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2005年12月22日 (木)

クリストフ・エッシェンバッハ

エッシェンバッハの大ファンである私にとっては、
バルトーク「管弦楽のための協奏曲」は待望のディスクだが、
今回は音楽監督を務めているフィラデルフィア管弦楽団との
はじめての録音であり、ますます注目である。

「管弦楽のための協奏曲」への導入として
どういうカップリングがなされるのか、
その選曲が非常に興味深く、聞いてみるとますます感動的である。
ギデオン・クラインという作曲家の作品が収められているが、
最初にこのディスクの案内を見たときは、
知らない名前だったので、現代音楽かと思ったが、
チェコのユダヤ人作曲家であり、
収容所に送られ25歳で亡くなったそうである。
この「弦楽のためのパルティータ」は、
収容所生活の中で生み出された作品だそうだ。
マルティヌーの交響詩「リディツェ追悼」は、
チェコフィルのプログラムにはたまに載っているので知っていたが、
きちんと聞くのは今回がやはり初めてで、この作品もまた、
ナチスの迫害を受けたリディツェという村への追悼の作品である。
透明感のある美しい音楽で、そこに込められた深い悲しみや
明るい希望を取り戻したいという強い意志や
作曲者の思いが伝わる緊張感の高い作品で心に迫るものがある。
第二次世界大戦中にアメリカへ亡命したバルトークにちなんで、
(「管弦楽のための協奏曲」はそのアメリカ時代の最高傑作である)
関連性のある作品ばかりが集められているが、
そして同時にマルティヌーもクラインも非常に民族性の強い音楽で
バルトークの作品と並べたときに不思議なぐらいに溶け込んで、
その調和のとれた全体構成にも驚かされた。

エッシェンバッハ自身も戦争孤児であり、
幼年期に非常に苦労をしたという記事を読んだことがあるが、
エッシェンバッハが指揮者として認められたのが、
アメリカのヒューストン交響楽団においてであり、
その後ハンブルクやパリを中心に
ヨーロッパにおいてもスター指揮者の座に上り詰めて、
今回再びアメリカでフィラデルフィア管弦楽団との活動をはじめ、
最初にレコーディングしたのがバルトークというのも
これはエッシェンバッハの強いメッセージなのかもしれない。
マルティヌーの作品もギデオン・クラインの作品も
バルトークの音楽に深く共通性を見出すことができ、
そしてエッシェンバッハ自身もまたアメリカを通して
ここでバルトークへのアプローチを試みているのである。
心から素晴らしいディスクである。

ONDINE ODE 1072-5

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コメント

このディスク大好きで毎晩聞いております。
待望のディスクですね。
おっしゃるとおり、前半の二曲がこれまた素晴らしく、
ディスクトータルで、一つの曲を聴いているかのような統一感です。
オケコンは、ともかく美しく、感動的で
よくありがちな、機能的な演奏とは一線を隠すものに
なっていると思います。
わたしも、エッシェンバッハが大好きです。
今後とも応援していきます!

投稿: DJK | 2005年12月22日 (木) 21:36

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