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2011年6月12日 (日)

黒門亭で馬生・甚語楼・今松

なんと一ヶ月半ぶりの黒門亭。
4月最後の週からあっという間に時間が過ぎてしまった。
今日のお目当ては馬生師匠と今松師匠だけど
甚語楼さんが若手真打では大好きで期待!
第1部も馬生師匠の出演があるので
通し券狙いで普段より30分も早く出たのだが、
実際に早くから並ぶお客さんもいたけれど
今日はそれほど大騒ぎになることもなく…
しかし第1部も第2部も「満員札止」でやはり人気だ。
顔付けもいいし、第2部はネタ出しの演目も魅力的。

第1部
入船亭ゆう京:寿限無
春風亭正太郎:幇間腹
春風亭勢朝:噺家親子の物語
金原亭馬生:安兵衛狐
柳家甚語楼:ねずみ


今日は知らない前座さんが登場で…まめ緑さんが指導係。
さらに金兵衛さんが番頭さんで、ふたりをしっかり教育だけど…
第1部はめくりも「前座」で自己紹介もなかったので…誰?
次に上がった正太郎さんが「ただ今のは入船亭ゆう京さんでね…」と
それで会場は納得!という反応に一番驚いていたのは正太郎さん。
ということで…ゆう京さんの今日のネタは「寿限無」で
マクラの辺は、何となく不慣れで頼りない印象だったのだが…
「寿限無」のときは、それは作戦!後半の長い名前を連続で言立てる場面、
どんどんスピードを上げていく…早口も鮮やかに決まって、
これはできている印象。また期待の前座さんが入ってきた。注目しよう。
そして正太郎さん。先の前座さんを紹介するマクラから入って
正太郎さんも前座時代は「できる前座さん」だったのだけど、
今では余裕もあって、貫禄もあって、「できる二ツ目さん」だ。
噺はお馴染みの「幇間腹」でお後お目当ての邪魔をしない…
しっかりと自分の一席をこなしている感じだったけれど、
お客の心をつかむ…会場の空気を作るのは見事…さすがだ!
「幇間腹」は幇間の一八が、表と裏を切り替える…というか…
スイッチが入ったり、切れたりというところを聞くのだけど
その辺、正太郎さんの幇間は実に豊かで魅力的。
続いて勢朝師匠。いつもながら爆笑の楽屋噺を連発。
そういえば…前も「ぼやき酒屋」で同じ流れだったのだが、
マクラで様々な芸人の噺をして、その延長で噺に入っていき
楽屋噺は続く…噺の中の人物にも噺家列伝を語らせて…という
今日の「噺家親子の物語」もそうだった。面白すぎ。
仲入り後の馬生師匠は、知らない噺と思ったら…
長屋の源兵衛、安兵衛が出てくるというところは気になったのだけど
この噺、以前に馬石さんで聞いていた。噺の中身が完全に抜けている。
まあ、ちょっと地味な噺というか…でも馬生師匠だとそこに味わいがあって、
歌に関わってくるところなど通好みだし、今日はすごく興味をもった。
「安兵衛狐」はまた聞きたいな…という。聞けば聞くほど、面白い。
というか、やっぱり馬生師匠が素敵だ!本当に絵になる師匠。
第1部のトリは甚語楼さんの「ねずみ」。この噺もよく聞くけれど
ここに登場の左甚五郎、客引きをしている宿屋ねずみ屋の息子、
そしてねずみ屋の主人、それぞれのキャラをじっくり描きこんでいて、
それが甚語楼さん自身の持ち味とぴったり合っていて、素晴らしい。
「ねずみ」は楽しくって、暖かい気持ちにしてくれる噺だが、
甚語楼さんの語りもまさにそうした仕上がりで実によかった。

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第1部と第2部の間に散歩に出掛けて、
うさぎやさんでどら焼を買ってきた。
今日はまだ食べていないけど、明日のおやつが楽しみである。


第2部 いぶし銀長講
柳家まめ緑:からぬけ
八光亭春輔:文七元結
むかし家今松:長崎の赤飯


第2部は長講噺の特集である。
結果を先に書いてしまうが、50分の噺を二席。
開口一番はまめ緑さんの「からぬけ」だった。
まめ緑さんは、これまで「道灌」を何度も聞いているのだけど
今日は与太郎が登場で…「道具屋」「牛ほめ」ではない「からぬけ」。
こういうと失礼な気もするんだけど…与太郎の口調が上手い!
まめ緑さんは、声も出ているし、ちょっと聞かない間に上達した!
続いて、長講一席目は、春輔師匠の「文七元結」。
春輔師匠は今日がはじめてで…でも落語協会の自己紹介映像で
以前から知っていたのだが、師匠である彦六の正蔵師匠の口調がそのまま。
何でこんなに似ているのだろう。八代目正蔵師匠が目の前にいるみたい。
重厚な語り口ではあるので…「文七元結」のような人情噺では引きこまれる。
吾妻橋の身投げの場面が、やはり最も緊張感のある場面で
春輔師匠もより一層力強く演じられていたが、「文七元結」って、
人情噺の代表みたいだけれど、意外に笑うところはたくさんあって、
でも今日は、笑いは控えめの真剣な感じが独特の印象であったと思う。
そして本日のトリは今松師匠だ。噺は「長崎の赤飯」という。うれしい。
この噺は以前に小満ん師匠で聞いて以来、実演では出会ったことがない。
圓生百席で圓生師匠の録音が残っているので、聞くことはできるのだが、
実演では、この先、次はいつ聞けるのか…という点では貴重なチャンス。
いうまでもなく…素晴らしかった。もちろん今日一番の感動的な一席で
噺の筋は知っているので、驚かないのだけれど…この噺は相変わらず
後半の展開が劇的で…舞台は江戸だけど…解決のトリックとか
新作なのではないか…というような…不思議な噺なのである。
今松師匠もマクラで「とんでもなく長いことを長崎から強飯が届くといった」
そこを強調しておられたが、江戸と長崎の距離感…その果てしなく遠い…
現代人では理解できないほどの隔たりというものが存在していたという…
その辺を少しでも理解しようと…思い浮かべつつ聞くと
また何ともスケールの雄大な噺で…やはり不思議な印象である。
今日のタイトルも「いぶし銀」となっていて、今松師匠って
渋いとか…地味だけど味わい…とかよくいわれるが、
私にとっては、今松師匠って、すごく耳に心地のよい声で
今日もうっとりと聞き惚れてしまったのだが、
「長崎の赤飯」は聞けてよかったと思う。これは宝物だ。

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