« 落語につぶやき 109~からっ風侍 | トップページ | 落語につぶやき 110~蚊いくさ »

2011年7月20日 (水)

第105回 柳家小満んの会

今日は台風でどうなることかと思ったけど
午後から小雨になって、風も少し治まってきてくれて
夕方には無事に関内ホールに出掛けることができた。
横浜の「柳家小満んの会」である。楽しみにしていた。
関内ホールの入口で師匠がポスターの準備中で
まだ下の受付には誰もいないから…ちょっと待ってねと
しばらく師匠とお喋りしてしまった。幸せ。
以前に聞かせていただいた「樟脳玉」について質問してみると
生之助師匠から習ったときの話を聞かせて下さり…
何という至福の一時であろう。噺の「下」の存在、
続きがあったり、なかったりの落語の奥深さについて。

林家木りん:初天神
柳家小満ん:蚊いくさ
柳家小満ん:臆病源兵衛
柳家小満ん:青菜

今日は楽しかった。このところひどく疲れていたので
落語を聞いて、生き返った!元気をもらった気分。
一席目は「蚊いくさ」である。きちんと予習はしてあったのだけど
実にバカバカしい噺であり、いや、このバカバカしさこそが落語!
くだらなければくだらないほど、そこに存在する真剣さが笑いを呼ぶ。
蚊帳が質に入って、出せないがために…蚊の軍勢と一戦を交えるという。
でも夏の夜に唸りを上げて攻め立ててくる蚊に苦しめられるのは、
今も昔も変わらぬことであり、その情景はわかりすぎるのであって、
「蚊いくさ」の思わず苦笑なところが逆に愛おしくも思える魅力的な夏噺。
続いて「臆病源兵衛」である。この噺は実は以前に聞いているのだけど
正直なところ、そのときは何だかよくわからなくて、あまり面白くなかった。
臆病者の源兵衛さんが、やたら大袈裟に恐がっているところは
分かりやすく笑いをとれる場面だと思うのだけど
今日は小満ん師匠でじっくり丁寧に噺の筋を聞けたので
表面的な笑いよりも噺の奥深くまで、よく理解できたと思う。
「臆病源兵衛」という演目から源兵衛さんが中心なのかなと
つい思ってしまうのだが、むしろ脅かしている八五郎が主役なのであり、
というのは、後半にあまりの恐ろしさから源兵衛さんは逃げ出してしまって、
オチに導いてくれるのは、八五郎の方なのだ。
下谷の長屋から八五郎の死体を捨てに行く源兵衛さんだが、
上野不忍池のほとりで八五郎は蘇生するのであり、
そこでは源兵衛さんは、すでに逃げてしまって、姿はなく、
明かりに導かれて根津の遊郭へと八五郎は足を運ぶのだが、
その辺の場面転換をしっかりイメージしないとわからなくなってしまう。
八五郎の意識が戻ったときに死に装束だったことで
自分は死んでしまった…ここは極楽?それとも地獄?
その突飛な発想に聞き手はどこまでも付き合うことが大切で
「吉原が極楽」に対して「根津が地獄」という
オチはそこに絡んでくるという…この辺の複雑さが解けてくると
この「臆病源兵衛」という噺は、聞けば聞くほど面白く、
同時に深いものを備えていることに気付かされるのである。
仲入り後はお馴染みの「青菜」の一席。夏の代表ともいうべき噺。
これがよかったのだ。何とも味わいのある「青菜」だった。
縁側で涼んでいる旦那だが、その姿が風流で…上品で
こんなにもきれいに納まっている風景は見たことがなく、
つまりはその対称として植木屋さんとそのおかみさんが
ひどく暑苦しく、野暮ったいというふうに映るのだが、
まあ本当に面白くて、楽しくて、「青菜」はいい噺!大好きだ。
この猛暑の中でさらに熱風の吹く…汗の流れる「青菜」を聞いて、
なぜかこちらは暑さを忘れるという…これぞ粋な夏の楽しみ!
夏に暑い噺を聞くという…ときにはそれが納涼となる。
素晴らしい夏の噺で三席…今日は堪能した。
ということで…次回は9月22日(木)第106回 横浜 柳家小満んの会
演目は「あちたりこちたり」「後家安」「品川心中」の三席。
小満ん師匠の作で「あちたりこちたり」が登場。面白いです。

|

« 落語につぶやき 109~からっ風侍 | トップページ | 落語につぶやき 110~蚊いくさ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121598/52266357

この記事へのトラックバック一覧です: 第105回 柳家小満んの会:

« 落語につぶやき 109~からっ風侍 | トップページ | 落語につぶやき 110~蚊いくさ »