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2006年6月14日 (水)

岩城宏之 死去

6月13日に指揮者の岩城宏之が亡くなった。
今日はN響の定期公演だったのだが、
N響正指揮者として長年活躍した岩城宏之に
演奏会の冒頭、バッハのアリアが献奏された。
その美しさもあって、深い悲しみに包まれる。
日本の戦後の音楽界で常に先頭に立って、
最も重要な存在として、偉大な業績を成し遂げてきた。

日本のオーケストラをここまで鍛え上げてきた
そして膨大な数に及ぶ現代音楽の初演を行っている、など
岩城宏之の仕事ぶりは多く語られているが、
もうひとつ、エッセイなどの文筆活動も印象的である。
というのは、私がまだ中学生だった頃、
音楽に興味をもちはじめた時期に
岩城宏之のエッセイ集を読んで、
ルービンシュタインやリヒテル、カラヤンなど、
偉大な巨匠たちの芸術についてはもちろんのこと、
そして同時に生身の人間としての一面について、
岩城宏之はいろいろと知識や思い出を披露してくれた。
それによって、音楽や演奏家に対し、
より身近な存在として親しみを感じつつ、
音楽との距離感を一気に縮めてくれたと思う。

今年の秋にはN響の定期公演への出演も決まっていた。
N響創立80周年として、外山雄三、若杉弘、そして岩城宏之という
N響正指揮者であり、日本を代表する彼らがそろって出演するという、
素晴らしい企画が用意されていたのである。
特に岩城宏之は、武満徹、黛敏郎、
そしてストラヴィンスキーの「春の祭典」を取り上げるという、
最高のプログラムであり、私は楽しみにしていたのだ。
そしてN響横浜定期演奏会もまた、
岩城宏之の指揮により同じプログラムで開かれるということなので、
ぜひ聞きたいと思って、気にしていたのである。
何とも残念だ。突然の死とはいえないのかもしれないが、
日本の音楽界における巨大な存在を失い、
これは大きなことであると思う。

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コメント

一昨年だったかな、黛敏郎さんの曼荼羅交響曲のピアノパートを頼まれたのですが、忙しかったので友達にやってもらったところ、岩城さんは練習の時にそれはもう厳しかったと、半べそかいていました。
これで最後かもしれないと思われていたのでしょうか。
ご冥福を祈ります。

投稿: yukaris | 2006年6月16日 (金) 19:23

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