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2009年9月20日 (日)

九識の会で雲助・喜多八・志ん橋

今日は待ちに待った「第26回 九識の会」。
お昼前に慌てて出発。三越前の日本橋亭へ。
私としては、志ん橋師匠がお目当てなのだけど、
雲助・喜多八という師匠方との「くしきトリオ」は究極だ!

古今亭志ん坊:不精床
五街道雲助:千早ふる
柳家喜多八:千両みかん
鶴澤津賀寿・柳家小菊:美の競演 太vs細
古今亭志ん橋:井戸の茶碗


ここでの師匠方は文句なしに素晴らしいので
もうああだこうだと書く必要もないのだけど
記録のためにも今日の発見を書き記しておく。
お馴染みの「千早ふる」だが、雲助師匠だと独特の空気が感じられて
噺は変わらぬけれど、しかしやっぱり師匠ならではの魅力は随所に!
「千早ふる…」の五・七・五・七・七で目の動きが絶妙に…
とてつもないストーリーが生まれてくるのだが、その発想の源がここに凝縮。
「千早ふる…」の訳を聞きに行くのは、ご隠居のところへ…が多いような?
今日は兄貴分のところに行って、つまりはテンポもよく軽妙なやり取り。
兄貴のところに行くのは、文左衛門さんもそうだったのだけど、
雲助師匠もその型でやっているとなると…そうなんだ。
殿下が「千両みかん」で夏の終わりに暑さの余韻をもう一度!
番頭さんが追いつめられて…追いつめられて…逆さ磔(はりつけ)に!
殿下の場合には、その辺が面白さ、笑いなのだけど、
たったひとつのみかんが千両の値に、若旦那の残した三房が300両と…
考え込んでしまって、自分の30年間の奉公を振り返り、
来年の暖簾わけの際にもらえる30両のことを考えて…という場面、
殿下の哀愁の漂う芝居!これは人情噺だよ…って、
笑うよりもちょっと考えさせられる素敵な「千両みかん」だった。
普通は番頭さん、三房のみかんとそのままいなくなっちゃった…で
軽く笑って、楽しいのだけど、それ以上の深まりが感じられて。
仲入り後に小菊さんの俗曲。今日は女流義太夫の鶴澤津賀寿さんも共演。
「太vs細」というのは、三味線の太棹と細棹という意味。
普段ほとんど定席に行かなくなってしまったので
小菊さんの唄が聞けたのは、私にはちょっと貴重だったかも。
そして太棹と細棹の共演が聞けるのは極めて稀とのことです。
トリは志ん橋師匠で「井戸の茶碗」。何度聞いてもいい噺だ!
とはいっても正直者が堅物ふたりに翻弄されて…というこの噺、
あまりにも融通のきかない侍というのは、目の前のお宝にも欲がない…
現代では考えられないようなバカ真面目に清らかな噺なのだけど、
でもそういう現代の価値観で理解不能のような昔話を
今の人に聞かせて、説得してしまう…そういうのでは
志ん橋師匠は天下一品だと思う。師匠のお人柄とも重なるのかも。
噺家の内面が、自然と噺の中ににじみ出てくるのか…
特に頑固な千代田卜斎を以前はもっと堅苦しく演じたこともあるそうだけど、
今日は軽く楽しい要素も盛り込んでみたそうで…それが
ここに登場する「みんないい人たち」に…さらに人間味を加えることになったのか。
「井戸の茶碗」の潔癖的な清らかさに暖かい…血が通ったというか。
会場からはかなり笑いも起こっていた気がするけれど、私は夢中になって…
笑っているよりも一言一言に集中して、入り込んでしまった。

20090920

写真は志ん橋師匠と打ち上げで。
修業時代の話や「志ん生最後の二日間」を聞かせてくださった。
もちろんそこには志ん朝師匠も登場するし、深い!感動のひととき。
9月21日は志ん生さんの命日でちょうど36年前の今日のこと。

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