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2009年8月22日 (土)

五街道雲助 「もう半分」

「落語の蔵」からダウンロードした雲助師匠の二席。
先日さん喬師匠の「もう半分」を聞いたが、
すると雲助師匠のもどうしても聞いてみたくなって!
解説を読むと酒屋の主人が極悪だそうで…珍しい!
「第4回 浜松町かもめ亭」から「お見立て」(2007.4.19)
「第20回 浜松町かもめ亭」から「もう半分」(2008.8.29)
まずは「お見立て」だが、田舎者の杢兵衛大尽だけど
雲助師匠だとこういう仕上がりなんだ…なるほど!
「お見立て」も素晴らしいんだけど、やはり「もう半分」。
これまで聞いてきた中でも一番感動した。
怪談噺という幽霊的な怖さではなく、とにかく怖ろしいのは、
欲に目がくらんだ人間が悪事に走り、その心の深い闇…
雲助師匠の「もう半分」は五代目林家正蔵師匠の速記によるそうで
煮売酒屋の主人がかつて聞いたことのない悪党である。
普通多いのは、酒屋のおかみさんが悪く、主人の方はいい人…
もう半分のじいさんの金を巻き上げても深く後悔するという…
「もう半分」は演者によってかなり印象が変わってくるとはいえ、
大体、主人の方はそれほど悪党ではないというのが一般的だが
しかし雲助師匠の酒屋主人は最初から全く違う仕上がりで
低い声で暗く、渋く、鋭く、完全に悪役を演じている。
その芝居風の流れがあまりにも素晴らしくって、
緊迫した情景に引き込まれて、夢中になって聞いてしまった。
「もう半分」はいいなあ~好きだな~
決していい噺ではないんだけど、本当に考えさせられる…

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コメント

すいませんが
ちょっとネタバレします。

まだ「もう半分」を聴かれた事の無い方は、
ご遠慮された方が良いかもしれません。

僕も雲助師の「もう半分」は大好きです。

筋立てで、僕が凄いと思うのは、
赤ん坊が生まれて母親が亡くなってしまったあと、
酒屋の主人が、
「この子を殺したところで、
どうせまた祟るに違いない。
それなら一層の事、
育て上げれば霊も浮かぶんじゃないか」
と考える所です。

普通は、
悪魔払いをするとかお札を貼るとか、
排除しようとするのを、
この噺では、
相手が肉体を持った実在だけに
受け入れて輪廻を断ち切ろうとする。

自分だったら絶対こんな発想はできないでしょうね。

主人が悪党だけに、
度胸が座っているような
雲助師匠の芸の力もあり
妙なリアリズムを感じてしまいます。

あと、主人とその奥さんの関係が、
ちょっとマクベスぽっくありませんか?

それだけに、
殺すという解決策を取らなかったのかとも
いう気もします。

投稿: らくだのうま | 2009年8月22日 (土) 23:16

らくだのうまさん、コメントありがとうございます。
雲助師匠の「もう半分」は、細かいところで
酒屋の主人を悪党にすることでいろいろと理由づけがなされたり、
説得力がすごくて、何から何まで驚きながら感動して聞きました。

ネタばれしちゃいますが…
(これから聞かれる方は読まないで!)

もう半分のじいさんが、金がなくなって、
番屋に訴え出るとこの店(煮売酒屋)にも調べが入る。
それに対して、脅すつもりか!って
じいさんが50両という金を持っている方がおかしい…
(野菜を売って歩いてもそんな金ができるはずがなく)
それでじいさんが娘が吉原に身を売ったという説明をしだすところ
こんなに自然な流れですべてがはっきり語られるのには感動!

その後、酒屋夫婦がかつてさまざまな悪事を重ねているところから
じいさんをばらさないとこっちが危ねえって、
殺害に行くところ、その迫力にも驚きましたし、
ここもまた感動しました。

そしてらくだのうまさんご指摘の
じいさんの恨みを断つことはできない…
ならばこの子を育て上げようというところですね。
とにかくすごいです!

投稿: たけお | 2009年8月23日 (日) 00:04

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