« ちょっと箱根へ | トップページ | フィラデルフィア2005/2006 »

2006年12月 2日 (土)

ゼルキンのモーツァルト 4

ルドルフ・ゼルキンのモーツァルトで
今日はK.466とK.595のピアノ協奏曲。
クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団。
このシリーズも残りは名曲ばかり。
しかしちょっとここでのゼルキンは、
造形的には指が滑っているような印象も。
音は非常に美しく、そこはいつもながらうっとり。
ゼルキンならではというところでは、
どの音にも強い意志が感じられるというか、
どこかゴツゴツとして、武骨なまでの気迫、
特にニ短調の協奏曲など、若いときの演奏と変わらない
強い集中力と決意に満ちて、充実している。
そういう精神的な部分とより現実的な技巧との間に
ちょっとギャップが現れはじめていたのか?
そこが気になってしまうのは、何とも惜しいことである。
変ロ長調の最後のピアノ協奏曲などは、
まさに晩年のゼルキンにはぴったり
という作品のようにも思えるのだが、
こちらも細やかな表現でちょっと無理なアクセントが目立つ。
ゼルキンが意識的に行っている表情付けなのかもしれないが、
その仕上がり具合があまり自然な流れでないことが残念である。
でもこの曲でも内に秘められた力強さみたいなのが伝わってきて、
他の作品での弱音中心による音作りとはちょっと違って、
その点では全盛期のゼルキンを思わせる
聞く側には想い入れの強い演奏かもしれない。
このシリーズでは、今まであまり書かなかったが、
アバドとロンドン交響楽団の演奏もたいへんに素晴らしい。
特に今回はオーケストラの充実度は圧倒的で
優美な美しさと一方の厳しさ、緊張感の絶妙なバランスが見事であり
すっかり聞かされてしまう。アバドにとっても重要な録音といえよう。
次回はついに最後となって、K.467とK.488の愛すべき2曲。

DG 00289 477 5214

|

« ちょっと箱根へ | トップページ | フィラデルフィア2005/2006 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121598/12898933

この記事へのトラックバック一覧です: ゼルキンのモーツァルト 4:

« ちょっと箱根へ | トップページ | フィラデルフィア2005/2006 »