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2006年5月 3日 (水)

ルイス・カーン

20060503

映画「マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して」を観てきた。
世界的建築家ルイス・カーンの生涯、作品をたどるドキュメンタリーである。

友人に誘われて、詳しいこともよくわからずに、
ルイス・カーンについてだとは聞いていたのだけれど、
朝の10時に渋谷に行くのはちょっときついな…
とは正直思いつつ、しかし早起きをして、観に行ってきた。
それが感動的だったのだ。素晴らしい作品。
なぜかいまの私には、精神面における深いところで共鳴するものがあり、
観てよかったと思う。声をかけてくれた友人に心から感謝。

ルイス・カーンの激動の人生。
三人の女性を愛し、三人の別の母をもつ子供をもうけたこと、
それに共鳴したというのではない。
自らの建築、芸術に没頭するあまり、家族を顧みなかった。
家族の生活を犠牲にして、そこまでして自らの建築を貫いた。
そこに共鳴したわけでもない。

ルイス・カーンは1974年、ニューヨークのペンシルバニア駅で
身元不明のまま、死んだ。73歳。
そのとき、カーンに息子がいるなんて、誰も知らなかった。
カーンの2番目の愛人との間に生まれた息子ナサニエル・カーンが、
父の作品を訪ね、父のことを知る人に聞き、父を知るための旅に出る。

ルイス・カーンは自らの建築に妥協なく、
厳しく苦しい逆境に耐え、作品の数は少ないが、
歴史に残る偉大な作品を残した。
ルイス・カーンの名前はもちろん知っている。
昔からよく知っている。
しかし特に興味があったわけでもないし、
作品について調べたことがあるわけでもない。
だけど、ここに登場する作品は、どれもみなよく知っていた。
それがルイス・カーンの建築界への影響力であり、
歴史に残る偉大さなのである。
ソーク生物学研究所、キンベル美術館、
ノーマン・フィッシャー邸などは私のかなり好きな建築だが、
それ以外のすべての作品を好きというわけではない。
しかしルイス・カーンの建築家としての生き方、
建築に対する姿勢、情熱、哲学、…、感動的だった。
この映画で、ルイス・カーンという建築家に初めて出会えた気がする。
心にしみた。教えられた。そしていろんなことを思い出した。

ナサニエル・カーンのここでの最後の旅、
バングラデシュの国会議事堂を訪ね、
地元の建築家がナサニエルに父のことを話す。

あなたは愛情を与えてもらえなかったかもしれない。
しかしバングラデシュの我々みんなは
ルイス・カーンから多くの愛情をもらいました。
深く感謝しているのです。
命を犠牲にして、我々の国のために力を注いでくれました。

なんと偉大なことであろう。
建築というものが人々にここまでの影響を与えられるなんて。
感動で胸がいっぱいになり、涙が止まらなかった。

本当に素晴らしい映画である。
建築関係の方はもちろんのこと、多くの方にぜひ観ていただきたい。
渋谷のQ-AX CINEMA(http://www.q-ax.com/)で上映されています。
「マイ・アーキテクト」公式サイト:http://www.myarchitect.jp/

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