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2012年11月 3日 (土)

黒門亭で歌扇・時蔵・伯楽

午前中から東海道品川宿を歩いていたのだが、
13時半も過ぎて、京浜東北線の大井町から
急いで御徒町へ移動。伯楽師匠を聞きに黒門亭へ。
すっかり遅くなってしまって、昼食をとる時間もなく…
14時少し前に到着したのだが、まだ誰も並んでいなかった。
入口に貼り紙がしてあり、橘家二三蔵師匠が出られなくなり、
時蔵師匠が代演されると…二三蔵師匠はどうされたのかな?
待っていると上からは南喬師匠「佐野山」の相撲風景が
かすかに聞こえてきて…なんだか幸せな気持ちになってきて、
圓太郎師匠が鈴本へ向かう途中に落語協会に寄られたみたいで
ニヤニヤと笑って、テンション高めに「どうぞごゆっくりなさって!」と
挨拶してくれたから…早めに待つのも楽しくて、やめられない。


第2部
入船亭ゆう京:たらちめ
三遊亭歌扇:竹の水仙
林家時蔵:替り目
金原亭伯楽:汐留の蜆売り


前座さんはゆう京さんだ。神有月の出雲で縁結びのマクラから
噺はお馴染み「たらちめ」だけど…ゆう京さんの「子ほめ」も「道具屋」も
いろいろ聞いてきたが、今日の「たらちめ」あたりから…いいかも!って。
ご隠居さんと八五郎と…言葉が丁寧なお嫁さんに行商のネギ売り…
わざとらしくならずに…自分の言葉で自然体にしゃべりながら…
きちんと人物の描き分けもできている。そういえば、この辺については
以前からしっかりできていたのだが、なんだか今日はすごくよかった!
そして続いて、歌扇さんが登場。圓歌師匠のお宅の…中沢家で有名な
「入れ歯が落ちた螺旋階段」のペンキ塗りの話題から…実に楽しい。
圓歌一門の修行風景って、なぜか聞いていて、暖かい気持ちにしてくれる。
噺は「竹の水仙」で…これはかなり以前にも書いたので…前からなのだけど
勢いがあって、声もすごく響いているし、実に上り調子の歌扇さん!という。
時蔵師匠が酔っぱらいのマクラから「替り目」で…今回で二度目だけど、
鍋焼きうどん屋が登場の後半も…「銚子の替り目」のオチまで。
前に聞いたときもそうだった。「替り目」というと夫婦のやり取りだけど
時蔵師匠の夫婦が実にいい!酔っぱらいの身勝手な旦那に対して
おかみさんがかなりきつい感じに叱っているのだが、
そこに愛情がこもっているのがしっかりと伝わってきて、いいのである!
うどん屋さんの酒に癇を付けたり、海苔を焼いたりの場面もいい!
そして今日のトリは伯楽師匠の「汐留の蜆売り」である。
泥棒の噺だが、間抜け泥ではなく、あの鼠小僧が出てくるという…
人情噺のような展開。しかしこの噺が、何とも後味が悪く…
今日もまたそうした結末であったが、鼠小僧が与えた二十両が
大名から盗んだ金であり、結果として、助けた相手が捕まってしまう。
その辺を蜆売りの少年から聞かされるのだが、ここでも蜆を買ってやり、
多分に金を与え、困ったものを助けてやるのが鼠小僧…しかしながら
その助けが仇となるのが今回の噺。話の顛末を聞いて、鼠小僧も悩み、
自分が名乗り出ればすぐにも助けられる…しかしまだ娑婆に未練がある…
というので、結局は泥棒仲間に身代わりになってもらうのであり…
自分も二三年したら後から行くよ…と、それで助けることはできたのだが、
この辺がどうも合点がいかず…何かそこに理解を越えた内容があるのか?
後味が悪いのである。なぜ?という疑問が…「蜆売り」って、不思議な噺だ。
まあ、それはそれとして、伯楽師匠の語りは実に味わい深く、情緒豊かで
蜆売りの少年とそれを囲む大人たちの様々な接し方があって、
今日も素晴らしかった。噺の情景に深く入り込めて、何とも人間味のある世界。
この鼠小僧の「蜆売り」も珍しい噺だとは思うのだが、いい噺が聞けた。
16時50分に終演の充実した会であったが、大満足の一日である。

20121103

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