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2014年4月 6日 (日)

柳家小満ん「在庫棚卸し」

今日は小満ん師匠の棚卸しで、お馴染みの荒木町へ。
4月上旬ということもあり、桜はちょっと終わりつつあるが、
「百年目」が聞きたい!って、実は先月から思っていたのだけど、
残念ながら、お預け。去年、たばこと塩の博物館の落語会で
師匠は演じられていて、行っておけばよかったって…今さら。
まあ、それはいいとして、でも今回も非常によかったのだ。
特に「お若伊之助」については、目からウロコ的に楽しめて、
自分でも驚きである。嫌いな噺だったので。その辺は後で詳しく。

柳家小満ん「在庫棚卸し」第16回
柳家小満ん:雁風呂
柳家小満ん:茶碗割
柳家小満ん:お若伊之助

昨日は三河へ行っていたと…今日の午前中に戻ってこられたのか?
話の様子では、そんな印象だったのだけど、そこで遠州掛川の情景である。
名を残すというのはたいへんで、商人の方では、紀伊国屋文左衛門、
と来たときに…「雁風呂」って、頭に浮かんで、自分でいうのもなんだけど、
よく当たったって思うのだが、続いて、中之島と淀屋橋で知られる大坂の淀屋、
闕所になった淀屋辰五郎の話題、さらには水戸黄門と来れば「雁風呂」である。
2011年3月の日本橋の小満んの会で、この「雁風呂」が演じられており、
そのときの録音をよく聞いているので、入り方で気付いたのだと思うのだが。
この噺もかなり渋い噺といえるのだろうけれど、こういうのこそ、味わいである。
小満ん師匠のこういった噺は大好きなので、面白いし、大いに楽しめる。
やはりその辺は、演じ方しだいで、説明的な部分がどこまで伝わるかだ。
「雁風呂」の絵解き、謎解きと…それを上方言葉で演らなくてはならない難しさ、
おそらく…厄介な噺だよ!といわれるのではないかと。私は好きな噺である。
いや、でも小満ん師匠で聞けるならいいのだが、他所では遠慮かもしれない。
続いては「茶碗割」が来た。この噺も大好きで、横浜での録音をよく聞いている。
2009年5月の小満んの会で演じられており、日本橋の会はその少し前であろう。
尾崎紅葉作で小満ん師匠が落語にした…というのは、以前から知っていたのだが、
今日のお話だと、尾崎紅葉自身も泉鏡花らとともに、自作を演じたそうである。
おそらく講談のような仕上がりか?その辺の様子も記録に残っているらしい。
元々は大坂の噺だったのを…江戸に移して、情景や設定の調整は師匠による。
かなりドキドキハラハラする噺で、その緊張感、最初の衝撃はすごいと思うのだが、
何度聞いても面白いのである。質両替商の小松屋喜右衛門で起きた事件が、
狂言作家によって芝居に仕立てられ、それが上演されて、大評判という…
噺の中でも芝居小屋の風景が出てくるのだが、まさに芝居を見ているような、
実に絵になる情景である。この「茶碗割」は本当に魅力的で、もっとどんどんと
いろいろなところで演じられて、広く知られてほしいと思うのだが、いかがであろう。
仲入り後は「お若伊之助」である。三遊亭圓朝の作による「因果塚の由来」だが、
後半でそちらの展開なのか、小満ん師匠の工夫によるものか…そこがいい。
実はこの「お若伊之助」という噺が嫌いだった。志ん生師匠の録音を聞いて、
根岸に移り住んだ後の場面だけど、お若のところへ訪ねてくる伊之助を、
鉄砲で撃ち殺すと狸が化けていたという…それでお若は狸の子を産むのであり、
その辺が嫌いな理由か、とにかく嫌なので、それ以来、聞いたことがなくて、
志ん朝師匠の録音があることも知っているけれど、敬遠していたのである。
でも今回の噺の結末、圓朝師匠の本来のサゲだそうだが、それは離魂病。
ひとりの人間が思いつめることによって、ふたりに分かれてしまい、つまりは
その分身は思いを叶えて、別々に暮らすという…しかしながら、何かの拍子に
分かれたふたりが再会してしまうと、手が触れた途端、分身は消えてしまって、
残った者も心臓が止まり死んでしまう…それが離魂病である。これは明治の話。
西洋から「ドッペルゲンガー」の言葉や考え方が入ってきて、日本的に解釈し、
離魂という病として、信じられていた…ということだと思うのだが、この手の話題は、
圓朝師匠は、いろいろな形で落語に盛り込んでいるので、神経とか、魂とか、
時代の流行であろう。最先端の話題を巧みに取り込むという…これぞ圓朝噺。
お若は男の子と女の子の双子の兄妹を生み、表には出せぬ子として、
別々に他所へ縁付けられる。その後も伊之助への想いが絶ちきれず、
結局はふたりで駆け落ちをし、神奈川の方で暮らして、男の子をもうけたが、
息子が十八になったときに、心配をかけた根岸の叔父のところへ謝りに行こうと
しかしそこには、離魂したお若の元の方が病で寝ており、訪ねてきた分身は消え、
元のお若も死んでしまう。伊之助も後を追って、首を吊った。またお若の子供で
双子の兄妹も不思議な縁で惹かれ合い、道ならぬ仲のふたりは心中をしたと。
残ったお若の息子は、仏門に入り、谷中に因果塚を建てる…それで由来である。
お若の元へ通っていたのは狸だが、あまり狸というのは強調されず、この後半、
後の噺を簡単に付け加えるだけで、全く違う印象に聞こえてきたのである。
すごく面白かった。こんなにも面白く聞けるなんて、それが一番の驚きだった。
この離魂病という…まさに圓朝の明治の時代ならではの話題かもしれないが、
この辺は、実に興味深く思えて、これから「お若伊之助」は熱心に聞いてみるか!
ということで…次回の「棚卸し」は5月5日(月)である。もちろん予約済!

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