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2013年9月29日 (日)

試作品で小ゑん・喜多八

今日はお昼を食べてからゆっくり出掛けて、
横浜から京急と都営浅草線で蔵前まで行って、
のんびり歩いて、下谷を経由して、御徒町から黒門町へ。
夕方から「試作品」だ。ちょっと早すぎる時間だったのだが、
とりあえず一度、落語協会へ行ってみたところ…
すでに並びはじめていたので、そのまま列へ。
上では黒門亭の第2部で南喬師匠がトリだったのだけど
今日はネタが出ていなかったので…何の噺だったのか?
気になる。お帰りになる南喬師匠をお見送りできて…
うれしくなってしまった。外での待ち時間も楽しみはいろいろ。

柳家小ゑん:ぐるんぐるん
柳家喜多八:首提灯
柳家小ゑん:鳩よ!
柳家喜多八:長命丸~短命

今日は小ゑん師匠からで…一席目は「ぐるんぐるん」だった。
師匠の代表作である…おでんの「ぐつぐつ」を自身で改作し、
回転寿司が舞台となって、「ぐる~んぐる~ん」と回るのである。
何年か前に黒門亭の子供の日特集で取り上げられて、
そのときの録音がラジオデイズで配信されている。
歩きながら…よく聞いているが、何度聞いても大爆笑。
近く小学校の低学年を対象に聞かせる機会があるそうで
この「ぐる~んぐる~ん」…子供たちは夢中になるのでは。
しばらく流行語で口癖になりそうな気がするのだけど、
今時の子供たちって、どうなのだろう?でも小さなときから
小ゑん師匠の落語にはまれるなんて…何てうらやましい。
続いて、喜多八師匠だが、マクラから面白い。楽屋ネタ。
先代小さん師匠の刀の話題になって、「士農工商」の展開で
これはお侍の噺かな?という感じになったのだが、なんと「首提灯」。
べろんべろんに酔っ払って品川に遊びに行く…たちの悪い江戸っ子と
渋すぎるカッコのいいお侍のやり取り、その対比が最高だった。
情景としては「鈴ヶ森」に似ている気もするけれど、場所が鈴ヶ森だと
品川宿を通り越してしまうので、こちらは手前の芝だそうな。
どちらにしても江戸の頃には、夜は寂しく、真っ暗だったのだろう。
その辺を考えながら聞くと…ますますリアルな臨場感であり、
首がスパッと斬られてからの視覚の効果もあるし、豊かな描写だ。
惚気の独り言をつぶやきながら…ふらふら夜道を歩いているのだが、
歩き方に癖があるのか?どうしても首が右に回転してしまう。
あれっ?という表情で…首の向きを真っ直ぐに戻すのだが、
その様子の見事なこと!ここが見せ場でもあり、盛り上がって、
首が斬れていることに気づいてからの驚き様、慌てぶり、
ついには首が落っこちてしまう…その緊張感と迫力は感動的だ!
今日はいい噺が聞けた…というか、「首提灯」は見られた!わけで。
仲入り後、小ゑん師匠ははじめて聞く噺。子供の頃のことを
落語に仕立てたと…実話に基づくとおっしゃっていたか?
ということで、60歳前後の人はどんぴしゃというネタである。
それ以外の人はわからないかも…ということだったが、
私は…正直な話…わからないこと、知らないモノばかりだった。
でも古き良き時代、懐かしいものへの憧れは、世代を越えて、
誰にとっても共通に魅力的なのであり、噺の展開も面白いし、
少年たちのいきいきとした情景、純粋な心、これはいい噺である。
また聞きたくなってしまう噺。小ゑん師匠のレトロ・シリーズだけど
「すて奥」とか「卒業写真」とか…それに「春宵値千金」、実にいい!
少年ものとしては、「新竹取物語」は中学生が主人公だったが、
今回はもっと若返って、子供たちの大冒険である。冒険なのだけど
ごく毎日繰り返されている日常の風景に…ちょっとした変化、
それは友達の一家が「夜逃げ」するという、その「夜逃げ」の意味も
実は子供たちには理解できていないのだが、その変化がもたらす…
仲間同士の人間模様が、我々大人が聞いて、何とも切ないのである。
この噺、終わってから「はとよ」って、題名を教えてもらったのだが、
戻って、「にゅ」のブログで調べてみたら「鳩よ!」という噺だそうだ。
ぜひまた聞きたい!今度は二度目で聞くと…昔の遊び、昔のグッズ、
昔の話題の様々だが、もう少し理解できそうな気がする。期待しよう!
今日のトリは喜多八師匠で「短命」だった。その前に薬ネタということで
マムシ酒の話題、そして艶笑小噺の「長命丸」で…そこから「短命」へ
喜多八師匠の「短命」は、この流れである。あと「ブリのアラ」付き。
ご隠居が「短命」の訳を遠回しに説明して、一所懸命伝えるのだが、
手振り身振りで…ハッキリ口にするのも憚られて、小さな声でぶつぶつ…
言ってしまえば簡単だけど…こんなこと、大きな声では言えないよ…って、
その様子のおかしさは最高だった!「首提灯」同様、こちらも見せる噺?
この辺の演出に関しては、喜多八師匠ならではの効果だと思う。
現在の有名なところでは、さん喬師匠などは、丁寧に丁寧に…
遠まわしで四季折々の例を挙げて、ついには悟らせていくわけで。
「短命」の噺におけるこの面白さは、やはり喜多八師匠だからこそ!
終わるとちょうど8時で…たっぷりの今回も充実した内容であった。
大満足の日曜の晩で…幸せな気分で帰宅したのである。楽しかった。

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