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2013年11月17日 (日)

黒門亭で彦いち・小満ん・歌武蔵

今日は小満ん師匠を聞きに黒門亭へ!
実は明日も横浜の小満んの会なので、二日連続。
噺は横浜でも出ている「陸奥間違い」なのだが、
珍しい噺であり、ぜひ二度聞いておきたいと
今日も朝早くから黒門町へ出掛けた。
第2部も歌武蔵さんが「文七元結」をネタ出しで
年末ネタが並んで、久しぶりの通しである。

第1部
柳家圭花:一目上がり
柳亭こみち:小板橋さん
林家彦いち:手向けのかもじ
柳家喬之助:寄合酒
柳家小満ん:陸奥間違い

第1部は開場前に「札止め」の盛況ぶりである。
「陸奥間違い」の注目度はやはり高いのか?
これを聞いておかないと…もうそうは出会えない。
前座さんは二人で…圭花さんが歌むいさんの指導係。
先に登場の圭花さんが「付け焼刃は剥げやすい」ときて、
「子ほめ」だな…って思ったら、凹の間の掛け軸の話題。
「道灌」だな…って、聞いていたら、あれ?「一目上がり」だ。
どの噺でも圭花さんは上手い!というか楽しい。
この明るさが何よりも大切で…聞く人を笑顔にする。
こみちさんは新作。きつつきさん(萬橘さん)の作らしい。
主婦の噂話の凄まじさ!噂話をするのが楽しいのであって、
真実などはどうでもいい…という。本当のことがわかっても
全然盛り上がらない。たとえ嘘でも噂話は楽しいのである。
名前だけしか登場しない小板橋さんが、実は噺の中心にいる。
小板橋さんって、どんな人?この不思議な後味も新作ならでは。
彦いちさんは、新作のような古典だが、どんな噺かというと
落語事典に載っている現在では演じられない古い噺を発掘!
という企画で…「手向けのかもじ」という噺であった。知らない!
でも面白い。新作のように彦いちさんが創ってしまっていると
細かいクスグリは、みんな独自に作り込んでいったと思うのだが、
その辺が新作みたいな印象で、しかしこれは古典!私は好きである。
お弔いとか、そこでの口上、教わってきたことをオウム返しで大失敗、
おかみさんの尻に敷かれて…などなど、古典の要素が盛りだくさんだ。
仲入り後は喬之助さんがお馴染みの「寄合酒」。その前にマクラで
出演者をいじくり倒す…笑顔でなかなかの毒舌は笑ってしまう。
寄合いの賑やかな感じ…仲間が集まっての楽しい情景だが、
こういう噺は、喬之助さんにぴったりのようで…心地よい盛り上がり。
そして小満ん師匠の「陸奥間違い」である。江戸時代の石高の説明、
つまり武士の階級制度であり、上は大名、下は旗本、御家人となり、
貧しい御家人は、奉公人も雇えない…恒久的な借金生活で、
ここでの穴山小左衛門も年越しの掛取りに支払う金が工面できない。
江戸幕府の仕組みや下級武士の生活ぶりが勉強できてしまう。
その辺がこの噺の格調高さであり、同時に難しさでもあり、
小満ん師匠の解説にゾクッと来てしまうのは、ファンの証である。
その難しさに関して、理解を深める点では、もう一度聞けるので、
明日になれば、より詳しくなっているのかも。今日のところは
あまり深く書かない方がよさそうで…しかし「三方めでたい」の結末、
これは間違えられた松平陸奥守の伊達家、本来の松納陸奥守、
間違えた張本人で穴山家の奉公人とそれぞれが出世する…
このサゲを聞くと…何とも幸せな気持ちになるのであり、
晴々として、まさにおめでたい感動的な噺なのである。
聞き終えて、実に清々しい!明日の小満んの会も楽しみだ。

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第2部までの間に寿司処「しゅん」に行ってきた!
ランチメニューのにぎりで1050円…おいしい!
これは黒門亭の通しのときのお楽しみ。満足。

第2部
三遊亭歌むい:転失気
林家時蔵:代書屋
隅田川馬石:壺算
三遊亭歌武蔵:文七元結

第2部の開口一番は、もうひとりの前座さんで歌むいさん。
まだ新しい前座さんだけど、言葉もハッキリと聞きやすいし、
上手くって、すでに出来ている印象。しかしまだ緊張なのか?
楽しむ余裕はないか…明るくない。というより陰気な空気が漂い、
とにかく上手いのだけど…聞いているこちらも暗くなってしまう。
表情に笑顔、仕草に楽しさがにじみ出てくれば、噺もいきいきと!
言葉もいいし、テンポ感もいいので、三か月後、半年後に注目!
時蔵師匠は「代書屋」だ。この噺は面白いけど、すごくよかった。
代書屋さんがそれほどには意地悪な印象ではなく、陰険でなく、
意外に丁寧に優しい感じなのだが、それを上回る傍若無人な男。
今回は…お名前は「中村時蔵」さんだそうだ。役者と男女同権。
それをいうなら「同姓同名」である。時蔵師匠のお喋りは、
いつも自然体で…作り物っぽいところがなく、するとかえって、
この情景が現実味を帯びてくるのであり、リアルである。
こういうとんでもない男の相手をしないといけない代書屋さんの苦労、
呆れ果てている姿に…こちらも呆れて、共感しながら大爆笑。
時蔵師匠の「代書屋」はかなりいい!過激でないところが好き。
続いて馬石さんが、こちらも瀬戸物屋さんがてんてこ舞いする…
噺は「壺算」である。客はまくしたてるし、気弱で強く出られない店主、
その対比は、馬石さんの芝居は実に鮮やか。すると笑ってしまう。
3円と3円を何度も何度も算盤に入れて、どうしても6円になり、
しかし手元には3円しかない…不思議でたまらない瀬戸物屋さん。
焦って、最後はキレ気味に…かわいそうだけど、あまりに滑稽だ!
後の「文七元結」に備えてか、「代書屋」も「壺算」も短めだったかと…
しかしすごく充実していて、よい仕上がりに大満足な前半であった。
そして今日のトリは歌武蔵さんの「文七元結」である。
この噺は、題名の文七よりも左官職人で長兵衛さんを聞く噺だが、
その職人気質という点では、歌武蔵さんの長兵衛はすごくよかった。
噺の流れは本寸法で…50分ほどの長講一席。充実である。
珍しかったのが…佐野槌のおかみさんが、訪ねてきた長兵衛に
「商売替えをしたのかい?」…「屋根屋でめくってばかり」ではなく、
「経師屋で貼ってばかり」であった。ここは博打なので「張る」が正しい?
歌武蔵さんが工夫したのか?…他にもあるのか?珍しい印象である。
11月に入って、噺の方は年末モードになりつつあるけれど、
今年も「文七元結」が聞けた!って、ささやかな達成感に幸せである。
そんな日曜日であったのだが、噺も年越しになるわけで、外は寒い。

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