« ラン・ランとエッシェンバッハ | トップページ | ペーター・シュナイダー »

2007年7月 7日 (土)

ラン・ランのベートーヴェン

ラン・ランの最新盤はベートーヴェンのピアノ協奏曲。
クリストフ・エッシェンバッハ指揮パリ管弦楽団で
今年2007年1月の録音である。
すごくいい演奏。気持ちいい!
正直なところ、ラン・ランが有名になって最初の頃は、
私の理解の範囲をはるかに超えて、
びっくりしながら聞いていたのだが、いまはすごくいいと思う。
ラン・ランは自分の道をまっしぐらに突き進んでいるけれど、
私はそれを必死に追いかけつつ、
ちょっと最近は、それを楽しむ余裕が出てきて、
するとすごく魅力的な存在で、絶対に代わりのいない人。

第1番のピアノが最初に出てくるところ。
パッと青空が広がり、その気持ちよさ、
心は一点の曇りもなく晴れ渡り、
ハッとして、ミケランジェリの演奏を思い出した。
こういうことは本当にない。珍しいこと。うれしい!
ラン・ランの音は、特別である。
表現、音楽に注目してしまうが、
その前にラン・ランの音はすごい。

そして工夫に満ちて、細やかに表情を作り出している
独特の演奏を聞き進んでいくと、今度は、
エッシェンバッハもこの第1番を弾き振りで弾いていて、
カラヤン指揮ベルリンフィルとの昔の演奏も素晴らしいが、
話題にしているのは、指揮者として活躍する最近の話で
私が持っているのはハンブルクNDR交響楽団とのライブだが、
ラン・ランは共演しているエッシェンバッハの音楽にも
すごく共感して弾いていることがわかる。
というのを確認したのは、第1楽章のカデンツァだった。
詳しく比較したわけではないのだが、
エッシェンバッハのときと同じものを
ラン・ランのここでの演奏にも感じるのである。
本当に迷いなく、心にあるものをストレートに出し切って、
なんと創造に満ちたベートーヴェンだ。
面白い、楽しい、だけでなく、
そこに存在する音楽に感動して、夢中にさせられる。
それだけの強い輝きがある。若さなのか?才能?
ラン・ランのこの天才ぶり、無限の可能性、
これからどうなっていくのだろう?
本当に想像もできない、というところが最大の魅力だ。

第4番は、ラン・ランのイメージだと大人しめの作品だが、
すごく感情を込めて、細やかな表情を豊かに描き出し、
美しく表面的には平穏な印象以上に、
内面では大胆に鮮やか、激しい想いが込められている。
エッシェンバッハの指揮によるオーケストラも
ピアノに負けずに表現の振幅が大きく、
パリ管弦楽団の明るい音色が心地よい。
一方で第2楽章は短調の厳粛な音楽だが、
低音を強調して荘厳さを力強く演出するエッシェンバッハと
繊細な美しさを優しく丁寧に扱っていくラン・ランで
そのコントラストは見事、深みのある音楽である。
そして空気は一変して、軽妙に駆け抜ける第3楽章、
この辺の圧倒的な効果は、ラン・ランの思い通りに大成功!

DG 00289 477 6719

|

« ラン・ランとエッシェンバッハ | トップページ | ペーター・シュナイダー »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121598/15685682

この記事へのトラックバック一覧です: ラン・ランのベートーヴェン:

« ラン・ランとエッシェンバッハ | トップページ | ペーター・シュナイダー »