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2013年5月 5日 (日)

柳家小満ん「在庫棚卸し」

今日は小満ん師匠の「在庫棚卸し」第5回で
東横線と副都心線の直通で新宿三丁目まで行って、
丸ノ内線に乗り換えて四谷三丁目へ向かうという…
前回からこの路線を利用しているのだが…
新宿三丁目での乗り換えも少し慣れてきた。
やはり今回も思うのは、便利になったけれど…
東横線はどうも時間がかかる。荒木町の橘家へ。

柳家小満ん「在庫棚卸し」第5回
柳家小満ん:蜀山人
柳家小満ん:紙屑屋
柳家小満ん:長崎の赤飯


まず今回の三つのお噺だけど、蜀山人は長崎奉行として、
二度、長崎へ赴いている…つまり「長崎の赤飯」と「長崎」つながり。
「紙屑屋」と「長崎の赤飯」は「勘当の若旦那」つながり…ということで
後半の大ネタ「長崎の赤飯」に至る物語の流れが素晴らしい!
この辺の演出は、さすがに小満ん師匠!って、思うのだけど、
「紙屑屋」の若旦那は道楽者でまさにダメな若旦那であり、
「長崎の赤飯」の若旦那は勘当されているとはいえ、立派な人で
対照的なふたりを比べることで…後者がまた実に感動的なのである!

20130505a

開演前に小満ん師匠が、持参された軸を壁に掛けていて…
これは大津絵で「鬼の念仏」だ。とすると「十八壇林」である。
「鈴振り」のマクラとしてもお馴染みの関東十八壇林を巡る小噺を
小満ん師匠が新作で…「十八壇林」という一席に作り直されて、
そこで蜀山人の讃がある「鬼の念仏」として、紹介されている。

20130505b

正直なところ読めないのだが、「十八壇林」の録音を聞き直してみると
左に流れる…というのが蜀山人の癖であり、たしかに左に流れ…
「念仏をもうすこころのやさしさは鬼も十八壇林の僧」だそうである。

20130505c

こちらが僧侶の姿をした鬼であり、「心のやさしさは」とあるので
恐そうな印象はなく、むしろ愛嬌のある表情をした鬼にも見えるのだが、
一席目のマクラにて…「十八壇林」の噺を作っている頃に
ちょうどこの掛け軸に出会って、迷わず購入を決めたそうである。
噺の中で「鬼の念仏」が出てくるので蜀山人の狂歌は知っていたのだが、
実際に小満ん師匠がお持ちで…噺の情景になっているとは知らなかった。

それで蜀山人のお噂が出たところで…噺の方も「蜀山人」である。
この噺は、以前に横浜の小満んの会で演じられており、
つまりはさらに以前に日本橋でも取り上げられているのではないかと思うのだが、
たくさんの狂歌が次々に紹介されるので…相当に狂歌への理解がないと
噺についていけなくなってしまうのではないかと思うのだが、実は私は…
こちらも横浜での録音をもっていて、歩きながら…しょっちゅう聞いているので
ここでの狂歌はほぼ心得ている。この「蜀山人」という噺は、渋いけど楽しい。
まさに粋な世界であり、でもその粋さが現代には失われてしまっているという…
つまりはなかなか手ごわい噺でもあるのだが、そこが味わいで心地よいのである。
ちなみに「蜀山人」という演目は、落語事典にも載っていて、古典落語であるのだが、
聞いていると…おそらく小満ん師匠がほとんど全部作り直してしまったのではないかと
そんな印象も受ける…蜀山人の噺ながら…これぞ小満んワールドなのである。
一席目の「蜀山人」が、なんと40分ほどかかってしまったそうで、
二席目は時間調整に…と「紙屑屋」であった。ここで勘当の若旦那が登場。
居候(権八、ごんぱ)の分際でありながら生意気でいいたい放題の若旦那が
また小満ん師匠だと実にいいのだけど、道楽者の粋な様子が絶品で
そこは黒門町の文楽師匠の粋さが受け継がれている小満ん師匠ならではか!
仲入り後は、なんと「長崎の赤飯(こわめし:強飯)」であった。
長崎から赤飯が送られる…まさかそんなことがあるわけがない…という
このとてつもないスケール雄大で、大どんでん返しの展開は、夢中になって、
噺に引き込まれてしまうのだが、長崎と江戸という…実に珍しい噺である。
今日は端午の節句で、初節句の祝いに贈った武者人形のお返しとして、
長崎から赤飯が送られてきた…その点で今日の話題にぴったりなわけだ。
実は私がはじめて小満ん師匠に出会ったのが、この「長崎の赤飯」だった。
小満ん師匠の「長崎の赤飯」を聞いて、それ以来、ずっと師匠が好きである。
それもあって、今日は「長崎の赤飯」がはじまったら、懐かしくって、うれしくって、
心にじんと来てしまって、とにかく幸せな気分になって、これが喜びというもの。
在庫の棚卸しがされたので…久々の名作に再会できて…本当にありがたい。
実に堪能した連休後半の日曜日なのだけど、いまもまだ余韻に浸りつつ…
次回は6月2日(日)だそうである。もちろん予約は済んでいる!

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