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2006年12月 6日 (水)

オトマール・スウィトナー 5

シューマン・イヤーの2006年であり、
(今年はシューマンの没後150年である)
今日はスウィトナーの渋い演奏で交響曲を聞く。
まだ東ドイツだった時代の録音でイメージは渋いのだが、
聞くと暖かみのある、心のこもったシューマンなのである。
1986年から1987年の録音であり、
東ベルリンにあるベルリン・シュターツカペレが渋い存在、
というのはこちらの勝手な先入観であり、
そして我々日本人にとっては、スウィトナーといえば、
何よりも「懐かしさ」であろうか。私にとってはそういう指揮者。
最後の来日となった1989年、私は幸運にも
N響とのドヴォルザークを実演で聞くことができた。
スウィトナーは引退してずいぶん長くなるけれど、
今でもお元気でいることを願っている。

交響曲第4番が初稿で演奏される機会が増えているが、
スウィトナーは珍しく第1番「春」を初稿で演奏している。
初稿というのは、1841年の初演の際の自筆譜で
その後出版された楽譜では、かなりの改定が加えられている。
現在の通常の版と比べるとやはり仕上がりが甘いような、
しかし明らかに違う響き、この表現が面白い。
出版の際にカットされてしまった部分も多く、
シューマンにとっては、蛇足なのかもしれないけれど、
聞いてしまうと何ともそれらが惜しく思えてきて、
この録音は貴重な機会である。

続いて第3番の「ライン」。おっとりとして、雄大な流れ。
例によってベルリンのイエス・キリスト教会での録音なので、
残響が長くて、スウィトナーのシリーズって独特の印象である。
暖かみのあるこの音色は、イエス・キリスト教会の響きによるものか?
こういうのんびりしたシューマンって、最近はそんなに聞かないし、
考えてみると早くも20年が経過しているわけであり、
少し前の時代という感想もそれほど間違っていなくて、
でもこの感覚を楽しめるならば、とにかく感動的なシューマンだ。
優しさに満たされた第3楽章から厳粛な第4楽章への展開、
この辺は特に最高の素晴らしさで胸がいっぱいになる。

DENON COCO-70496

交響曲第2番は、残響の長さがそれほど気にならなくて、
こちらの方が聞きやすいかも。演奏も素晴らしい。
スウィトナーならではのしっかりとした重みを感じつつ、
音楽そのものが発する躍動感、勢いと迫力。
スウィトナーの指揮では、この第2番が私は一番好きである。
この作品は演奏によっては、すごく控えめな響きをさせていたり、
第3楽章など感情を込めすぎて、停滞気味だったりもするのだが、
スウィトナーは音楽を前に進め、より肯定的に、強い推進力で
聞いているこちらもぐいぐい引き込まれていくのである。
内から生きる力があふれ出してくるような
ときにスウィトナーという人は、驚くような熱い演奏をする。

最後に交響曲第4番。こちらも素晴らしい!
さらに力強さは増して、音に勢いが、そして輝きだすのである。
スウィトナーだとゆったり音楽を鳴らすようなイメージもあって、
しかしその予想は見事に外れて、テンポも速く、気合が入っている。
第4番も正直驚いてしまうほどの感動的な名演だ。
発売当時の評価だと、初稿による第1番「春」が評判だったのだが、
私が聞いたところでは、圧倒的に第2番、第4番が優れていると思う。

DENON COCO-70497

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