« スヴャトスラフ・リヒテル 2 | トップページ | キース・ジャレット 13 »

2011年6月16日 (木)

小噺「車のほめ方」

え~、よく噺の方には愚かしいものが出てまいりますが、
バカで与太郎という…与太郎なるものが現れますと噺の幕開けで…


お父つぁん:おい、与太郎。大の大人が昼間からぶらぶらして…
やることもねえなら…おじさんのとこに使いに行ってきな。

与太郎:やることもないっていうけれど、なくもないんだぜ。
お父つぁん:何かお前、用事があったのか?
与太郎:口で息したり、鼻で息したり、忙しいや。
お父つぁん:お前は幸せだね。お父つぁんはうらやましいよ。
与太郎:へへ。そうかい。口を噤んでも鼻で息はできるんだぜ。
お父つぁん:あのな、おじさんのところに行ったら、車をほめてきな。
おじさんは車道楽だから、また新しい車を買ったそうだよ。

与太郎:何ていって、ほめるんだい?
お父つぁん:まあ、大そう格好のいいお車で、いつの日か私も
こんなに立派な車に乗れるよう、なりとうございます…とでもいっておきな。
そうすれば、おじさん、機嫌がよくなって、小遣いくれるぞ。

与太郎:小遣いくれるのか?いくらくれる?
お父つぁん:いいから、早く行ってきな。

与太郎:へへ、ごめんなさい。へへ。ごめんなさい。
おじさん:誰か外で謝ってるね。いたずらでもしたのか?
うちには来たばかりの新車が置いてあるんだよ。
傷でも付けられたらたまらない。何だい?

与太郎:へへ、ごめんなさい。
おじさん:なんだ、与太郎か。どうかしたのか?
与太郎:へへ、来たんだよ。
おじさん:何か謝ってただろ。
与太郎:ごめんなさいは挨拶だよ。
おじさん:それをいうなら、ごめんくださいだ。
与太郎:へへ、それ。
おじさん:それというのがあるか。
与太郎:おじさん、車をほめに来た。
おじさん:おお、そうかい。うれしいね。
新しいのが来たばかりだから乗せてやるぞ。

与太郎:おじさん、黙っててくれよ。今ほめるんだから。
おじさん:おお、じゃあ、お願いしようかな。
与太郎:大そう格好のいいお車で、いつの日か私も
こんなに立派な車に乗れるよう、なりとうございます…
とでもいっておきな。
おじさん:ははあ。お父つぁんにそういえっていわれたな?
与太郎:小遣いくれるか?
おじさん:帰りに持たせてやるよ。
与太郎:おじさん、この車はハイブリッドのプリウスかい?
おじさん:よく知ってるな。おじさんの車は外車だ。
与太郎:被害者?エコカー減税の対象外だな。
おじさん:アルファ・ロメオだよ。
与太郎:マルハでロデオ?
おじさん:イタリアの車だ。
与太郎:当たり屋?おじさん、車ぶつけて、修理代だまし取ろうとしてるな。
よっ、悪党!保険金詐欺。音羽屋!外車は修理代が高い。
おじさん:おじさんの商売は、知っての通り、水産加工品会社の社長だよ。
威勢のいい魚を解体して、スーパーに納めたり、加工して
食品を作ったりしてるんだ。若い頃はでかいマグロに馬乗りになって、
人前で解体ショーをやったりもしたもんだ。

与太郎:ああ、それでおじさんの車、マルハでロデオか。

失礼いたしました。

|

« スヴャトスラフ・リヒテル 2 | トップページ | キース・ジャレット 13 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121598/51962047

この記事へのトラックバック一覧です: 小噺「車のほめ方」:

« スヴャトスラフ・リヒテル 2 | トップページ | キース・ジャレット 13 »