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2010年8月15日 (日)

黒門亭で彦いち・小金馬・正雀

今日は一日、黒門亭で過ごしていた。
夏休みでお盆という…早めに家を出て、
これも通し券を手に入れるためである!
お目当ては、私的には小金馬師匠で
正雀師匠の「真景累ヶ淵」も聞きたいし、
それに彦いちさんが楽しみで…うれしい顔ぶれ。
開場前に圓平師匠の代演で三之助さんが出演という
ますます魅力的な顔付けではないか!って。
圓平師匠は久しぶりなので聞きたかったのだけど…

第1部
古今亭きょう介:たらちね
柳家初花:青菜
柳家三之助:船徳
林家彦いち:お見立て
三遊亭小金馬:へっつい幽霊


前座さんはきょう介さん。緑太さんも来ている。
志ん橋師匠のお弟子さんで応援しているきょう介さん。
今日は「たらちね」。丁寧に努力しているな…という好印象。
初花さんは独特な空気が漂って、でもそれもすっかり慣れてしまい、
今では何となく好きで…今日は「青菜」。こういう暑い日にぴったり。
続いて三之助さんも「船徳」で、夏の噺シリーズ。たっぷり!
すごくよかったのが、船宿の親方も若い衆もとにかく荒っぽくて
これが河岸のリアルな描写なのかな…という
今まで聞いてきた「船徳」とはちょっと違ったイメージで
素晴らしい!さすがだ。徳さんがか細い印象というよりは
本当に口ばかりでやったら何にもできないというところ
わがままで自分本位な若旦那気質が際立っている。お見事!
仲入り後に彦いちさん。「熱血怪談部」を期待していたのだけど…
花魁登場で古典だ。喜瀬川花魁で「お見立て」である。
というと田舎者の杢兵衛大尽がお笑いだが…面白すぎ。
ストーリーはさっぱり仕上がっていたが、人物描写は彦いち流!
第1部のトリは小金馬師匠。今日の豆知識。マクラにて。
大店やお屋敷など…調理場の土間に据え付けてある…
左官仕事でしっかりと固定してある釜炊きが「釜戸」。
それに対して…江戸は火事が多いけれど…長屋等の土間に置く…
移動式の釜炊きのことを「へっつい」と呼ぶそうである。
小金馬師匠の「へっつい幽霊」はすごくよかった!
こちらも…私が知っているのとは違って…聞いたことのない型…
というか、私がイメージするのは三代目桂三木助の録音で
(思いだしたけど…志ん五師匠は三木助師匠と同じだった)
それ以外はそんなにたくさん聞いたことがあるわけではないのだが、
小金馬師匠は登場人物を…返品続きで売りものにならない…
問題ありのへっついを引き取る熊さん(名前は出てこなかったけど…)
そしてへっついから出てくる幽霊、あとは道具屋さんも最初に出てくるけれど
人物を絞って、熊さんと幽霊のやり取りを重点的に描く…
ちょっと聞きなおさないと忘れてしまったが、
五代目の小さん師匠の録音って、こっちだったかも?
まあ、そういう細かいことはどうでもいいのだけど…
小金馬師匠の「へっつい幽霊」はよかったのだ!
恐くない幽霊による楽しい怪談噺である。

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第2部
柳家緑太:道灌
林家彦丸:三方一両損
林家正雀:真景累ヶ淵~お隅の仇討

第2部の開口一番は緑太さん。二回目。
前回も「道灌」だったのだけど、できてるんだな。
ご隠居と八つぁんの対比。言葉使いや勢いの違い。
上下の間合いや目の動きや…完成されている印象。
通常の前座さんのイメージとちょっと違っている感じで
なんか!崩したい!って思ってしまう。
「崩したい」というのは、今の緑太さんの「道灌」には、
「緑太さん」という人が感じられないのだと思う。
誰かはわからないけど…昔の名人のコピーみたいな仕上がり?
このまま行ったら…「崩す」というので緑太さんは苦労するだろうな…
きっちり上手いので…かえってそれが仇とならなければいいけれど。
偉そうなことをいえる立場ではないのだけど、今日は気になってしまい…
テクニックに走らずに自分の言葉で聞かせる緑太さんが見てみたい。
続いて彦丸さんが「三方一両損」。こちらが圧巻の見事さ!絶品。
この噺は、大工さんと左官屋さんの啖呵合戦なわけだが、
江戸っ子の雰囲気、よどみなく続く啖呵の鮮やかさには舌を巻く。
本当に最初から最後までうっとりと聞き惚れてしまった。
実は彦丸さんは久しぶりに聞いたのだけど、すごくよくなった。
しっかり稽古して、見えないところで人の何倍も努力しているはず。
ちょっと彦丸さんは、これから注目すべき存在だ!
今日のトリは正雀師匠の「真景累ヶ淵」より「お隅の仇討」
「真景累ヶ淵」の最後の場面で、これは聞く機会も少ない…
圓生師匠も(怪談噺ではないので)演じなかった…
珍しいのでぜひとも聞いてみたかった。
「真景累ヶ淵」というと…宗悦家と深見家の因縁話で
新吉に対する豊志賀の怨念が後々の噺にまで及んでいく。
しかしながら後半は、どうも話が逸れていってしまう印象もあり、
登場人物の関係図を書けば…どこかでつながっているのだけど
今日の「お隅の仇討」でもすでに新吉はどこかに行ってしまって、
登場しないし、それによって、正雀師匠も、
前の話(あらすじ)にはふれずに独立した噺のような仕上がりだった。
宗悦であり、そして豊志賀の怨念が消えると…「真景累ヶ淵」も
ずいぶんイメージが変わってくるけれど、地味といえば地味で
しかしこういう噺を面白くじっくり聞かせてしまう
正雀師匠の説得力というのは、やっぱり他では聞けないものがあり、
非常に満たされた気持ちにしてくれる。今日はいい噺が聞けた!

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コメント

個人的憶測なのですが緑太さんは落研出身なのでしょうかかなり高座慣れしていますね。
実は先月も道灌かけていたのですが、新人前座にありがちな話を忘れ頭の中が真っ白になってしまった場面で上手くごまかし客から喝采をうけ、事情を知らない3階の楽屋で「前座噺であそこまでウケるとは恐ろしい前座だ」と思われていたそうです。しかしいつの間にか花緑一門も7人になっていたのですなね。

投稿: B.Blue | 2010年8月17日 (火) 05:51

コメントありがとうございます。
緑太さんは落研出身に違いないとみなさん噂されていますね。
何となくそんな落ち着きある雰囲気が漂っています。
これからどうなっていくのかな?というのでは、
可能性に満ちた前座さんに注目するのは楽しいです。
今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: たけお | 2010年8月24日 (火) 09:32

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