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2011年7月27日 (水)

小噺「粗忽の電話」

粗忽なお方には、マメでそそっかしい方と
のんびりしていてそそっかしい方とがあるそうでして…

チリリリリ…チリリリリ…
熊:兄ぃ、電話がかかってるよ。
八:おい、熊。いま、手が離せねえ。出てくんねぇ。
熊:そうかい。じゃあ、出てみるか。
八:早く出ろい。切れちまうぜ。
熊:はい、もしもし。

オレオレ:俺だけど…俺だけど。
熊:どちら様ですか?八五郎兄ぃのお宅ですけど…
オレオレ:だから俺だよ。八五郎だよ。
熊:兄ぃ、電話の向こうで兄ぃが電話してきたよ。
八:おお、そうかい。要件を聞いてくんねぇ。
熊:わからねえなあ。電話の向こうが兄ぃなら、
いまここにいる兄ぃはどちら様の兄ぃかねえ。
あの…ご用件は?

オレオレ:さっきよ、大黒屋の荷車にぶつかっちまって、
荷物がひっくり返っちまって、それで相手先に届けらんねえ。
荷物の分を弁償しろっていうのよ。弁償しねえと
お上に訴えて出るって、いいやがるのよ。
お前、悪いけど、今すぐ二両の金、持ってきてほしいんだ。
熊:そうですか。それはたいへんですね。
ちょっとお待ちください。いま兄ぃに相談してみます。

オレオレ:何でもいいけど、早くしてくんねえ。
早く片付けねえと、しょっ引かれちまう。
熊:兄ぃ、大黒屋の荷車とぶつかったのかい?
八:はあ?何のこってぇ?荷車とぶつかった?
熊:弁償しないといけないんだろ。
八:電話を代わってやらぁ。
おい、八五郎だけどよ。荷車とぶつかったってどういうことでぇ?

オレオレ:はい?ご本人がいらっしゃるので?
八:そんなことはいいんだよ。お前、弁償しねえとたいへんなのかい?
オレオレ:え~…そういうことになりますかなあ。
八:何をお前、落ち着いたこといってんでぇ。一刻を争うじゃねえか。
オレオレ:そういうことでしてね。二両の金を持ってきてほしいのですが…
八:おお、合点だ!いま金をかき集めるからよ。
熊:兄ぃ…それはダメだぜ。これは、オレオレ詐欺ってんだよ。
大家さんがこの間、いってたよ。お前はそそっかしいんだから注意しろって。

八:何?そうなのかい?俺にはよくわかんねえが…
熊:もう一度、俺が代わってやるよ。
オレオレ:あのお…お金は持ってきていただけるんでしょうかね?
熊:ダメだよ、お前さん。オレオレ詐欺ってんだろ。
第一、二両の金を持って行ったとしても、お前さんは、
兄ぃと顔が違うんだから…八五郎じゃないだろう!って、バレちまうよ。
オレオレ:いやあ、それなら大丈夫。これぐらいのことで騙されるんだから
別な顔だぐらいじゃ、自分だって、気が付くめぇ。


ありがとうございました。

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