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2010年11月13日 (土)

第246回 柳家小満んの会

20101113b

黒門町を後にして、上野広小路から銀座線で三越前へ。
まだ時間が早かったので、「百川」で有名な「浮世小路」を訪れる。
日本橋から三越前の周辺へ来たときには、いつもここに寄るのだけど
あれ?見つからない。以前から再開発の工事が進んでいたのだが、
ちょっとの間にまたずいぶん様子が変わってしまった。
昔の面影を今に伝える福徳神社が残っていて、
しかしビルの建て替えや近年の再開発で仮安置というように
場所を転々としていて、最近は福徳茶屋に祀られていたのだが、
その福徳茶屋がなくなってしまった。近くをぶらぶらしていると
工事が終わって、植栽の整備も終わっている公園路地に
ガラスの箱を発見!あった。福徳神社。きちんと由来の説明も。
中に神社が祀られている。やっとここに落ち着かれたのかな?

お江戸日本橋亭へ「第246回 柳家小満んの会」
隔月開催の奇数月13日と決まっているが、
今回は土曜日で来ることができた。うれしい。
日本橋亭の小満んの会へは3月13日以来である。

柳家緑太:道灌
柳家小満ん:紫檀楼古木
柳家小満ん:薪割り屋
柳家小満ん:つるつる

すごくよかった。「小満んの会」へは熱心に伺っているけれど
これまで聞いてきた中でも特に!本当に素晴らしかった。
まずは「紫檀楼古木」でこの噺は狂歌噺である。
狂歌の名人紫檀楼古木のお人柄を語る噺で
三遊亭圓生の録音で事前に詳しく予習しておいた。
小満ん師匠の高座を聞き終えて、思わず「いいなあ~」という。
隣で聞いていたお馴染みの小林さんと「いいですね!」と笑顔で。
紫檀楼古木はラオ(羅宇)問屋の旦那さんだったのだが、
店は番頭任せで風流に狂歌の道に没頭していたところ
身代をなくし、いわゆるラオ屋の爺さんにまで落ちぶれてしまった。
噺に関わるラオのすげ替えについての説明では、
師匠が黒門町で修業していた時代の思い出も披露され、
今では完全に失われた「ラオ屋さん」の風景が目の前に広がる。
この「紫檀楼古木」という噺もとにかく地味なのだが、
こういう噺こそ、小満ん師匠の手にかかると実に味わい深い。
続いて二席目は「薪割り屋」という噺。こちらは完全にはじめて。
元々は講釈ネタで三代目の圓遊が「滑稽義士」という演目で
落語に仕上げたそうである。つまりは忠臣蔵からの一幕だ。
四十七士のひとり三村次郎左衛門は、薪割り屋に姿を変え、
本所の吉良邸の偵察を行っていた。ちょうどその頃に
神田を焼け出され移ってきた刀の研屋で竹屋喜平次と親しくなり、
酒を交わして、見事に薪を割り、研屋の看板文字を書き、そして…
12月14日の討ち入りに合わせて、先祖から伝わる名刀を研いでもらう。
こちらも芝居のように情景が広がって、引き込まれた。感動。
仲入り後は「つるつる」。名人八代目桂文楽から伝わる一席。
期待していた。これが最高に素晴らしかった。すごかった。
幇間の一八が芸者の小梅ちゃんに恋をして…
酒を飲むとずぼらな性格になるのを克服して、夜中の二時に
きちんと時間を守って部屋に来れば、お嫁さんになってくれるという。
有頂天の一八。しかしそこからつらい戦いがはじまった。
立ちはだかるのは御贔屓のひぃさん。絶対に逆らえない人。
ひぃさんとは樋ぃさんであり、文楽師匠を贔屓にしていた樋口さんという方。
実在の人物なのである。これは本当。帰りに小満ん師匠に聞いてきた!
コップで酒を飲み干せば…1杯で1円。酔い潰れそうになるけれど…
一八は逃げ出してきて、何とか時間に間に合うのだが、
すべては準備万端なのに…肝心なときに眠り込んでしまう。
一八は、幇間ならではのまわりへの細やかな気配りで
いつも明るく前向きで…小満ん師匠も何とも魅力的な笑顔。
酒を必死に飲んで…酔っ払って…何て楽しい噺だろう。
表面では幇間独特の露骨な持ち上げが臭いのであり、
しかし同時に時間を気にしつつ…内面では苦しんで苦しんで…
言葉と言葉の間からにじみ出てくる一八の心理描写は感動的。
幇間の一八は文楽師匠の得意中の得意かもしれないが、
小満ん師匠の一八に乗り移っているのではないかという…
幇間の噺でこんなに感動してしまうのって、正直不思議。
やはり人間には裏表があって、その隠して、表に出せない心情が
噺の中に見事に浮かび上がってくると…そこにドラマが生まれるのである。
一八は軽くて、いい加減で…適当に生きていそうなイメージがあるのだが、
今回ばかりは、深いな…素敵な人だな…といったら言い過ぎ?
思わず惚れこんでしまうような一八…「つるつる」の一席だった。
いい噺をありがとうございました。ずっと大切にしていきたい。
そして17日は関内ホールで横浜の小満んの会である。楽しみ!
「山岡角兵衛」「大神宮」「にらみ返し」の三席。

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