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2013年7月 6日 (土)

試作品で小ゑん・喜多八

黒門亭の第2部がハネて、外の行列にすぐ並んだ。
今日は落語協会に居続けで…夜は「試作品」である。
いつも日曜日のことが多いのだが、今回は土曜日で
「試作品が終わったら月曜日」というのがないのは、
実に気が楽で、私はうれしい。明日はまだ日曜日。

柳家喜多八:天災
柳家小ゑん:無精床
柳家喜多八:愛宕山
柳家小ゑん:ほっとけない娘

今日は殿下からで、近くある大きな会の稽古をしたいと
これは期待だが、「天災」だった。大好きな噺である。
ものすごく威勢のいい120%過激な…攻撃的八五郎と
冷静で…何より渋い!紅羅坊名丸先生のやり取りが絶品だ。
八五郎から何度も噛みつかれても全く動じない先生もすごいし、
心学の講義を受けて、ふと気づいた八五郎が、気持ちも切り替えて
喧嘩して得したことはない…着物は破くし、怪我をする、仲直りに一杯やる…
銭のかかることばかり…といいだすところ、お気に入りである。悟った?
江戸っ子のさっぱりした性格を代表しているのかもしれないが、気持ちいい。
それで長屋に戻ってきて、熊さんのところでオウム返しの大失敗は、
今度はかわいく思えてくる。そういえば、「先妻の間違いだ」というオチ、
今日の殿下は別のオチだった。油断して、聞き損ねてしまった。何だっけ?
続いて、小ゑん師匠が、前座の頃に習って…今日は久しぶりという「無精床」。
こちらの噺は…実は正直なことを書くと…大の苦手で、ホラーは嫌だ!
下駄の歯を研いだ…ガタガタの剃刀で髭を当たられて、イタイイタイ!
何より恐怖の耳を削いでしまって、犬に食べられる…これはなかった。
ホッとしたのは束の間、剃刀の柄で頭をコツン!柄じゃなくて、刃の方だったから
血がダラ…って、額を伝わってきて…背筋も凍る…冷房以上に寒くなる。
怪談噺よりもよっぽど恐い。これらの点は、記憶から消去することにするが、
見習い中の小僧さんが出てくるけれど、小ゑん師匠のキャラ作りがかわいらしい。
強面で…ぶっきらぼうで、融通のきかない床屋の親方とは好対照か!
やはり「無精床」のことを思いだすと…今となってもゾッとするのでこの辺で。
仲入り後は、殿下が稽古の続きで…今度は「愛宕山」である。幇間の一八だ。
峠の茶屋に到着したところからかわらけ投げの場面に絞って、コンパクトな感じ。
「愛宕山」は、穏やかで大きな存在の旦那と欲ばりで金に執着する一八の対比で
噺だけ聞いていても面白いのだけど、やはり実演を見るとそれ以上に豊かである。
一八が派手にジャンプで…客席も元気に明るく盛り上がったところで…大満足!
今日のトリは小ゑん師匠で…新作台本コンクールの入賞作「ほっとけない娘」。
ファンの間で大評判で…噂に聞いて、楽しみにしていたのだが、ついに聞けた!
好きになって、はまってしまうと…夢中でそれしか見えなくなる…という
今日の主人公でユリちゃんは、仏像マニア!仏像をめぐる旅をしている。
お寺と仏像をキーワードに奈良の旅、後半も鎌倉めぐりの道中付け。すごい!
35歳の仏像女子は、オタクキャラではないけれど、はまってしまう楽しさは、
私もまた共感してしまうし、それゆえに噺の世界に引き込まれていく。
仏像の鑑賞をコレクションのようにとらえて…一種の塗りつぶしの旅は、
落語ファンが、この噺は聞いたことがある…というのと共通でもあるし、
一方で仏像の美しさに目覚めての恋心のような感覚は、ユリちゃんの人間らしさ。
そこが今回は、オタクのマニアック度とは少々違って、つい自分に置き換える点。
そしてその仏像にそっくりな憧れの大仏くんが目の前に現れるのは、これぞ落語!
小ゑんワールドにぴったりの噺であり、すると原作の方にも興味がわくけれど、
とにかく爆笑だったし、楽しくって、幸せな気持ちになれる噺であった。
いま思うと…ユリちゃんの部屋には、漫画雑誌、コミックが本棚にあふれているそうで
マンガに登場の主人公たち…美男美女か?それを仏像に投影しているのだな…
その辺もいまの感覚に近いと思えるし、仏像に目覚めるキャラが備わっていた。
思い出しても面白い。でも考えてみれば…「ほっとけない」の放っておけないのは、
ユリちゃんのお父さんの方で…娘のことを思うばかりに、大仏くんの登場シーンで
自分に都合のいいように聞こえてしまう…ネタバレしちゃうけど、「東大が東大寺」など、
この辺も注目の要素ではあるのか!でも私は父親の立場ではないので、その点では、
やはり仏像コレクターの方に共感を覚える…小ゑんマニアのみな様はそちらの方か?
たくさん笑って、堪能したところで…今回の「試作品」はこれにてお開き。満足満足。

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