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2011年1月31日 (月)

村上春樹 「ノルウェイの森」

20110131

私はあまり読書家ではないので…
有名な作品を読んでいない…ということが多々あり、
お恥ずかしく…村上春樹も全く読んでいなかったのだが、
映画化で話題になっていることもあって、
書店の目立つ位置に山積みされている
「ノルウェイの森」を…読んでみるか!と
年末に(上)(下)まとめて買ってきたのだ。
鞄に入れて持ち歩き、待ち時間とか
ちょっとした時間に少しずつ読んでいたのだが、
今日の夕方、先ほど読み終えた。
最後の数十ページは、やることも放り出して
読み耽ってしまった。素晴らしい。

「僕は三十七歳で、…」という出だし、すべては回想にはじまり、
私と同じじゃないか…これは今読むべき本なのだ…と
何か不思議な時期というものを感じたけれど
実際に読み進めば、ワタナベの18歳から20歳の話で
しかし若い頃のワタナベに…時代のズレを感じつつも
物語に入り込めたという点で人の心をつかむものがあるのだろう。
登場人物はすべて…平凡とはいえない個性的な人々ばかりであるのだが、
自分が普通でないとわかっている点でよほど正常な人間なのであり、
普通であると思い込みながら、普通でないことに気付かないでいる人間、
社会で普通に生活していてもその方がよっぽど危険なのである…という
何が普通なのか…何が正常なのか…というのを非常に考えさせられた。

ワタナベは直子のことを想い続けながらも直子は死んでしまい…
直子はキズキの元へ…というところはさすがにショックであったが、
ワタナベには生きている緑という存在が残る…というところ
ものすごく深刻に悲劇的な物語だと思うのだけど
これからもずっと生きていくワタナベには、希望が与えられているような。
それは父の死によって、人生に解放が与えられる緑にとっても。
潤滑油としての存在であったレイコさんにとっても
新しい人生に向かって出発するという結末なのであり、
それは読者にとっても救済が与えられるということである。
ワタナベを中心に物語が進むけれど…他の登場人物の人生も
極めて緻密に同時進行で時間は進んでいるのであり、
凝縮された文章に味わったことのない充実を感じた。
ノーベル文学賞の有力候補といわれる村上春樹だが、
他の作品も読んでみよう。何を今さら…という感じなのだけど。

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コメント

私も読書家ではありませんが、この小説は本当に素晴らしいと思います。読み終わった後、すぐにもう一度最初から、読み返してしまったほどです。ドイツでも人気で、ドイツ語版が平積みになっています。リューベックからハンブルグのバスの中で、この本を読んでいた青年を思い出します。

投稿: Herb | 2011年2月 4日 (金) 21:25

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