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2011年9月 4日 (日)

黒門亭で菊丸・今松・一九

今日は私的にはすごく魅力的な顔付けで黒門亭へ。
お目当ては菊丸師匠と今松師匠そして一九師匠である。
第1部のトリが歌奴さんでネタも「御神酒徳利」だし、
落語協会の秘密兵器といわれる小三太さんに初遭遇。
いろいろ楽しみな要素は多くて、今日ばかりは外せない。

第1部
鈴々舎やえ馬:時うどん
三遊亭たん丈:新寿限無
柳家小三太:万病円
古今亭菊丸:野晒し
三遊亭歌奴:御神酒徳利


前座さんはやえ馬さんとゆう京さんのふたりで
第1部はやえ馬さんから。11月に二ツ目昇進!
ということで…新しい自分の出囃子で登場!
昇進披露に備えてか?冬の噺をさせてくださいって、
お馴染みの「時うどん」。「そば」ではなく「うどん」である。
関西出身のやえ馬さんならではの完全なる上方落語だ。
面白かった。さすがにこの時期、実力は二ツ目級!
実は私…上方の「時うどん」で「時そば」を演じるのって、
ものすごく抵抗があり、東京は江戸の「時そば」に限る!って、
そういう意識をもっているのだが、純粋に上方落語で
「時うどん」を聞いてみると…やはりこれがすごくいい。
やえ馬さんの「時うどん」はよかった。たくさん笑った。
江戸は「時そば」、上方は「時うどん」。
これをごっちゃにしないでほしい。改めてそう思う。
続いてたん丈さんが「新寿限無」である。
これは圓丈師匠の改作版「寿限無」で
言立ての部分がさらに複雑になっている気がするのだけど
こちらも楽しかった。今日は前半から盛り上がってしまう。
秘密兵器こと小三太さん。噂には聞いていたのだが、
はじめて聞けた。ついに!である。でもちょっと違ったな…
私の好みではないと思う。「万病円」を聞かせてくれて、
この噺が大好きで…白酒さんとか志ん公さんとか
古今亭の噺なのかな…と思っていたので
柳家で聞けたというのは、今日は発見!
でもこの噺って、言葉遊びを巧みに聞かせる噺なので
小三太さんのスタイルだと…わかりにくいのでは。
仲入り後は菊丸師匠である。ネタは「野晒し」。
幇間の登場するサゲまできっちり!これはうれしい。
実にいい。本当にいい。何とも心地のよい空気。
菊丸師匠は大好きだ。向島で釣りをする賑やかな場面、
そして幇間が調子よく振舞う後半の明るさ、絶品である。
「野晒し」でオチまで行くときは、太鼓が馬の革でできている話を
マクラで振っておく必要があるのだけど、
今日は都内各寄席にある太鼓の音色の話題から。
第1部のトリは歌奴さんの「御神酒徳利」。
三遊亭の噺家さんなので期待はしていたのだが、
鴻池の御支配に連れられて、大阪まで行く型である。
私的には、柳家の「八百屋の占い」の方が多く聞いていて、
江戸・神奈川・大阪の三幕仕立てによる
三遊亭のこちらの型で聞けるのは得した気分。
歌奴さんの語りはスケール大きくて、長講は聞かせるな!という。

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第2部
入船亭ゆう京:寿限無
春風亭勢朝:竹の水仙
むかし家今松:へっつい幽霊
柳家一九:寝床

第2部の開口一番はゆう京さん!前回は6月に聞いたみたいで
そのときも「寿限無」だった。この噺は何といっても言立てだけど
前もバッチリだったと記憶しているが、やはり今回の方が
上手くなっている気がして、滑舌よく、きれいに聞こえてくるところがいい。
続いて勢朝さんがお馴染みの楽屋噺漫談で…何度聞いても爆笑!
そうしたら今日は、なんと古典で「竹の水仙」も。
宿屋の主がドジョウのような目で「のだめ(野田目)」だったり、
一期一会の仕掛けがふんだんで…やっぱり面白すぎる。
オチは竹の節目にちなんで、はじめて聞く型だったので
勢朝さんのオリジナルか…そういう型があるのか…
すごく新鮮な感覚になれたのは素晴らしい!
今松師匠は賭けごとのマクラから…博打で「へっつい幽霊」かな?
とは思っていたのだけど、噺に入る瞬間!「文七元結」かも!なんて
一瞬よぎったのだが、「道具屋」ときて、やはり「へっつい幽霊」だった。
でも夏の名残りに…好きな噺でもあるし、いいネタである。
それが…今松師匠は金額が少し違っていて、つまりは設定が古いのだが、
熊さんの相棒で道楽の若旦那…銀ちゃんも今日は徳さん。
金額のことをいうと…今日一般によく聞けるのでは…
3円のへっついに1円を足して熊さんにもっていってもらう。
中から出てくるお金は300円。それを山分けにすると思うのだが、
今松師匠のでは、一分二朱のへっついに三両のお金をつけて、
中から出てくるのは、二分金ばかりで三百両という金であった。
つまり百五十両ずつに山分けをして、徳さんに催促をされて
それに一両二分をつける。設定が江戸ということだろう。
あとオチも違っていて、通常は…幽霊は「足は出さない」だと思うのだけど
今松師匠は…幽霊が残してくれた三百両…博打で取り上げたのだが、
翌日みんなに振る舞って、大騒ぎ。夜になると…また博打をはじめるが、
サイコロの音にひかれて、幽霊が再び長屋を訪ねてくる。
そこでひと言…「テラこしらえてください」というオチ。
博打の寺銭と寺(供養)を掛けているのか?
戻って、落語事典で調べてみた。すると金額はむしろ三百両の方である。
どうやら昭和になって、貨幣感覚を改めるのに円に直したようである。
さらに!オチに関しても解説があった。これはうれしい。
上方噺の「へっつい幽霊」が東京に移されたのは、明治末期である。
やはり「足は出さない」が一般的なようだが、本来のオチは違っていたそうで
翌日、熊さんが仲間と博打を打っているところへ幽霊が現れ、
「まだ金に未練があるのか」に「せめてテラ(寺)がほしい」という
寺銭と寺を掛けた…これが本当のオチだそうだ。
さすがに今松師匠は一捻り…というよりも本物を聞かせてくださるのであり、
素晴らしい「へっつい幽霊」に出会えたという…またも宝物のような一席。
今日のトリは一九師匠。ネタは「寝床」である。
小満ん師匠から黒門町桂文楽の「寝床」が
一九師匠に伝わっていると思うのでこれは注目!
でも一九師匠は大らかな印象とじっくりの語りが気持ちいい。
大好きである。今日の「寝床」も素晴らしかった。
細かいことをいうと…意地悪い気もするのだが
旦那の不思議な声で義太夫がはじまり、
これだけご馳走になっているのだから褒めないといけない…
そこで「うまいぞ、うまいぞ。玉子焼き」ではなく…
一九師匠は「うまいぞ、うまいぞ。羊羹」だったので
小満ん師匠と同じだ!という。何だかうれしくなってしまう。
「寝床」はわりとよく掛かるネタだと思うし、お馴染みの噺だが、
仕上がりがいいとすごく大きい噺のように感じられて、
実力のある噺家が演じると大ネタになるという…大満足であった。

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第2部番頭の朝太さんがお見送り。
ありがとうございました。

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