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2011年12月18日 (日)

黒門亭で小ゑん・世之介・金時

今日は小ゑん師匠と世之介師匠が出演で黒門亭へ。
寄席で聞く生の落語というのは、年内はこれで最後であろう。
第2部には禽太夫さんも出るし、トリは金時さんの「淀五郎」だ。
年末の忙しい時期ということもあるのか…客の入りは少なめで
でもその方がゆったりと聞けて、ちょっと贅沢な気分。
主催している黒門亭委員会の方々には申し訳ないけど、
客の少ないときの方がマニア度の高い…満足感も上昇!

第1部
柳家緑太:道灌
橘家二三蔵:魂の入替
柳家小ゑん:レプリカント
林家彦丸:唖の釣り
金原亭世之介:茶金

今日の前座さんは緑太さん。最近はあまり巡り合わなかったので、
ずいぶん久しぶりな気がするけれど、噺はお馴染みの「道灌」で
前半は実に鮮やかに…自然と言葉が湧き出てくるような滑らかさ…
これだったら「小町」付きの本寸法で「道灌」が聞きたいな…
なんて思っていたら、太田道灌公が出てきて、
「にわかの村雨」のあたりか?ハプニング発生。
突然、真っ白になってしまったようで…賤の女は登場せず…
ご隠居と八五郎の会話は続けつつ、話を立て直そうと
苦心していたけれど、持ち時間もあるし、途中を省いて後半へ。
緑太さんも…ここまでグズグズなのははじめてだ…って、
ショックだっただろうな…悔しいだろうな。こういうこともある。
がんばって!応援しよう。第2部の「たらちね」はバッチリ。
出演順が変更で先に二三蔵師匠。マクラでは、
師匠の黒門町桂文楽の思い出、内弟子時代の話で、
同様の話題を左楽師匠や小満ん師匠も聞かせてくれるけれど、
文楽師匠という方は、美しい噺家だったようで、素晴らしいのである。
黒門町のその場所で文楽師匠の昔話を聞くのは、最高の幸せ。
噺の方は「魂の入替」という…はじめて聞く噺で…面白かった。
落語ならではの…短くて、バカバカしい…いや!こういうのこそ、
シンプルな中に味わいがあって、軽快な楽しさで、魅力的である。
こうしたマニアックな噺に出会えると…無性に喜びである。
まだ詳しいことは調べていないのだが、いい噺が聞けた。収穫!
続いて、小ゑん師匠。いつもながらマクラから楽しくって仕方ないのだが、
何しろ先代の「小ゑん」は談志師匠なのであり、そちらにもふれつつ、
目白の小さん師匠の話題が出てくると…こちらは明るい。お人柄だろう。
噺は「レプリカント」だった。うれしい。大好きな噺である。
ラジオデイズの音源をもっていて、よく聞いている。繰り返し聞いている。
しかし実演では聞いたことがなかったのだ。こちらも私的には収穫!
小ゑん師匠は、噺の情景で細部の描き込みが魅力だが、
「レプリカント」は特に…噺の中で小道具が活躍…盗品の数々だけど、
それらが豊かに絵として広がって、まさにディテール!傑作だと思う。
カーネル・サンダースに阪神タイガースの帽子をかぶせると
髭を生やした白人でバースになってしまう場面…私的にはツボだ!
たくさん笑って、幸せな気持ちにしてくれる…新作は素晴らしい。
仲入り後は彦丸さん。上手いなあ。きれいな噺家さんだ。
見ていて…何となく…今日はじめて思ったのだけど、菊之丞さんに似ている。
頭蓋骨の形状?首が長いあたり?目がキラキラしている。
それはいいとして、バカの番付で釣りと来た!噺は「唖の釣り」である。
最高に面白い噺。与太郎さん大活躍のこちらも好きな噺である。
与太郎のバカ面と七兵衛さんの顔が…上下でこまめにきちっと変わっていて、
表情の変化が実に豊かで、彦丸さんは芸が細やかだ。お見事。
私の中では、大いに期待の二ツ目さんである。来年も注目の存在。
第1部のトリは世之介師匠。毒舌マクラは…今日は少々軽めで、
でもマクラから爆笑で盛り上げて、噺でじっくり聞かせる…
世之介師匠もいつも密度が高くて、凝縮されていて、すごい。
今日は「茶金」で、でもこの噺…借金で逃げてきた油屋さんだが、
「はてなの茶碗」と茶金さんの商売上手のおかげで…
一度は三百両という金を手に入れるのに…それがオチの
「水瓶の漏るの…」を聞くと、結局、摩っちゃうのかな?というので、
金に縁のない人のところには、金は残らないのだな…という
何だか悲しい…って、そこまで深読みすることないのだけれど、
ちょっと考えさせられてしまう…今日はそんな「茶金」であったのだ。

