« スヴャトスラフ・リヒテル 1 | トップページ | 落語につぶやき 89~矢橋船 »

2011年3月26日 (土)

黒門亭で小満ん・一琴・世之介

震災後、はじめて東京へ。正直なところ、東京へ行って、
大きな余震が来るなど…帰れなくなる不安はあるけれど
そうともいっていられないので、何かあったら…の覚悟はして
朝から御徒町へ…黒門町へ出掛けてきた。毎度の黒門亭。
お目当てはもちろん小満ん師匠!そして世之介師匠である。
結果的には何もなく…無事に健やかな一日を過ごせて、
鉄道も通常の休日ダイヤで…いつもの時間で予定通りに動けた。


第1部
柳亭市助:転失気
柳家ろべえ:もぐら泥
柳家小満ん:長屋の花見
鏡味仙志郎:太神楽曲芸
橘家蔵之助:短命


今日ははじめての前座さん。めくりも「開口一番」で
「柳亭市馬の弟子で市助と申します」と聞くまで、わからなかった。
市也さんの「転失気」も聞いているが、市馬一門のこの噺はいい。
そしてろべえさんが「もぐら泥」。面白すぎ。この噺も好きだ。
「やる気がない」という師匠の喜多八殿下の芸風が見事に受け継がれ、
そして噺に入るといきなり元気になる!という、ここも殿下の存在を感じるし、
間抜けな泥棒は、喜多八師匠の得意技だが、ろべえさんも似合いすぎ。
後半に出てくる酔っ払いのデレデレ具合も絶品で…これはよかった!
続いて小満ん師匠。「梅は咲いたか…桜はまだか…」で季節のマクラを軽く…
そして「長屋の衆はこれで全員か?」ときて…あらっ「長屋の花見」だ。
正直…最初は…なんだ「長屋の花見」か…残念だな…
なんて思ってみたのだけれど、これが素晴らしい。本当に目からウロコ。
感動してしまった。まさか「長屋の花見」で感動するなんて…
今までに何度もこの噺は聞いているけれど、こういう気持ちははじめて。
お酒でない「お茶け」で茶柱が立って、小満ん師匠だとその続きがあり、
(大家さん)お前さんは風流だから、一句詠んでおくれ…と
すると早速「長屋中、歯を食いしばって、花見かな」という。
さらに六ちゃんだったかな?腹の具合が悪い…と
遅れてきたので、駆け付け三杯、お茶けをラッパ飲みというところでサゲ。
もしかしたら、これが「長屋の花見」の本寸法?貴重な噺を聞けたような。
小満ん師匠が普通の噺をやるときは、オチなど、いつも何か発見がある!
仲入り後は、太神楽の仙志郎さんが今日はおひとりで登場。
傘回しと棒の上に茶碗を積み上げるお馴染みの芸なのだが、
太神楽を黒門亭の距離感で見るとこれが感動!こちらも驚きの体験。
私は一番前にいるので、頭の上で傘がくるくる回っているのだが、
すべて竹でできている和傘の上を玉や升や茶碗が回り、
音とかその伝わってくる空気の感じが実に気持ちよくて、
やはり歴史ある伝統芸能というのは素晴らしいなと。
太神楽に挑んでいる仙志郎さんがカッコよかった!
第1部のトリは蔵之助師匠。圓蔵一門の明るい芸風。
楽しいマクラで客の心をつかんでしまうのだが、「短命」でニンマリ。

20110326a


第1部と第2部の間に湯島天神にお参り。
合格のお礼参りも済んでか…梅祭りも終わってか…
ちょっと静かな湯島天神の境内。でも今日は結婚式が行われていた。

20110326b

天神様にお願いするのは少し違うのかもしれないけれど
世の中に平和な日々が戻ってくることをつい願ってしまう。


第2部
柳亭市助:小町~道灌
柳家一琴:矢橋船
柳家福治:茶の湯
金原亭世之介:明烏


市助さん、今日の二席目でご隠居を訪ねる八つぁんだが、
書画の話になって、「小町」である。これは「道灌」の前半。
小野小町については軽く扱って、本題の太田道灌公が登場したが、
最初の粗茶の部分を完全にカットして、「小町」と「道灌」をバランスよく、
時計は確認しなかったが、持ち時間にきちんとはまっていたと思うけど、
物語の構成力というか…おっ!できるぞ!という、期待の前座さんである。
続いて一琴さんが、これは聞いたことのない噺。全く知らない。
琵琶湖の東側(矢橋)から西側(大津)へ
陸で歩くと三里だけれど、船で渡れば一里の距離であると
乗合船に様々な人が乗り込むのだが、色問答や、無理問答…
言葉遊びの面白さで…これはいい噺。情景が目に浮かぶ。
後半、お侍がひと騒動で騒ぎになるのだが、賑やかだ。
この後に出てきた福治さんが、私は知ったかぶりはしないので…
何という噺?と一琴さんに聞いてみたら「矢橋船」だと教えてくれたって。
なるほど。というので知ったかぶりはよくないというマクラになり、
小三治師匠の話題も出たけれど、ネット流出厳禁ネタで…笑
噺の方は「茶の湯」へ。楽しい。長閑な時間が流れる。
根岸の里という「風流だな…」のイメージが心地よさなのか。
そして今日のトリは世之介師匠。相変わらず毒舌が冴えわたり、
放射能ネタ、被災地慰問の話題でマクラからブッタ斬り!
かなりの過激トークだが、そんなのは慣れているので
世之介師匠に痺れてしまう。暗いときほど、笑うと元気になる。
久しぶりにたくさん笑った。思いっきり笑えるというのは貴重なこと。
世之介師匠の「明烏」は以前に聞いたことがあって、
その点では、それほど期待していない部分もあったのだが、
これがどうしたことか…世之介師匠の作り込んでいる若旦那が
おかしくおかしくて…思い出すと前もこうだったと思うのだけど
今日ははじめて聞くような新鮮な喜びで最高の満足感。
キャラの味付けで少々スパイスを利かせるのだが、
人間というものがここまであからさまに描かれると
「明烏」という噺は、その人間模様は深いなって。
とにかく笑いの力で元気が出た。やっぱり落語はすごい!
明るく笑顔で前を向いていれば、きっと足は前に進んでいく!


20110326c

|

« スヴャトスラフ・リヒテル 1 | トップページ | 落語につぶやき 89~矢橋船 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121598/51230231

この記事へのトラックバック一覧です: 黒門亭で小満ん・一琴・世之介:

« スヴャトスラフ・リヒテル 1 | トップページ | 落語につぶやき 89~矢橋船 »