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2006年10月 7日 (土)

スクロヴァチェフスキのベト5+6

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮
ザールブリュッケン放送交響楽団による
ベートーヴェンの交響曲全曲録音で第5番と第6番。
スクロヴァチェフスキはN響でも第5を取り上げているので、
その感動的な名演は私も大切にしていて、
演奏も知っているので、今回もよく入ってくるが、
緊張感あふれる第1楽章から本当に素晴らしい。
オーケストラの響きの薄さが気にならないでもないが、
きめ細かい表情まで、見通しのよい音楽が実現されている。
テンポ設定は全体に速めだし、それぞれはあっさりしていて、
何か特別に感情を込める音楽づくりをしているわけではないのだが、
しかし聞けば聞くほどに感動的なベートーヴェンは、
さすが巨匠スクロヴァチェフスキの演奏である。
ところどころ荒業で豪快にもっていくところもあるけれど、
その辺は慣れている人にはツボであり、
知らない人にとっては、驚きの仕掛けにも感じられることだろう。
弦楽器のシャリシャリした音、ある意味たいへん生々しいのだが、
このシリーズでいつも気になってしまうのだけど、
しかし終楽章の盛り上がりには文句なしに圧倒される。

そして後半は「田園」である。
こちらがまたさらに素晴らしい演奏。
同じ時期に作曲された2つの交響曲だが、
音楽の方向性は全く異なり、しかしこれらを並べるのがいい!
この「田園」は魅力的である。なんと楽しく、心地よいことか。
軽やかな足取りではじまり、響きも美しい。
ザールブリュッケン放送交響楽団の明るい音色には、
こういう作品の方が合うのかもしれない。
描写的な表現は用いずにあくまでも交響曲として扱っている。
この辺にスクロヴァチェフスキの意図が伝わってくるし、
第2楽章などでは、隅々まで丁寧に精妙な表現を行って、
しかしそれで流れを失うことはないし、
絵画ではない、純粋な音楽鑑賞としての「田園」に
改めて新鮮な喜びを感じつつ、どんどん引き込まれていくのである。
「田園」もこのシリーズにおける特に傑作として、
ファンはもちろんのこと、多くの人に支持されるに違いない。
この「田園」は聞いてほしいと思う。
第5ではどこか危うかったザールブリュッケン放送交響楽団だが、
「田園」では見違えるような精緻な演奏を展開している。

OEHMS OC 523

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