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2013年11月 2日 (土)

柳家小満ん「在庫棚卸し」

三連休の初日は小満ん師匠の「在庫棚卸し」で
月例となった荒木町橘家での土曜日である。
11月になって、どんな噺が聞けるのか?
寄席では、そろそろ冬の噺が出てくる時期だけど、
来月もあるので、年末の噺はまだお預けだと思うし、
その辺は楽しみで、結果は珍しい噺が並んだのだ!

柳家小満ん「在庫棚卸し」第11回
柳家小満ん:縁切寺
柳家小満ん:胴乱の幸助
柳家小満ん:御用


「いざ鎌倉」で松が丘の東慶寺と来たので、これは「縁切寺」である。
尼寺の東慶寺は、駆け込み寺として有名で…オチも「茶漬けをかっこむ」。
この噺は、以前に横浜の小満んの会で聞いている。懐かしい!
夫婦の痴話喧嘩とすれ違いで…落語ならではの要素が盛りだくさんだが、
すごく面白いし、よくできた噺なのだけど、なぜかこの噺も極めて珍品。
江戸から鎌倉までの道のり(駕籠で移動)と…鎌倉の地名が出てくる点で
どうしても江戸・東京でウケが悪いのか?横須賀線の北鎌倉で降りると
駅のすぐそばに東慶寺があって、観光スポットとしても非常に有名である。
といって、神奈川県民の私も前はよく通るけど、入ったことはない。失礼。
喧嘩した旦那が、近所のおかみさんから「慌てて、鎌倉に行った」と聞かされて、
そこで女房は「どうせ、鎌倉河岸にでも行って、田楽でも食べてるんでしょ!」
すると「相州鎌倉よ!縁切寺の東慶寺のこと」だと教えられ、大騒ぎになる。
神田鎌倉町の鎌倉河岸で…東京の鎌倉と相州鎌倉を比べるあたり…
落語の地名が好きな私にとっては、マニアックに大喜びの場面であった。
東慶寺の門前で再会した夫婦は、呆気なく仲直りして、惚気だす始末、
何ともバカバカしい…カラッと明るい展開がこの噺の魅力的なところ。
続いて二席目…薪屋のご隠居で喧嘩の仲裁が道楽の胴乱の幸助さんの登場で
この噺は上方の「胴乱の幸助」だろうと…以前に落語研究会で聞いたことがある。
米團治さんで…まさに上方噺であり、その後、東京では聞いたことがなかったので、
そのまま上方の演目であろうと思っていた。でも今日の小満ん師匠のでは、
舞台は明治の東京となっており、後半の喧嘩の仲裁で京都へ向かうところも
汽車で行くのである。急行券を買っていなかったために普通列車に乗るのだが。
つまり東京版に直された「胴乱の幸助」があるのだ。これは知らなかった。貴重品。
ネットで調べたところ…東京では、二代目桂小南が得意にしていた…とあり、
五代目三遊亭圓生の速記が残されている…とある。その辺が東京版か?
前半の江戸っ子ふたりが、相対喧嘩(喧嘩の芝居)で胴乱の幸助さんを騙し、
仲直りの酒を飲ませてもらって、幸助さんという人が、かなり気前がいいのと
思い込みが激しいというところが描かれて、それを踏まえた上で…後半へ
稽古屋から流れてくる浄瑠璃を聞く人だかりに…これは何事だ!と
「お半長右衛門(お半長)」の「姑の嫁いびり」で…京都の話だと聞かされる。
東京にまで知れ渡った大揉め事で…これは自分が仲裁しなければと
京都の柳馬場押小路に実際に出掛けてしまうところ…これもまた早合点。
勘違いもここまで行くと…可笑しくて…可笑しくて。笑いが止まらない。
真面目な人なので、浄瑠璃の筋など知らないし、とにかく真剣なので、
幸助さんが必死に仲裁すればするほど、ますます面白いのである。
「胴乱の幸助」って、これは面白い。浄瑠璃の「お半長」を知らないので
そこに理解があれば、もっと深いのだろうけれど、でも実に楽しかった。
仲入り後は、フランス映画の趣きで…ということで、文楽師匠から教わった…
「子殺し」という陰惨な噺を…小満ん師匠が陰惨でない…明るく直した一席。
帰りに師匠にお聞きしたら…「御用」という演目としているそうである。
鷲神社の酉の市で…こちらはちょうど今の噺。11月3日が一の酉。
お賽銭を多めに入れて、その代わりに拾った小銭を福財布に入れようと…
すると五十両の小判が入った財布を拾ってしまう。気が大きくなって、
吉原、深川、品川で派手に遊んでしまい、博打ですっかり摩って、無一文。
女房に預けた残り十両の金を当てにして、戻ってきたのだけれど、
酒屋の御用聞きに「この辺りで偽金が出回っている」と聞かされ、
自分の使った金がその偽金であったと…最後は「御用」になってしまう。
つまりは「芝浜」のようにきちんと届け出ないとたいへんなことになる!という。
オチは軽いけど…これはとんでもないことになった!どうなっちゃうの?って、
ドキドキの展開であった。この男は悪党だけど、つい心配してしまうところで
憎めないキャラということである。その辺の役作りが、やっぱり独特の味わいで
小満ん師匠の魅力だな…って、素敵な一席はフランス映画の香りが漂う。
ということで…次回の「棚卸し」は12月7日(土)。もちろん予約済!

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