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2006年1月21日 (土)

第1383回N響定期公演

1999年6月のN響定期公演には、
大植英次、上岡敏之、大勝秀也という
3人の指揮者が登場した。
「海外で活躍する日本人指揮者」ということだったか?
その演奏から、第1382回の大植英次指揮で
ベートーヴェンのピアノ協奏曲 第4番(イヴァン・モラヴェツ)
第1383回の上岡敏之指揮で
プロコフィエフのピアノ協奏曲 第3番(ミシェル・ベロフ)
の録音が残っている。
今となってみれば、非常に残念なのだが、これしかない。
特に第1382回の大植英次が指揮する
ブラームスの交響曲第1番は録音すればよかった。
現在は世界で活躍し、注目を集める大植英次だが、
正直な話、まだこの頃には、私はあまりよく知らなかった。
時期的にはハノーバーでの活動を開始しているが、
ミネソタ交響楽団を率いて来日公演を行ったりしていたのは、
もっと昔の話だろうか?ということは、知ってはいたのだけれど。

第1383回定期公演に登場したソリストのミシェル・ベロフ。
ベロフは私にとっては注目の存在である。
どうやらペーテル・ヤブロンスキーの代役だったらしい。
ミシェル・ベロフといえば、ドビュッシーやメシアンの演奏で有名であり、
それらが最高の名演にも数えられているピアニストである。
しかし1980年代半ばあたりから1993年とか94年とか、
そのあたりまで?右手の故障で、左手のみによる演奏を行っていた。
1995年のロンドンでのブーレーズ・フェスティバル(ブーレーズ70歳記念)で
ポリーニの代役でベロフがバルトークの第2番を弾いたというニュースで
そのときベロフの両手での活動の再開を知ったように記憶している。
その後、ドビュッシーのピアノ独奏曲全曲録音を行って、
1996年の来日公演では、私も紀尾井ホールに聞きに行った。
しかし正直なところ、レコードで聞く非常に完成度の高い演奏と
実演でのちょっと厳しい危うい演奏の間には、何か違いがあって、
右手の故障がどこまで影響しているのか、それはわからないが、
後半疲労が来る頃に自身が目指す音楽に指が付いていけていない
というような様子も伺えた。
かつてのようには自由でなくなって、
さらには無理もきかなくなっている
というのがこちらに伝わってくるのは、やはりつらいこと。
もはや若い頃のような、圧倒的に鮮やかな演奏はできないのかと
かなり心配していたのだが、ここでは協奏曲であり、
それもプロコフィエフを弾いているのだけれど、印象はずっといい。
ベロフは1970年代にプロコフィエフの協奏曲全集を録音しているので、
得意の作品といってもいいのかもしれないが、
ここでの演奏では、それまで感じていた不安感みたいなものは消えて、
音楽の躍動感も盛り上がりも決してピアノが落ちないのでよかった。
聞く人が聞けば、やはり多少不安定な部分もあるかもしれないけれど、
音楽作りの点では、さすがにセンス抜群というか、私は好きだ。
リズムの切れや鋭さは、完璧ではないのかもしれないけれど、
そこで作り上げられていく音楽は、技巧を超えた魅力であふれている。
かつて驚異的な技巧を誇った人なだけに
現在では思うようにいかないテクニックに苦しんでいるのかもしれないけれど、
ベロフの中にある音楽は、今も全く昔の輝きを失ってはいない。
深みやより弾力性をも獲得しているので、
これからもベロフの魅力的な演奏を聞き続けたいものである。

CDR194/195

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