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2006年10月 3日 (火)

ゼルキンのモーツァルト 1

カール・ベームのモーツァルト交響曲全集と同じく、
生誕250年を記念したコレクターズ・エディションで
ルドルフ・ゼルキンによるピアノ協奏曲集である。
クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団。
(K.451のみヨーロッパ室内管弦楽団)
このシリーズはルドルフ・ゼルキンの死去によって、
残念ながら全集は完成しなかったが、
主要な作品はほぼ残してくれている。
私はK.271「ジュノム」とK.453の一枚は、
実は当時から持っていたのだが、
しかし初期のCDは、1枚3500円というような値段で、
他にも聞いてみたかったけど、
とても買い揃えるというようなことはできなかったのだ。
しかし今回、モーツァルト・イヤーということで、
これらの名盤が復活してくれて、しかも手軽な値段で
そのすべてをそろえることができ、うれしい!
1枚目(K.246, K.414, K.451)から順番に聞きはじめ、
今日はその、実は昔から慣れ親しんでいる
K.271「ジュノム」とK.453のディスク。
改めて聞いてみると思っていた以上に
晩年のルドルフ・ゼルキンのモーツァルトは、
全体に弱音を中心にした音楽づくりで、
モーツァルトの音楽に最高の優しさをこめて、
独特の穏やかさ、安らぎの世界を創造している。
「ジュノム」では、ゼルキンならではの無骨さ、
ゴツゴツした感触もところどころで聞かれ、
それが音楽に緊張感を与えているが、
でもそれはほんの一部の表情であり、
やはり全体はモーツァルトの柔軟さを最大限に引き出そうと
巨匠の芸風もあって、かえってそれがユニークにも感じられる。
最近の若手ピアニストなどによる鮮やかな切り口で
攻撃的ともいえる勢いある演奏とは、ずいぶんと異なっている。
そして続くK.453だが、さらに感動的。やはり名演!
ついこの前、ポリーニの新譜を聞いたばかりで、
ポリーニは極度に繊細な音で透明感を全面に出していたが、
ルドルフ・ゼルキンは、もっと芯のある響き、
一音一音がしっかり鳴って、貫禄すら感じられる余裕の世界、
しかし表情は豊かにまさに微笑みのモーツァルトで最高である。
ルドルフ・ゼルキンのピアノは、もちろん美しい音色で、
それも魅力ではあるのだけれど、もっとそれよりも
何かぎこちなさみたいな、独特な味わいがあって、
そこを好きにならなければ、この演奏の素晴らしさには
たどり着けないのかもしれない。
という点では、現在の流行、演奏スタイルからすると
好みは分かれると思うし、しかし私は、
長くルドルフ・ゼルキンのピアノに親しんでいるので、
こうしてモーツァルトを聞いていると本当に幸せな気持ちになる。

DG 00289 477 5214

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