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2013年11月 3日 (日)

試作品で喜多八・小ゑん

昨日の棚卸しの会で小満ん師匠から聞いた酉の市の話題で
今年の文化の日はちょうど「一の酉」にあたっており、
早速、浅草鷲神社に出掛けてみた。日比谷線の入谷へ。
しかし14時過ぎに到着すると…参拝客の長蛇の列で
これでは、後の「試作品」に間に合わないと断念。想定外!
すると今度は時間が早いのだが、ゆっくり御徒町に戻ってきて、
のんびり黒門町へ…まだ誰も並んでいなかったので
急いで湯島天神にお参りして来ようと…再びお散歩に。
するとこちらも11月は「菊まつり」で…参道は長蛇の列。
受験シーズンだって、こんなに並んでいることはないのに…
本当に今日は間が悪いというか…三連休の日曜日の午後。
これまた並んでいたら…遅くなって、お目当ての試作品が、
今度は長蛇の列になってしまうとキッパリあきらめた。
黒門町に戻って、もう動くのはよそうと…待っていたら
すぐにお馴染みさん仲間が来てくれて、酉の市については、
夜、この後、試作品が終わってからリベンジすることに。

柳家喜多八:付き馬
柳家小ゑん:むじな谷の夜
柳家喜多八:芝浜…ではなく…睨み返し
柳家小ゑん:トニノリ

今日は喜多八師匠からで…まもなく殿下の本が出るそうで
出版の裏話を少々…小三治師匠も登場でマクラから一気に盛り上がる。
年末の噺が出る季節になったのだが、さっきまで「芝浜」を稽古していたと
ここでさらっておこうかと…でも今日は、やっぱりやらない!って。笑。
とはいいながら…「付き馬」が来たのだから、私は大喜びである。
騙して逃げる…極悪な噺ではあるけれど、とにかく面白くて、大好きな噺。
若い衆を連れまわす悪い客だけど、適当なことをペラペラとよく喋って、
お調子者であり、ひどくいい加減でありながら、強引にもって行かれてしまう。
その辺のキャラ作りは、まさに絶妙であり、噺の情景に引き込まれてしまう。
吉原大門を出て、浅草近辺を歩き回るけど、一緒に歩いている気分になる。
そして後半の早桶屋の場面、おじさんがこしらえてくれると客は逃げ出して、
残された若い衆と早桶屋のおやじとが、ちぐはぐな会話を交わすところ…
何度聞いても笑ってしまう。言葉の使い方で…全く別の意味の言葉が、
お互いに自分に都合のいい方へ解釈して、不思議と会話が進んでしまう…
この辺りは日本語の特長であり、これぞ落語ならでは!といえるであろう。
続いて、小ゑん師匠が、パソコンが壊れた!って、ごく最近の一大事か?
Windowsのリカバリーで、復旧に三日もかかってしまったという…大変!
現代人って、道具を失うと何もできなくなってしまうのであり、それはよくわかる!
普段、当たり前に動いていたものが、ある日、ちょっと調子が悪くなっただけで
あらゆることが回らなくなってしまって、その喪失感といったらとんでもない被害。
そんな道具のない暮らしを体験!ということで…オートキャンプ場での一夜。
はじめて聞く噺だ。新作落語なので…内容は書いちゃいけないのだが、
家族のために不慣れなことにチャレンジする!お父さん。知識の詰め込みで
道具ばかりを買い揃えて…いきなりキャンプ場に来てしまったのだから、
失敗ばかりで空回りする。しかしそのがんばっている姿に家族の心に変化が!
文句ばかり言っているけれど、きちんとお父さんの気持ちを理解していて、
陰で手助けしているお母さんも素敵だし、娘や息子も自分から動きはじめる!
元気が出る噺だ。上州屋で購入のキャンプ用品が次々に出てくるところは、
小ゑん師匠のオタク系の展開であり、キャンプの夜といえば、天体観測!
その辺りはまさに小ゑんワールドなのだけど、今回はそれだけではない…
大自然の中で、家族の心がひとつになる…心暖まる物語なのである。
仲入り後の喜多八師匠は、「おまえさん、起きておくれよ」で「芝浜」か!って、
というのは冗談で…最初の場面だけサービス!しかし気持ちは大晦日。
なんと「睨み返し」である。大好きな噺だ。今日はうれしい。大当たり!
借金の言訳屋さんが無言で睨み返すところだけど、その表情が面白すぎ。
私はツボにはまってしまって、笑いが止まらなくなってしまった。
何となく目線は宙に浮いて、視線が定まらない…とぼけているような、
話はちっとも通じないし、病的な空気も漂ってきて…逆な意味で恐すぎる。
威勢のよかった借金取りもあっという間に怯えだし、腰が引けてくるところは、
見ていて滑稽というより…爽快である。これだけ笑ったら、気分も晴れ晴れ!
そしてこの一席で…今年の年末スイッチが入ってしまった。残り二か月。
今日のトリは小ゑん師匠で…「トニノリ」。はじめて聞いた。噂に聞いていた。
山手線の戸袋の海苔をとる噺って、お仲間から話には聞いていたのだけど、
戸袋窓から中を覗いて…という噺だったのだ。なるほど!そういうこと!
そういえば、昔の山手線で103系時代には、戸袋に窓があった。
ウグイス色でアルミボディに変わる前の車両。何となく思い出す。
面白い!私はこういう噺…すごく好きかも。はまってしまった。
何で電車の戸袋に海苔が落ちているの?というのも不思議だし、
この男は、それを何とか取り出して、表面を炙って、醤油を付けて、
炊き立てのご飯で食べたい!って、憑りつかれてしまうのである。
そんな奇妙な話、常識では出てこない発想、これこそが新作の魅力。
オチに関しては、これは書かないけれど、この男は戸袋の中身に
夢中になり、海苔だけでない…永遠に求め続けていくのではないか!
無限地獄である。決して手の届かない戸袋の奥を追い求めて…
山手線で回り続ける。この男…実は師匠自身なのではないか?
マクラでいっておられたけど、自動ドアが収まる戸袋の中への憧れ、
戸袋の中は夢の世界!そこに無限の広がりが隠されているのである。
そんな戸袋への愛が、この噺を生み出させたのではないか!
「トニノリ」は最高!今日は聞けてよかった。幸せだ。
大興奮の中、お仲間と酉の市へ。日曜の夜は楽しい。

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