しない。
毎年のことだが、この第1幕の終わりで
バイロイト祝祭劇場は異常な盛り上がりに包まれる。
こんなに直接的に高まった感情が共有されることもないであろう。
ニーベルングの指環の物語の高まりは、もっとずっと後のことだが、
感情的な興奮の頂点はここにあるのかもしれない。
というのも、ジークムントとジークリンデの出会いにより
ジークフリートという英雄が生まれるのである。
まさにそのすべてが集約される瞬間にいま立ち会っているのだ。

|

« バイロイト音楽祭2004 | トップページ | 焼肉製作所の試食 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121598/5070307

この記事へのトラックバック一覧です: バイロイト音楽祭2004:

« バイロイト音楽祭2004 | トップページ | 焼肉製作所の試食 »