« シューベルトの歌曲 9 | トップページ | ゲザ・アンダ 3 »

2008年2月28日 (木)

シューベルトの歌曲 10

ディートリッヒ・フィッシャー・ディースカウのバリトン
ジェラルド・ムーアのピアノで、シューベルトの歌曲を
作曲年代順に聞いていく。今日は1818年の作品を中心に。

リーゼンコッペの山頂にて D.611、秋の夜の月に寄す D.614、
母の埋葬 D.616、孤独に D.620、花の便り D.622、
マリアの肖像 D.623、ブロンデルからマリアへ D.626、夕映え D.627、
アポロンよ、あなたの愛の情熱がまだ生きているのならば D.628、
ただひとり、物思いつつ発作で麻痺したように D.629、
今ぞ天と地は静まり D.630 (3つのソネット D.628~630)、
マリアの苦悩を思って D.632、あこがれ D.636、
希望 D.637、小川のほとりの若者 D.638、水鏡 D.639(D.949)

D.600番代前半の作品だが、はじめて聞く?という曲ばかり。
有名かどうかはわからないが、「小川のほとりの若者」は
以前から私の大好きな曲でちょっとホッとした。
「あこがれ」もよく知っているメロディである。
他は知らない。どこかで聞いているのかもしれないけど。
そして前衛的な印象の作品が多い。
前衛といっても1800年代の前半、ロマン派のはじまりという点では、
極めて画期的な和声なのではないかという。
シューベルトは大胆に不協和音を用いるし、
暗い曲では、極端に色彩を嫌って、不気味な音が鳴り響き…
晩年のリストは完全なる無調の音楽を作曲しているが、
そういう作品にも通ずるのではないかという世界を
シューベルトはこの時点ですでに描き出している。
18分にも及ぶ大作の「孤独に」は感動的で
シューベルトのあらゆる表現が集約されている。
大胆に飛躍し、激しい感情を音楽にぶつけ、
動きと静寂の対比が暗黒世界の中で劇的に展開される。
不安な心理を半音階的に扱う技法、恐るべき緊張感。
その点では「希望」の出だしも不安定な音の構成には驚く。
全体に支離滅裂的な傾向のある作品ほど
シューベルトの音楽を突き詰めていく意味では面白いのではないか。

iTunes CDR385

|

« シューベルトの歌曲 9 | トップページ | ゲザ・アンダ 3 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121598/40295633

この記事へのトラックバック一覧です: シューベルトの歌曲 10:

« シューベルトの歌曲 9 | トップページ | ゲザ・アンダ 3 »