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2005年10月 3日 (月)

ハンガリー放送交響楽団2005/2006

昨日の続きでハンガリー放送交響楽団の演奏会。
まずは9月26日のバルトーク没後60周年記念演奏会から
プログラムの前半に演奏された
バルトークのピアノ協奏曲第3番。
ピアノがデジュー・ラーンキである。
ラーンキは1980年代にはスーパースターだったようだが、
現在はあまり活躍の情報が伝わってきていない気がするし、
アンドラーシュ・シフやゾルターン・コチシュに比べて、
一歩後退してしまったような印象もあったのだが、
ハンガリーにアクセスすることにより、
再び演奏を聞くことができた。
世界中で距離感がなくなってきているけれど、
しかしそれにしてもインターネットにつなげばいいという
やはり不思議な感覚である。
バルトーク・ラジオに注意していれば、
きっとこれからもラーンキの最新の演奏に出会えることであろう。
ラーンキのバルトークは、すごく自然な呼吸で、
余計な力が全く入っていないというさすがの演奏であった。
バルトークの音楽と格闘しているという部分がなく、
ごくそれが当たり前のように、体の中から湧き出てきたかのような
こういう気持ちで聞けるバルトークはあまり聞いてこなかったので、
今回たいへんに喜びをかみしめながら聞かせてもらった。
その辺のことについては、同様のことが
アダム・フィッシャーの指揮についてもいえると思う。
ハンガリー人にとって、やはりバルトークの音楽は、
特別な深いつながりを感じながら演奏しているのであろう。

そして9月29日の演奏会。
冒頭はリゲティの「ロンターノ」。
すでに現代音楽の古典ともいうべき、
20世紀を代表するような作品である。
ハンガリーの人々にとって、
こうした作品が自国から生まれたことが誇りであるに違いない。
アダム・フィッシャーもはじまりのこの場面にこの作品をもってきた。
以前、イヴァン・フィッシャーが2000年のN響定期公演に出演した際にも、
もう一方の代表作「アトモスフェール」が取り上げられていたが、
リゲティという作曲家が彼らにとって、いかに重要な作曲家であるか、
そしてこれらの作品を、機会を見つけては取り上げたいという
そうしたメッセージが何となく伝わってくるのだが、どうだろうか?
しかしいつ聞いてもすごい作品である。
音楽が一種の騒音ともいうべきものへと向かっていくが、
しかしその果てにあるもの、それは究極の調和でもあるように感じられ、
そこには安息があり、輝きの光に満たされ、
東洋の日本にいて、神の存在と無縁に暮らす私のような人間にとっては、
西洋の人々は、ここに神を感じ取っているのではないか、
といった、そんなことも考えさせられる
透明で清らかな響きが生み出されるのである。

続いてバルトークの「中国の不思議な役人」組曲。
かなり野蛮な感じの思い切ったリズム感に驚かされた。
これについては、オーケストラの一人一人にいたるまで、
きっと独特のリズム感覚が共有されているのであろう。
豪快な盛り上げに興奮した。
アダム・フィッシャーの唸り声と思われる音も収録されており、
音楽にあわせて、かなり力のこもった指揮振りが想像され、
なかなか素晴らしいライブだ!カッコいい!
前半から聴衆も熱狂している。
だと思う。これだけの迫力の演奏ならば。

後半はマーラーの交響曲第1番「巨人」。
バルトークではよかったのだが、
マーラーだと、もう少し精妙な弱音がほしいところで、
しかし生中継のライブだし、このいきいきとまっすぐなところを
私はいつも積極的に聞いて、プラスに受け取っている。
しかしオーケストラが変われば、アダム・フィッシャーの指揮も
きっと変わるであろう。というのは、正直感じた。
ここで何を引き出すべきか、それによって演奏会がうまくいく、
というのが、アダム・フィッシャーには見えていて、
焦点を明確に絞って、オーケストラをまとめているというのを感じる。
ハンガリー放送交響楽団は、今後アダム・フィッシャーと共演を重ね、
それできっと、ずいぶん変わっていくであろう。
今後の方向性や課題も見えていて、一つずつクリアされていくと思う。
その過程をバルトーク・ラジオのライブで追うことができれば、
それは素晴らしい。楽しみに期待している。

Bartok Radio MP3

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