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2006年5月10日 (水)

アルフレッド・ブレンデル 3

シューマンの交響的練習曲というと
ポリーニ、アシュケナージ、アンドラーシュ・シフ、
それに歴史に残る名演は、スヴャトスラフ・リヒテル、
いろいろ思い浮かぶのだが、
私がはじめて聞いた演奏というのが、
ブレンデルがウィーン芸術週間で弾いたライブだった。
いつの演奏なのか、いまでは確認のしようがないのだけれど、
とにかく昔のことで、私が中学生だったか、
すでに高校生になっていたか?その頃のこと。
現在ではすごく不思議だけど、FM東京で夕方の時間帯に、
特別番組で放送されて、急いで帰ってきて聞いたのだ。
ブレンデルが変奏曲プログラムに取り組んでいた時期であり、
おそらく1980年代後半のことだと思う。
そのときに放送されたのが、
ベートーヴェンの創作主題による6つの変奏曲 作品34
そしてシューマンの交響的練習曲であった。
改めていうまでもなく、交響的練習曲は素晴らしい名曲だけれど、
そのときのブレンデルの圧倒的迫力による音楽の輝き、
聴衆を力強く引っ張っていく緊張感、集中力、
とにかく驚異的な充実度に私は唖然としてしまったのだが、
大好きな交響的練習曲との付き合いはそこにはじまる。

その後、期待は現実となり、
このときのベートーヴェンとシューマンの組み合わせで
ブレンデルのCDが発売された。
「主題と変奏Ⅱ(1990年7月録音)」である。
このCDを聞くとブレンデルは非常に表情豊かな演奏で、
ひとつひとつの音に意味を求め、
細部までじっくりと表現を作りこんでいくという、
音楽もピアノの音色もとにかく濃厚(高密度)であり、
この時期のブレンデルは、表現の中に
最も自分の存在を主張していたようにも思われる。
この時期からベートーヴェンのソナタ全曲録音のあたりか。
昔のブレンデルの演奏(1960年代~70年代?)は、
型にはまっているとか、まじめすぎるとか、
話に聞くと、来日してもちっとも客が入らなかったとか、
今では信じられないような話だけど、
しかしシューマンなどでも古い演奏を聞くと
その律儀な性格、音楽に対する真摯な姿勢ゆえにか、
それほどには色彩的な響きではなくて、
爽やかな印象だったりもする。
その後、1980年代後半から90年代半ばあたりまでが、
ここに聞けるような、ブレンデルの強い個性に満ちた
暖かく、鮮やかに、深く濃密な音楽が聞ける時期であり、
そしてその後は、近年のモーツァルト演奏のように
自分の存在は一歩引き下がって、
自然な表情と音楽の流れを大切にする、
透明感と洗練された響きに満たされた
現在のブレンデルへと変化していくのだ。

PHILIPS 432 093-2

「アルフレッド・ブレンデル」に関する記述はホームページにもございます
http://homepage3.nifty.com/tsukimura/

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