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2013年7月18日 (木)

第117回 柳家小満んの会

今日は「柳家小満んの会」で関内ホールへ。
早めに出掛けて、参議院選挙の期日前投票を済ませた。
夕方で混んでいるかと思ったのだが、意外にガラガラで
あっという間に順調に終わったので、関内に着いても
まだ時間があったので、いつもの「おはな商店」へ。
まずは腹ごしらえ。今回は「コク旨味噌らーめん」にしてみた。
味噌もおいしい!でもやっぱり「豚骨」がいいかな。
コシのある太麺のモチモチ感がたまらず…麺は最高だ。
さて、関内ホールへ。今日は夏の噺が並んでいる。

林家けい木:十徳
柳家小満ん:たがや
柳家小満ん:三年目
柳家小満ん:鰻の幇間

先週の日本橋に続いて、前座さんはけい木さん。なんと「十徳」。
「付け焼刃は剥げやすい」ではじまったので、「子ほめ」かな…
隠居のところを訪ねた八五郎…この情景は「道灌」?「一目上がり」?
あれ…違う。何これ?というので、「十徳」だった。久しぶりに聞く。
五年ぶりぐらいか?以前にさん吉師匠がちょっとだけ短い噺を最初に…
というので、「十徳」を演じて、それから他の噺に移ったのだけど、
そこで聞いて以来だ。噺もすっかり忘れてしまっていたし、実に新鮮!
両国橋が下総と武蔵の両国に掛かっていたところから「両国橋」という
ここは続く「たがや」につながるではないか!もしかすると…この流れは、
小満ん師匠がけい木さんに「十徳できる?」って、リクエストしたのかも。
わからないけど…両国橋の川開きへと…絶妙な導入となったところで
小満ん師匠が「たがや」で江戸の花火の情景。川開きの様子である。
この噺は短いので…マクラをたっぷり、鍵屋、玉屋の花火の歴史から
花火の掛け声のかけ方、ここでは、芝居の掛け声…つまりは大向う、
そして寄席の掛け声…「黒門町!」って地名でいうなど、いろいろ聞けて、
小満ん師匠のマクラが好きな私にとっては、最初からうれしくなってしまう。
そして何とも夏の風情である。夏の夕暮れだ。紫色の空が見えるよう。
橋の上の賑わい…花火への期待でごった返している人々の活気。
威勢のいい江戸っ子は、荒っぽさと人情であふれているのであり、
喧嘩の時間で…いつの間にか辺りは暗くなっていたが、
そこへ花火が上がって、パッと明るく照らされると…人々の顔が映って、
まるで映像のよう。引き込まれて、自分も橋の上にいるみたいだが、
次の瞬間、お侍の首も宙に舞ったから…た~がや~!
花火って、次がいつ上がるのか?緊張して、空を見上げているものだけど
その集中力で「たがや」も聞かなければいけないのだ。今さら気付く。
続いて二席目も…まずはあの世の小噺だが、死んだかみさんが嫉妬深く、
幽霊になって旦那の元へ出ようとするが…閻魔さまから許してもらえず、
というのは、幽霊は美人がなるもの…お前は化け物だ!という噺で、
面白いのだが、いつの間にか話題もすっかり幽霊に近づいたところで
「三年目」である。この噺も恐くないし、むしろ笑いどころたくさんで、
私が知る限りでは、スタンダードな「三年目」なのかな…とは思うけど
小満ん師匠の味わいが噺全般に浸透していて、なんて心地よいのだろう。
こういうのは贔屓目と好みの問題であり、聞き慣れている噺家さんだ…
というのが大きいのだろうけど、しかし柳家小満んの会には、
常連の大好きなファンが詰めかけているのだから…その点では
会場全体がこの空気を共有して、きっとよい思いをしていたはず!
ふたりのおかみさんが出てきて、つまりは死んでしまうおかみさんは、
後半には幽霊になる…こちらは陰の存在である。それに対して、
新しくお嫁に来た後妻のおかみさんはかわいらしく、赤さんも産れて、
こちらは対比で陽のおかみさん。そのふたりの微妙な違い、
表情の付け方はまさに絶妙で、大袈裟ではなく、ちらっと感じさせる…
師匠が意図的にそうした変化を付けたのか?それとも噺の流れで
自然にそうした違いが生まれてきたものなのか?それはわからないが…
決して過剰にならない…細やかな味付けが積み重なって、
思い出せば思い出すほど、感動的なのである。基本は渋くて、
その場では淡々と流れているようで…後からじわじわ来る。
仲入り後に「鰻の幇間」だが、ここでは「三年目」と打って変わって、
こちらは幇間…一八の噺であり、勢いと華やかさ、弾けるテンポ、
過剰に目に余る振る舞いこそが一八なのである。大いに盛り上がる!
小満ん師匠の「鰻の幇間」は絶品だ!圧倒的な輝き!とにかく凄い!
今回は穴釣りに関しては説明だけで、羊羹は省略。丘釣りに絞って、
「お宅は先のとこ」の入れ方とか…少しずつ再構成されていたような…
いや、気のせいかもしれない。鰻屋の女中さんにお小言を連発し、
一八の怒りが最高潮に達するところ、ものすごい迫力だった。笑った!
本当に面白い。「鰻の幇間」は普段からよく聞いているのだけど
それでもこれだけ大興奮になるのだから、どうも相当に好きみたいで。
マクラで紹介されたのだが、忘れないうちにちょっとだけ書いておくけれど、
松山から出てきた正岡子規が、一校(現在の東大)を受験して、
苦手な英語の筆記試験で「judge」について記述するところで
カンニングで隣に聞き出して、すると教えてくれたのは「法官」。
なのに…子規は「幇間」と勘違いして、「太鼓持ち」について書き連ねたとか。
結果は見事に合格であったのだけど、ならば「幇間」は英語で何?となり、
「jester」だそうである。「冗談をいう人」「(貴族に雇われた)道化師」とある。
ヴェルディのオペラで「リゴレット」が、まさに雇われ道化師だ。幇間。
ということで…次回は9月15日(日)第118回 横浜 柳家小満んの会
演目は「猿後家」「成田の間男」「猫久」の三席。日曜日の昼間の開催だ。
小満ん師匠の「成田の間男」は大好きで…これは楽しみである!

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