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2006年7月15日 (土)

ロンドン交響楽団2005/2006

ベルナルト・ハイティンクとロンドン交響楽団による
今シーズンのベートーヴェン・チクルスから
交響曲第3番「英雄」と「レオノーレ」序曲第2番のライブ盤。
今回のこのシリーズは、ハイティンクの新しい展開というか、
今を聞くという新鮮さが特長のように思えるのだが、
「英雄」にしてやっと、まさにハイティンクらしい
腰の低いどっしりとした響きと雄大な音楽作りで実に素晴らしい!
「英雄」に関しては、最近の新解釈による積極的な演奏だと、
とにかく速いテンポで突き進むというのが増えているのだが、
ハイティンクは自分らしさを失わずに
これまで積み上げてきた演奏スタイルを重んじて、
ここで感じられる安心感や信頼の響きはやはり大切である。
しかしティンパニが非常によく聞こえて、
ここでもリズムの扱いが音楽に大きな役割を果たしているのだけれど、
その辺は、ハイティンクも近年のベートーヴェン解釈の傾向を
熱心に研究しているのであり、よいものは積極的に取り入れるという
明瞭に聞こえてくる緻密なアンサンブルもあるけれど、
ここは21世紀のハイティンク、まさに現在を感じ、魅力であろう。
細部まで非常に丁寧に配慮が行き届いて、クリアに聞こえてくる部分と
一方で重厚な存在感、まさに深みと濃密さによる内面からの迫力、
これらが不思議な一体感をなし、バランス感覚が見事なのだが、
この辺はやはり、ハイティンクの経験と熟練の技であるに違いない。
「英雄」などは特に、ハイティンクはこれまで数え切れないぐらいに
多くの場で指揮してきていると思うのだが、
それらすべての偉大な業績の上に
この演奏が存在しているということを私は強く感じる。
ハイティンクはもちろん今後もベートーヴェンを演奏し続けると思うが、
今回のロンドン交響楽団とのチクルスは、
巨匠の音楽人生における、やはりひとつの大きな区切りとなり、
芸術の完成をここに録音として残しておこうという
もしかしたら強い決意が込められているのかもしれない。
ここでの「英雄」でその思いがはっきりと伝わってきた。
指揮者とオーケストラ、そしてCD制作における作り手たちの
情熱とこだわりの結晶でもあると感じられる。
次回は早くも第九だそうで、すでにアナウンスされているが、
発売と同時に早速聞きたいと思う。

LSO 0080

「ベルナルト・ハイティンク」に関する記述はホームページにもございます
http://homepage3.nifty.com/tsukimura/

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