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2011年11月21日 (月)

第107回 柳家小満んの会

年内はこれで最後となる「小満んの会」で夕方から関内ホールへ。
今日の三題…テーマは「男と女」といったところだろうか。
女にもてたくて稽古屋に歌を習いに行く「稽古屋」。
深く愛し合っている夫婦がそれゆえに心中をする「心中時雨傘」。
修業を積んだ立派な僧侶も女の魔力に落ちる「鈴振り」。

三遊亭ありがとう:牛ほめ
柳家小満ん:稽古屋
柳家小満ん:心中時雨傘
柳家小満ん:鈴振り

今日はよかった。素晴らしい会だった。今年一番といってもいい。
大好きな前座さんでありがとうさんだが、「牛ほめ」は絶品。
なかなかかわいいところのある与太郎で親しみを感じてしまう。
ありがとうさんはもうすぐ二ツ目の位置にまで来ているけれど、
もう実力的には十分といえる…表現力は豊かで魅力的な存在だ。
小満ん師匠の一席目でまずは「稽古屋」。音曲噺である。
でもその稽古屋にたどり着く前に…ご隠居さんとのやり取り…
「俺だけ女がいない。女にもてたい」と相談に行くところ、
前半から面白く、噺にすっかり引き込まれて、
ご隠居からいろいろと教わっていくのだが、
稽古屋で師匠の前で大失敗というのは、落語によくある展開である。
後半、屋根の上で、北風に向かって、稽古していると
歌の文句で長屋の連中は火事と勘違い…この辺は冬の情景であり、
「稽古屋」って、今の季節にぴったりだと改めて気付いたのであった。
二席目は「心中時雨傘」で、なんと55分ぐらいという長講であった。
「心中」ではあるけれど、夫婦の美しい心を扱った噺で感動。
実話に基づくそうである。慶応元年(1865)11月21日、
まもなく明治になろうとしている江戸の終わりの頃に
11月21日というから…146年前の今日、日暮里の諏訪神社にて
心中事件があった。その真相が語られる。お初と金三郎の出会いから
苦難を乗り越え夫婦となり、しかし災難は続いて、火事そして母の死、
火事の際に負った怪我(骨折)が元で金三郎は寝たきりになり、
それを苦にして、妻のお初に迷惑をかけたくないと死を選ぶが、
お初もまた、ならば供にと…心中を企てるのである。
途中、酉の市の情景で賑やかな場面もあるが、
やはりその後半の心中に至る透明で美しい描写が感動的だ。
そう簡単に書いてしまっては、たいへんに申し訳ないのだけど、
本当にいい噺を聞けて、これまたこれからずっと宝となるような
貴重な噺に出会えて、まずは「心中時雨傘」が今日の大収穫である。
いい噺を聞けた後で…仲入り後は「鈴振り」。ズバリ艶笑噺で…
この噺は、そういった噺の中では非常に有名だと思うのだけど、
小満ん師匠の艶笑小噺三昧で…珍しいし…これは貴重なこと。
知っているのでは左甚五郎がオチの「四つ目屋」も登場したが、
落語の艶笑噺というのは、かなり猥褻な表現で笑わせるという…
師匠も「恥ずかしくて、とてもお客席のみなさんの顔は見られませんよ」って
茶目っ気たっぷりの…こういう師匠が見られるというのも大いに喜び。
噺に入って、一件まじめな古典の世界に引き込まれるのだが、
オチが露骨に猥褻。「こういうオチだと思わないでしょ」って
戦時中なら上演禁止で、今でもテレビやラジオでは放送できない。
しかし江戸の頃からこういった噺が現在に伝わっているのであり、
その歴史を否定するのも…かえって不粋。
そして実際のところ、こういう噺って、会場は大いに盛り上がって、
老若男女、人間生きていれば、そうした話題が好きでない人はいない。
変なところで真面目に堅物ぶっても逆にみっともないし、
師匠も「カラッと笑ってくださいね」と明るく楽しく…それが粋な姿!
「心中時雨傘」の感動を「鈴振り」がすべてさらって行ったのかなと
平成23年の「柳家小満んの会」も会場全体が
明るい笑顔に包まれたところで…これにておひらき。
お見送りの師匠に「今年一番でした」と迷わずいってしまった。
すると師匠も「そう!」って、一年をやり遂げた満足感なのか…
いつも以上に輝いた笑顔を振りまいていた。
今年もありがとうございました。
ということで…次回は1月18日(水)第108回 横浜 柳家小満んの会
演目は「六尺棒」「位牌屋」「夢金」の三席です。
「夢金」が大好きな噺なのだけど、「位牌屋」は楽しみだ。

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