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2012年3月 4日 (日)

黒門亭で小袁治・清麿・南喬

今日は小袁治師匠の「百年目」をお目当てに黒門亭へ。
実は三年前の2009年3月末にも同じく黒門亭で
小袁治師匠の「百年目」を聞いており、すごく感動して…
そのときのことが印象深く思い出されるので、
今日は再び!ぜひもう一度聞きたい!と出掛けてきた。
今年もまた「百年目」の季節…もう春である。でも寒い。
そして…私的には、小袁治師匠の前の志ん馬師匠、
第2部に出演の清麿師匠と南喬師匠が好き。
さらには黒門亭の後に同じ落語協会の稽古場にて
小ゑん師匠と喜多八師匠の「試作品」があるので…
日曜日を一日、朝から夜まで…黒門町に居続けである。

第1部
柳家花どん:饅頭こわい
林家さん歩:首や
古今亭菊龍:浮世床~夢
古今亭志ん馬:錦の袈裟
柳家小袁治:百年目


今日の前座さんは花緑一門の花どんさん。はじめてだ。
面白い!これは期待の星!お馴染みの「饅頭こわい」だけど
いろいろ独自のクスグリが挿入されていて、新鮮に聞けた。
そして第2部の方は「真田小僧」だが、親子の対話で
人物の描き分け…登場人物の個性作りがしっかりできているので
情景描写が豊かだし、かなり刺激的に笑いを取って、印象に残った。
二ツ目に昇進してからのさん歩さんを聞くは今日がはじめて。
前座の頃は「初天神」や「子ほめ」とか…噺も決まっているし、
なんとなく前座らしい共通の演じ方というのがあって…
そういう型にははまらなかったしん歩さんだけど…
さん歩に変わって、二ツ目になったら…自分の個性を出して
ひとりの噺家なのであり、自分の芸風を作る…という点からすると
二ツ目という身分・位が人を育てるのか…何か方向性が出てきたような?
黒縁の眼鏡をかけて…新作かな?と思ったら、今日は袴姿で眼鏡なし…
古典であった。首屋さんが生首を売って歩く…「首や」というお噺。
バカバカしい内容だけど…こういういかにも落語っぽい噺は好き。
さん歩さんは自分にあった噺を身に付けて、自分のスタイルを貫いて、
ぶれずに地道にいけば、面白い噺家になっていくのではないか!という
今日の一席であった。これは定期的に成長の道筋を追っていきたいところ。
続いて菊龍師匠が「浮世床」から後半の芝居の部分で「夢」の噺。
こちらは安心して…じっくり噺の情景に参加して聞ける…素晴らしい。
仲入り後は志ん馬師匠が「錦の袈裟」…たしか志ん朝一門会で
トリでこの噺をネタ出しだったかな。というのでバッチリな面白さ。
志ん馬師匠の柔らかい雰囲気と抜けている与太郎が癒しの空間を演出。
そして小袁治師匠の「百年目」だ!お花見で季節限定だし、
一時間に及ぶ大ネタなので、なかなか聞けない噺だけど…
師匠が「五年以上やってないな…」っておっしゃっていたが、
三年前に黒門亭で聞いているのです。ということで二度目。
前に聞いているのに…もう一度わざわざ聞きに行くぐらいなので
それだけ素晴らしいという小袁治師匠の「百年目」なのであり、
今回も何とも味わい深い…感動的な「百年目」であった!
正直なところ…二度目に聞くと、いろいろ知っているので
最初のときの感動には及ばないかな…という心配もあったのだけれど
全くそんなことはなくて…最初から最後まで…今回は55分ぐらいか?
夢中になって、噺の世界に引き込まれ、本当に魅力的な「百年目」であった。
店の情景、旦那・番頭・奉公人の主従関係、そしてそれぞれの人物描写…
それらの仕上がり具合…聞き手に与えるイメージが、私的には
小袁治師匠の印象が求めているものに合っているという…
この辺は好みの問題ということもあると思うのだけど。

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今日も湯島天神にお参りしてきた。
3月に入ったけれど、合格のお礼参りか?
相変わらず…ものすごい人出。

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この賑わいのもう一つの要素で
3月8日まで「梅まつり」が開催されている。
でもこの寒さなので…梅も寒々とした印象。


第2部
柳家花どん:真田小僧
夢月亭清麿:もてたい
桂南喬:今戸焼
柳家さん福:黄金餅

開口一番の花どんさんが「真田小僧」で
続いて清麿師匠が登場!私は清麿ワールドが大好きで
マクラでは師匠の「今年は変わります」宣言から。
戦後の日本は「若さ」とか「若い」ということが尊重されて
日本の高度経済成長を支えてきたけれど
「今年から年相応に生きます」と高らかに宣言して
昔の寄席の楽屋は、志ん生・文楽を中心に
彦六の正蔵、留さんの文治…九代目の文治師匠だ…
圓生・小さんなどはまだいろいろ使われる側で
老人力が満ちあふれていたと…昔の人は
若ぶろうとか…今のことを知ったかぶろう…などとはせずに
堂々と自分に自信をもって生きていた…偉大な老人力!
そこからはじまった噺は「もてたい」である。聞くのは二度目だ。
この噺…面白くて、大好きである。清麿師匠が演じているけれど
新作台本コンクールの優秀作品だそうで…この噺はいい!
品川区の図書館で館長をしているお父さんが似合いすぎ!
南喬師匠がはじめて聞く噺だ。知らない噺はうれしい。
長屋のおかみさん連中がそろって芝居見物に出掛け、
仕事から帰ってきたというのに…自分で戸締りを開けて、
煙草を吸おうにも火がない…自分で火を熾しつつ…
半公のところのかみさんはいいかみさんだ…それに比べて…
ぶつぶつ文句をいいながら…という「今戸焼」という噺であった。
「…というバカバカしいお笑い」というサゲだったので
これは続きがあるな…「今戸焼」はどこにも出てきていないし、
帰って、落語辞典で調べてみると…この後、おかみさんが帰ってきて
長屋の何さんは誰々の役者に似ている…などと噂して、
亭主は頭にきて「少しは自分の亭主を褒めたらどうだい!」というと
「おまえさんは福助に似ている」「役者のか?」「今戸焼の…」という
今戸焼の福助とは、福助の形をした火鉢のことだそうである。
そういう噺だったのだ。これはよく覚えておこう!
そして今日のトリはさん福師匠の「黄金餅」。
お馴染みの噺だが、聞くのは久しぶりかも。欲の皮が張って…
という噺だが、死んだ西念坊主は損をして、金兵衛さんは
その金を有効利用して!という…サクセスストーリー。
でもその金を手に入れるまでの苦労は並大抵のものではなく…
自分の手を汚してまでも必死に!というその真剣さ…
欲そのものだけど…何としてもこの貧乏長屋から抜け出す!
今のひどい生活から抜け出して…まともな生活をするのだ!という
まあ…金に目がくらんでの欲なのだけど…その力強さはすさまじい。
というような黒門亭の一日であった。そして「試作品」へ続く!

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