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2007年8月 6日 (月)

フィラデルフィア管弦楽団2005/2006

クリストフ・エッシェンバッハのチャイコフスキー。
フィラデルフィア管弦楽団を指揮した交響曲第4番と
ピアノ独奏による「四季」の続編は7月から12月。
交響曲は2006年3月、「四季」は同じく11月の録音である。

交響曲第4番は、エッシェンバッハがプロムスに登場して、
BBC交響楽団を指揮したライブを持っていて、
それを聞いているので(かなり気に入っている)、
だいたいイメージはできていたのだが、
スローテンポではじまり、壮大な音楽が展開され、
でもそれは遅いのではなく、とにかく入念な描きこみであり、
特に今回は繊細な歌わせ方が印象的だ。
冒頭の運命の動機から暗く、陰鬱であり、モノトーン、
それが音楽の進行とともに少しずつ、ほんの少しずつである、
明るい光が見えてきて、色づいてくる感じ、
この集中力と持続される緊張感はすごいと思うのだが、
これぞ!エッシェンバッハ・ワールドである。
第2楽章へと進み、再び超スローテンポで
限りなく感傷的な音楽、ここまで来ると完全に引き込まれていて、
音楽との一体感に満たされるこの幸福、素晴らしい!
あとはフィナーレに向かって、ひたすら高揚していく音楽。
第4番とはそういう交響曲なのであり、
チャイコフスキーが作り出した
圧倒的な演奏効果を忠実に表現しているわけだが、
エッシェンバッハは極めて創造豊かな音楽ではあるけれど、
それが作為的に響くことはないし、
でもその演出の巧さには毎度ながら脱帽である。

そして後半はエッシェンバッハのピアノ。
もう最高!私は大好きなので、たまらない。
オーケストラのときとは、また少し違う世界観を感じるが、
エッシェンバッハはピアノを弾いているときも
独特のバランス感があって、絶妙な感じがいい。
すごく軽い響きで力が抜けているのだけれど、
弾力があっていきいきと躍動するし、
透明感で消えてしまうような繊細さ、
しかしそこに広がる深い世界は濃密でさえある。
スコアにある音符を極めて平坦に再現しているようで
聞いているこちらには立体的に聞こえてくるのだから不思議だ。
今回の中では11月の「トロイカ」が最も有名だが、
とにかくリズミカルに最後まで軽妙、
最高にお洒落な感じなのだが、リズムを際立たせることで
ギリギリのバランス感を楽しんでいる。
その微妙な力加減といったら!どうやったらこうなるわけ?
ロシアのピアニストが描き出す豪快さはここには全く存在しない。
そして12月の「クリスマス」。最高の愛情が注ぎ込まれて、
音楽は優しい表情で、私たちを幸せにしてくれる。

ONDINE ODE 1104-5

「クリストフ・エッシェンバッハ」に関する記述はホームページにもございます
http://homepage3.nifty.com/tsukimura/

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