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2011年7月 3日 (日)

黒門亭で左橋・駿菊・志ん橋

三週間ぶりの上野黒門町で朝から黒門亭へ。
今日は志ん橋師匠を聞きに…そしてもうひとつのお目当ては
第1部のトリで駿菊さんのネタ出し「ぼんぼん唄」という噺。
落語事典で予習はしたが、これは面白そうな噺であり、
面白そうといっても内容は親子の情愛を描いた人情噺で
五代目古今亭志ん生が演じたそうだが、現在ではほとんど聞けない…
これを逃したら次はいつ出会えるのか?貴重な機会である。


第1部
林家けい木:たらちね
三遊亭歌太郎:牛ほめ
宝井琴調:浅妻船
初音家左橋:千両みかん
古今亭駿菊:ぼんぼん唄


今日の番頭さんで朝太さんと…ございますさんも手伝って、
会場の準備をしていたので、前座さんはございますさんかと思ったら
開演直前にメクリがめくられて「林家けい木」…はじめて聞く前座さんだ。
けい木さんもできている印象。戻って調べてみたら1991年生まれとあるので
ということは、大学の落研出身ということでもないのか?しかし上手い。
続いて歌太郎さん。ちょっと久しぶりなのだけど…相変わらずお見事!
というか…圧倒的な上手さ!今日の「牛ほめ」は与太郎さんが登場だけど
歌太郎さんはイケメンなので、与太郎キャラはあり得ないというイメージながら
これが与太郎さんの抜けている表情や仕草やあらゆる要素がバッチリ決まる。
いきいきと楽しそうに演じているし、見ているこちらも引き込まれて幸せな気分。
現在、二ツ目では一之輔さんが抜きん出た存在だが、その次に来るのは
ズバリ「歌太郎」さんだと…今日の「牛ほめ」を聞いて、確信。楽しみだ。
「牛ほめ」は、前座さんの短いバージョンではなく、牛のほめ方も本寸法。
続いて、講談の琴調先生。正直なところ…講談はほとんど聞かなくて、
というのは、落語で精一杯…これ以上講談までは無理…というので
ネタも知らないし、講談は聞かないようにしているところがあるのだけど、
今日は素晴らしかった。絵師…英一蝶(はなぶさいっちょう)の干物便りという
三宅島に流罪になり、母想いの一蝶が干物で自らの安否を伝える…という
綱吉時代の江戸の情勢を描き出す歴史ものでもあり、
そしてもちろん人情噺でもあるという…講談も味わい深い。
仲入り後は左橋師匠の「千両みかん」。大好きな噺だ。夏の風情。
たかがみかんひとつのことだけど…必要としている人にとっては
千両にも値するという…これは資本主義経済の原点を説明している?
でもここでの番頭さん…その貨幣価値は正しいのである。
しかしみかんの三房を持っていなくなっちゃった…というサゲ、
まわりがおかしいから…番頭さんは正しい判断ができなくなっちゃった
という…ここは落語的な展開だけど、この噺も奥が深い。
冷蔵も冷凍もない時代に食べ物の季節感というものが
いかに人々の間で重く考えられていたか…一年を通して
何でも手に入る現代の我々には到底理解のできないことであり、
いろいろ考えてしまうが、そんな…噺に深く入り込めたというのも
左橋師匠の「千両みかん」に夢中になってしまったのである。
第1部のトリは、駿菊さんの「ぼんぼん唄」。結果からいって、感動!
あらすじは頭に入っていたが、お盆に子供たちがぼんぼん唄を歌う…
その辺の情景…長屋の風景が頭に浮かんで、納得であり、
そして子供を手放したくないけれど、本当の親元に返す…
親子の情、別れの辛さ、その苦しみ…この辺は丁寧に演じられて
おそらく駿菊さんの演出も加わっており、実に感動的な…
今日は聞けてよかった。本当に素晴らしかった。またひとつ宝物。

20110703a


第1部と第2部の間に散歩に出掛けて、
よく行くのだけど、湯島天神にお参り。
受験シーズンでもないし、外は暑かったので
参拝者も少なく、ひっそりとした感じ。
中では結婚式が行われていて、今日は「友引」だった。

20110703b_2

第2部
三遊亭ございます:転失気
入船亭扇治:不動坊
柳家小団治:蛙茶番
古今亭志ん橋:鰻の幇間


第2部の前座さんは、朝から活躍していたございますさん。
噺はお馴染みの「転失気」。ございますさんで二度目に聞く。
小僧の珍念と和尚さんのやり取り…兄弟子のありがとうさんに似てきて、
歌之介一門のカラーなのかなと。なかなか刺激的な仕上がり!
扇治師匠が「不動坊」。こちらも夏の噺という印象だ。
爆笑仕立てに大騒ぎの「不動坊」もあるけれど、
扇治師匠は、基本はきれいにまとまっている印象で
となると渋い感じに…表面的ではない…内面からじわじわだが、
こういうのもいいのである。私はむしろこちらの方が好きだ。
続いて小団治師匠。以前からインターネット落語会の映像など
声も姿も知っていたのだが、生の高座ははじめて。
小団治師匠も基本は、無駄な要素のない…姿がきれいという印象で
しかし今日の噺は「蛙茶番」で…その取り合わせの面白さ、
露骨な爆笑とそれを整理整頓するバランス感覚…ここが味わいだった。
今日のトリは大好きな志ん橋師匠。実は師匠の「鰻の幇間」は二度目で
しかし何度聞いても素晴らしい…おいしそうな…鰻が食べたくなる…
といってもここの鰻屋さん、酒も香の物も肝心の鰻も不味くて…
ということは、一八の話術にこちらも騙されているわけで、
後半、一八が客に逃げられて、手銭で支払いをするとなると
ありとあらゆる気に入らないことを店の女中にお小言でいうが、
その辺を知っているので…前半の心にもないことをいって
客をもち上げているお調子者の一八…それが面白くて、実に見事で
志ん橋師匠の「鰻の幇間」は、本当に素晴らしいと思うのである。

20110703c

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