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2010年12月19日 (日)

黒門亭で暮れの甚語楼・一九

今日は今年最後の黒門亭。朝から御徒町…黒門町へ。
暮れの噺特集でお目当ては一九師匠の「富久」である。
小満ん一門の一九師匠。ちょっと意地悪な聞き方をすると
今月はじめに小満ん師匠の「富久」を聞いてきたので
師匠の「富久」と同じかな?文楽師匠の「富久」かな?
というところをぜひ注目して聞きたい!という。

第1部
三遊亭ございます:子ほめ
春風亭朝也:代書屋
桂文雀:蔵前駕籠
古今亭駿菊:子別れ(上)
鈴々舎馬桜:子別れ(下)


前座さんはございますさん。高座返しでは見ているのだけど
噺を聞くのは今回がはじめて。なかなかオーバー気味な「子ほめ」で
お馴染みの「子ほめ」なのだけど、面白かった。キャラ作りがユニーク。
「ございます」というのは、兄弟子が「三遊亭ありがとう」で
その続きで「ございます」。ふたり合わせて「ありがとうございます」。
弟の三番弟子は「しあわせ」で「ありがとうございます。しあわせ!」という。
川越市の幸町の出身で「しあわせ」ということだそうだが。
朝也さんの「代書屋」を聞くのは二度目。前回は去年の夏頃だったか?
「代書屋」は面白い。朝也さんもバッチリ!会場は笑いに包まれた。
外は寒いけど…中は暖まっていく。噺に引き込まれて…
続いて文雀さんが、真打昇進の今年の一年を振り返り、
春に亡くなられたはやし家林蔵師匠から教わったという「蔵前駕籠」。
文雀さんは、比較的地味な噺を味わい深く聞かせてくれる重要な存在だが、
今日の「蔵前駕籠」もすごくよかった。噺に入って、表情豊かにいきいきと
幕末江戸の慌しく恐ろしい世の中に決死の覚悟で女郎買いに行くという
とんでもないバカバカしさが、この噺の面白みで…これぞ落語の楽しみ。
仲入り後は「子別れ」の通し口演でまずは駿菊さんが(上)と(中)。
「強飯の女郎買い」で弔いの酔っ払いと吉原の若い衆に引出物の強飯をやるが、
がんもどきの汁が足りないから褌を絞るという…ここまでが(上)で
続いて…居続けをしてしまった熊五郎が酒の力を借りて帰ってきて、
惚気た挙句に女房と子供(金ちゃん)を追い出してしまうという(中)。
年が明けた女郎を引っ張り込むが、何もできないどうしようもない女で
そのうち男をこさえて、出ていってしまって、ひとり取り残された熊五郎が
酒をやめて、真っ当になるという…ここまでが駿菊さん。
酔っ払って、歌うところが、志ん生師匠に実に似ていて、
熊五郎の職人らしい…だらしなくも江戸っ子の気風が実に魅力的だった。
そして馬桜師匠が(下)。木場に材木を見に行こうと出掛けて
「あの子は金ちゃんじゃないかい?」で熊五郎が金太郎と再会する
ここからはお馴染みの「子は鎹」である。熊五郎がすっかり改心しているので
棟梁というより…大店の旦那のような落ち着きと貫録で
かわいいけど、ちょっと生意気な金ちゃんが気をきかせて
元のさやに納まり、三年ぶりに家族水入らずのおめでたい!
ちょっと駆け足であっさりだったけど、「子別れ」はぜひ通しで。

20101219a

第2部 暮れの噺特集
三遊亭はら生:八九升
三遊亭金八:尻餅~奴さん
柳家甚語楼:穴どろ
柳家一九:富久

第2部の前座さんははら生さんだ。面白い!
「暮れの噺」はもってない!「芝浜」なんてできませんから…と
この時点で爆笑をとっているのだが、そこで珍しい噺。
来た!圓生一門に伝わる「八九升」。つんぼうの噺で
寄席で「さんぼう」はやってもいいことになっているけれど…
それがところが、実際にはやってはいけないという幻の噺。
なんて大袈裟に書くこともなく、はら生さんの「八九升」は二度目。
噺はくだらないのだけど、表情豊かなはら生さんは面白いのだ。
金八さんが長屋の餅つき風景…すべては餅つく真似だけど、
ここから一気に大晦日の空気になっていく。「暮れの噺」最高!
甚語楼さんが「穴どろ」で…三両の金ができない…
そこには江戸の頃の掛取り風景がチラつくけれど
中庭にある火事除けの穴に落ちてしまい、
ここで登場の横浜の平さんがさんざん強がって、
しかしいざとなると恐がってどうしようもない…かわいい…
甚語楼さんの平さんの動揺ぶりがツボで!はまる。
呆れた旦那が金を出す…この三人のやり取りが絶妙で、
大晦日の夜は更けていく…江戸の世界に引き込まれるのである。
そして今日のトリ、今年の大トリだが、待ってましたの一九師匠。
素晴らしい!感動的な「富久」だった。注目のところで
文楽・小満ん・一九と受け継がれているお家芸の「富久」であった。
この噺はおめでたい!噺を聞いて、実に明るい気持ちになる。
元気をくれる噺。久蔵さんはお調子者の酒癖の悪い幇間だけど
真っ直ぐに生きているところ、その肯定的な歩みが魅力なのである。
今年の締めくくりにいい噺が聞けた。最高の気分。
もう大晦日のような気がして、まだ今日は19日。あと二週間。
今年はこれでいいんじゃない…終わり!という。ちっともよくないか。
おかげ様でいい年越しができます。ありがとうございました。

20101219b

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