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2013年2月13日 (水)

クリストフ・エッシェンバッハ

マティアス・ゲルネとのシューベルトの歌曲集「白鳥の歌」の後半は、
クリストフ・エッシェンバッハの独奏でピアノ・ソナタ 変ロ長調 D.960。
2010年2月と2011年1月にベルリンのテルデックス・スタジオで収録。
シューベルトが好きで仕方のない私だが、なんと感動的な演奏であろう。
こんなにも音を大切に…一音一音への想いの強い演奏は聞いたことがない。
時間的にはかなり長いのだけれど、遅いという印象はそれほど受けない。
といって、集中力が強い…というよりは、安らぎに満ちた世界である。
ゆったりとした足取りで…一歩ずつ弾き進んでいくという点では、
かつてのリヒテルの存在を思い浮かべてしまうけれど、
ここでの大きな違いは、エッシェンバッハは実に表情豊かであり、
どんなに小さな瞬間にも想い入れたっぷりの歌で、入念に描きこんでいる。
たとえ伴奏部分にも美しい音楽が流れているのであり、親しみでいっぱいだ。
よく聞こえてくる音と…鳴ってはいるけれど、聞こえてこない音とがあるのだが、
その微妙な使い分けが見事であり、かすれて…消えてしまいそうな弱音、
繊細な感触には驚かされ、聞こえない音にこそ…大きな存在感が生まれる…
そしてそこに意味が生まれる…という、エッシェンバッハという人は偉大だ。
今日では指揮者というイメージが強く、ピアノは企画に合わせて少しだけ…
ということが多くて、今回はピアノ・ソナタの大作を演奏してくれているけれど、
ぜひともピアノの演奏もしてほしい。歌曲、室内楽と様々に録音を残してほしい。
歌曲集「白鳥の歌」もここでのピアノ独奏もこの数年でも最高の感動である。

Harmonia Mundi HMC 902139.40

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