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2012年9月19日 (水)

第112回 柳家小満んの会

今日は夕方から柳家小満んの会である。
雨はやんだのだけど、するとひどく蒸し暑くて…
ちょっともたついて、出るのが遅くなってしまい、
「おはな商店」のラーメンは食べそこなってしまった。
関内ホールのすぐ近くにあるTURRY'Sで
ロイヤル・ミルクティーでお茶してから行ったのだが、
すると小満ん師匠とおかみさんと娘さんが来られて、
あら!という感じにご挨拶。馬車道って、なんと楽しい!

入船亭辰じん:手紙無筆
柳家小満ん:孝行糖
柳家小満ん:永代橋
柳家小満ん:名月若松城

前座さんは辰じんさんで…今日で小満んの会を卒業かな。
辰じんさんは小満ん師匠もお気に入りの前座さんだったようで
小満んの会にはよく来ていたのだけど、いよいよ二ツ目である。
今日は中秋の名月にちなんで、何といっても「名月若松城」だが、
小満ん師匠の三席、その演目について、聞いていて気付いたのだが、
今日のテーマというか…共通性は、孝行の徳(孝行糖)、
普段からの心掛けで助かった(永代橋)、そして忠義の男(名月若松城)、
一点の曇りない名月のような美しい男たちが描かれるのである。
いや…与太郎と武兵衛はちっとも美しくない。ヒーローは西村権四郎だ!
一席目は軽やかな印象で「孝行糖」である。後が重いので、前半は短めに。
「孝行糖」のマクラって、昔の様々な売り声が紹介されるのだが、
今日は「大根(でいこ)とごぼう(ごんぼ)」など、代表的なところをいくつか。
マクラが長くなりすぎないように…まさに導入といった感じだったのだが、
聞いていて、あらゆる売り声紹介を小満ん師匠で聞いてみたいかも!などと
つい思ってしまった。噺の方は与太郎の登場で明るく楽しい仕上がりである。
続いて「永代橋」だが、実演で聞くのは今日がはじめてだ。
彦六の正蔵師匠の録音をもっていて、でも考えてみると聞くのは何年ぶりか?
すごく新鮮な気分で接することができた。というか、中身はすっかり忘れていた。
財布を掏られて、その掏った男が永代橋の落橋で水死するのだが、
死体から出てきた財布の書付で武兵衛が死んだことになってしまう…
その辺はよく記憶していたのだけど、長屋の大家さんが太兵衛であり、
「多勢に無勢」が「太兵衛に武兵衛」となるオチ!この辺は聞いた後に気づくという
そういえば、マクラで「多勢に無勢」の話題が出てきた…聞き逃してはいけない!
落語は肝心なことを聞き逃すとオチなくなってしまう…気が抜けないのである。
そこが面白さであり、また楽しさであり、夢中になってしまうところでもある。
この大家さんの太兵衛が、粗忽なお方で…「永代橋」って、粗忽シリーズだが、
本人を相手に「お前は死んでいるよ!」とまるで「粗忽長屋」であり、
武兵衛の方もかなり抜けているというか…一緒に死体の引き取りに
行ってしまうという、財布を掏られたと口にして、はじめてお役人が気付く!
何とも間抜けな展開で…面白い。「永代橋」って、こんなに面白い噺だったのか。
しかし一方で、祭り見物に出かけて、財布を掏られて、それで面白くなくなって、
帰ってきてしまった…それで助かった!掏った男は落橋で死んでしまうのだから
そこに何かの力が働いており、正しい者は幸運にも救われるというような…
この辺はどこか教訓めいたものも込められているような気がする。
本人が自分の死体を引き取りに行くのだから…基本はバカバカしいのだが、
小満ん師匠は前半で…永代橋の崩落事件について、歴史的な部分も
きちんと説明してくれたので、むしろ全体の印象は非常に格調高くもあり、
バカバカしいことがおかしさになってもくだらなくならない…まさに絶妙なメリハリ!
この辺が小満ん師匠ならではの落語の仕上げ方で素晴らしい一席だったと思う。
仲入り後は待望の「名月若松城」である。三年前の日本橋の会だったか?
やはりこの時期に一度だけ聞いたことがあって、小満ん師匠でしか知らないけれど、
「名月若松城」は講釈ネタで…講談をよく聞かれる方には有名な噺なのかも。
こちらは重厚な噺で…私などは歴史に弱いので…必死になってしまうのだが、
戦国武将の蒲生氏郷を中心として、登場人物も多く…その辺は難しさでもあり、
しかし一方で聞き終えたときの心がすっきりと晴れる心地よさ、それは感動的で、
忠臣である西村権四郎の真っ直ぐな人柄に心打たれる…これぞ偉大な作品である。
清らかな人々が描かれるのは、やはり何よりも素晴らしいことであるし、
中秋の名月の美しい情景に重なる後半の展開は、簡単には言葉に表せない…
すごく大切なものにふれている気がして、噺の透明な世界に心が熱くなる。
などと書き連ねてみて、この想いというのは、やはり上手くは表せない…
ということで…次回は11月19日(月)第113回 横浜 柳家小満んの会
演目は「粗忽の使者」「子別れ(中)」「三井の大黒」の三席です。
2012年も最後の会となるが、なんと「三井の大黒」である。うれしい!
それに私は「子別れ」の(中)が大好きで…二年前だったか横浜の会でも
「(上)強飯の女郎買い」が取り上げられており、その続編としても期待である。

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