20111218a

今日のお見送りは小ゑん師匠。
ありがとうございました。

20111218b1

いつもながら散歩に出かけて、湯島天神にお参り。
男坂である。イチョウがきれいだったので、写真を一枚。

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これから合格祈願で賑わうシーズンだけど、
年末も近づいて、そろそろ参拝者が増えてきたようだ。
来年もまたよろしくお願いします。

第2部
柳家緑太:たらちね
金原亭馬遊:火事息子
柳家禽太夫:くしゃみ講釈
三遊亭金時:淀五郎

開口一番の緑太さん「たらちね」の後、順番が変わって
馬遊さんから。最近覚えたばかりという「火事息子」を披露。
人物の描き方に関して、ちょっと私の好みとは違うかな…
臥煙と呼ばれる火消し人足となった勘当の若旦那だが、
全身に刺青を入れて…というのは、色白でいい男なのであり、
見た目だけでも迫力を出そうということなのか…
外見は変えられても中身までは変えられないのであり、
語り口や性格は、若旦那の面影を残していてほしいのである。
その辺は「船徳」や「唐茄子屋政談」などとも共通で
特に後半の両親と対面する場面では重要だと思う。
火消しだからといって、ただ威勢よく、荒々しく、がさつ者だと、
「火事息子」の人情噺的な要素が生きてこない。
この噺には火事の場面はなくて、火事のおかげで
家に戻ってきてくれた息子の噺なのである。
というのは、親から見た息子のことが描かれているのであり、
その点、私自身も息子の立場なので、まだまだわからないのだが、
「火事息子」という噺も傑作で、深いものがあるなと考えさせられる。
続いて禽太夫さんだ。ちょっと久しぶりになってしまったのだけど、
大好きな噺家さんで…迫力の爆笑で圧倒する「くしゃみ講釈」は絶品。
なのたが、禽太夫さんの「くしゃみ講釈」は前にも聞いたことがあって、
得意ネタなのかな…何度聞いてもよくて…大いに楽しめたのだけど。
今日のトリは金時さんの「淀五郎」である。この噺も大好きだ。
澤村淀五郎を中心にして、四代目市川團蔵と初代中村仲蔵という
ふたりの名題役者が登場するが、皮肉團蔵とその一方で
深い優しさに満ちた仲蔵という…ふたりの淀五郎への接し方は異なり、
その好対照が物語に劇的な展開を生み出していくのだが、
金時さんは穏やかな仲蔵のイメージで皮肉團蔵は似合わないな…って。
そういう表面的なことはどうでもいいのだけれど、中身を考えることにして
芝居の上で…だが、淀五郎を追い詰めていく存在の團蔵なのであり、
そちらは厳しく、辛く当たって、まさに皮肉で嫌味な役者であってほしい。
しかしそれも淀五郎の実力を買ってのことか…仲蔵も指摘の通りで、
忠臣蔵四段目を通して、役者のそうした深い心理が浮かび上がってくると…
「淀五郎」という噺も傑作なのである。淀五郎に本当に切腹しようとまで
追い詰めていく團蔵の描写では、憎たらしく…きつく…役者魂って恐いという
そんな團蔵が理想かな…と考えさせられた。すると後半にいって、
結局は仲蔵の優しさが身に染みるのであり、なんてことを考えていたら
もう一方の「中村仲蔵」の噺が聞きたくなってしまったのだ。
今年の黒門亭は、こんなところで…一年間ありがとうございました。

20111218c

お見送りは第2部の番頭で歌扇さん。

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