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2013年7月13日 (土)

第262回 柳家小満んの会

黒門町を後にして、上野広小路から銀座線で三越前へ。
夜はお江戸日本橋亭で「柳家小満んの会」である。
お盆の噺が並び、「渡しの犬」は、「夢から覚める」というので
「盆々唄」とつながっているのかも?ふと思ったのだが…
そういえば…「大山詣り」も目覚めると頭は坊主だった。
なるほど!今回は「目覚めると…」という三席である。

林家けい木:やかん
柳家小満ん:渡しの犬
柳家小満ん:盆々唄
柳家小満ん:大山詣り

「渡しの犬」は、旧制中学校の英語の教科書に載っていた…
「デビットスウォン」という短編小説を小満ん師匠が、
かなり昔に落語に仕上げたのを…久しぶりに再演だそうである。
のんびりとした空気が心地よくて、何とも味わいだったので
必死に思い出して、出てきた話だけ記録しておきたい。
文化・文政から天保になろうとしている頃(1800年代の前半)、
日光街道で江戸を目指して出てきた若者が、水戸街道にまわって、
柴又の渡しで昼寝をしている。そこに来た駕籠の老夫婦が休息を取り、
若者が死んだ息子に似ているということから…身代を譲ろうと
相談をはじめるが、もう一歩のところで、駕籠が出発してしまった。
続いて…器量のいいお嬢さんが、寝ている若者がまるで役者みたいと
見初めるのだけど…話はそんなにうまく運ぶわけもなく…
今度は風体の悪いふたり連れがやってきて、枕探しで
寝ている男の懐から財布を抜き取ってやろうと企むのだが、
そこに一匹の白い犬がやってきて、吠えられたものだから、
「こんなやつから取り上げても…」と捨て台詞を吐いて行ってしまった。
やっと男も夢から覚めて、出ようとしている渡し船に自分も乗ると駆けつける。
そこに先ほどの犬がやってきて、かわいい犬だね、渡しの犬かい?と
船頭に尋ねてみると「いいえ、私の犬ではありません」というオチだったか?
最後があやふやになってしまったが、夏の昼下がり、少し気だるい風景が、
目の前に広がって、いや…これもすべて夏の夢なのではないかという…
ぜひまた聞きたい噺である。小満ん師匠のこういう噺は本当に素敵!
こちらも夢から覚めて、「盆々唄」で江戸のお盆だが、この噺はだいぶ前に
駿菊さんで聞いたことがあって、志ん生師匠の録音が残されていると
その録音も見つけて、一時期はまって聞きこんだことがあったのだが、
知っているので…あえて予習もせずに臨んだのだけど、はじまると
噺の筋がよみがえってくる。迷子のおひろちゃんを育てて、夏になり、
お盆を迎え、女の子たちが盆々唄を歌いだすと…おひろだけが、
「江戸で一番は相生町」…ここで子供を授かるという夢から覚めるのであり、
翌日、おひろの本当の親を探しはじめて、本所相生町でついに見つかった。
この噺はオチのない…ということは人情噺であり、すごくいい噺で、
何で演じられないのだろう。季節は限られるかもしれないけれど、
「盆々唄」は夏の噺で…もっといろいろな噺家さんにどんどん演じてほしい!
久しぶりに聞けた喜びもあるし、本当の親に子供を返してやりたいという想い、
親子の再会の場面は感動的で、貴重な噺が聞けた。今日の大収穫。

20130713b

そして先週に続いて、小満ん師匠の「大山詣り」。待ってました!
黒門亭で聞いて、すぐに保土ヶ谷宿の金沢横丁の写真を送ったのだが、
「かなさわ道」と「圓海山道」の道標の話題を噺の中に加えて下さって、
「圓海山で峰の灸をすえるかい?」「灸なら金沢八景の方がましだ!」
横浜の圓海山は「強情灸」でもお馴染みの「峰の灸」が有名だけど、
それで金沢八景まで足を延ばし、平潟の浜から野島へ…船を出して、
急な天候の変化で…船がひっくり返ってしまった。というのはウソだけど、
「大山詣り」の賑やかさ、大山講の一行が戻ってくるのは夏の夕暮れ、
おかみさん連中は、お毛がなくなり、冗談が過ぎるのだろうけれど…
みんなが無事でよかったね…という展開は、落語の素晴らしさ。
熊五郎もマゲを落として…坊主頭は、きついお灸がすえられたし、
他の連中もおかみさんが丸坊主で…きっともう、懲り懲りだろう。
本当に楽しい「大山詣り」だった。あまりに魅力的だったので
しばらくは…他の「大山詣り」は聞きたくない!それぐらいよかったのだ。
ということで、明後日(7月15日)は、四谷にて柳家小満ん「在庫棚卸し」、
さらに来週木曜日(7月18日)は、第117回 横浜 柳家小満んの会である。
演目は「たがや」「三年目」「鰻の幇間」の三席。まだまだ続く!

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