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2008年10月16日 (木)

エレーヌ・グリモー

グリモーの最新盤でバッハの作品集。
しかしこれがただのバッハではなく、さすがグリモーであり、
平均律クラヴィーア曲集からの前奏曲とフーガを全体に配置し、
ピアノ協奏曲第1番も演奏、そしてブゾーニ編曲のシャコンヌ、
リスト編曲の前奏曲とフーガ(オルガン作品の編曲)、最後には
ラフマニノフ編曲による無伴奏ヴァイオリン・パルティータからの前奏曲。
この企画は非常に興味深くて、私は大歓迎だ。
だからこそ、発売したばかりに早速見つけて買ってきた。
でも聞いてみるとやはり私はどうもバッハがあまり好きでないようで…
グリモーの演奏はすごく魅力的で、いいと思う。理想を実現。
音もきれいだし、テクニックの冴え、弾力のあるリズム、
適度な色彩感、無味にならないロマンティックな情感、申し分ない。
でもひとつ感じるのは、曲調に変化が乏しいのではないか。
平均律クラヴィーア曲集は24あるすべての調性を用いて、
明るい曲、暗い曲、速い曲、ゆっくりの曲、楽しい曲、悲しい曲、…、
実に豊かな広がりある世界が感じられるのであり、
グリモーはきっとあえて似たような曲を並べて、統一感を出したのであろう。
でもするとピアノ協奏曲などは、すごく退屈で…
いやグリモーのピアノのせいではない。こういう作品なのだ。
ピアノ協奏曲は、元々はチェンバロ協奏曲であり、
第1番は有名でピアノによる演奏でも最も親しまれている作品である。
でもグリモーのような演奏に魅力のある人が弾くと
この程度の作品か…なんて、本質が明らかになってしまう。
というよりもソリストが目立ちすぎない方がいいということなのだろう。
本来のチェンバロで弾く方が、バランス的にも妥当であり…
ということでやっぱり、ブゾーニ、リスト、ラフマニノフが味付けをしている
編曲物のバッハの方が断然面白い。頭をそっちに切り替えて聞いた
平均律第2巻の第20番なんて、すごくロマンティックに響いてきて、
このアルバムの方向性というのは、やはりそっち寄りということか。
実は一番面白かったのが、ラフマニノフ編曲によるバッハ。
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番の前奏曲。
ラフマニノフがバッハの作品を自在に操って、
グリモーも作品に同調して、これは最高だ。

DG 00289 477 6248

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