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2014年5月19日 (月)

第122回 柳家小満んの会

今日は夕方から小満んの会で、関内ホールへ。
少しだけ出る時間が遅くなってしまったので、
横浜からは市営地下鉄で…すると関内駅で
地上へ出たところが馬車道の会場近くなのである。
この中席の小満ん師匠は、末廣亭の「小さんまつり」と
日本橋、横浜の小満んの会、他の会もいくつか重なって、
大忙しだと思うのだが、それも今日で一段落だそうだ。
お疲れでは…って、勝手ながらの心配をしていたが、
そんなことはない素晴らしい三席で大満足であった。

柳家さん坊:道灌
柳家小満ん:雛鍔
柳家小満ん:髪結新三(上)
柳家小満ん:髪結新三(下)

まずは「雛鍔」である。子供が出てくるというので…端午の節句で
五月のこの時期の噺ということになっているが、季節限定でもないけれど
いかにも落語というイメージもあって、よく知る噺でも、やはり小満ん師匠だと
実に魅力的なのである。私的には、一席目の「雛鍔」から楽しんでしまった。
何がいいかというと…植木屋さんが、お屋敷の若様のお育ちの良さに触れて、
自分たち町人の暮らしぶりとのあまりの違いに…思わず落ち込んでしまうのだが、
その後、お店の旦那様が訪ねてきては、職人としての心構えをしっかりと語り、
また旦那の方も出入りの職人に自分の不始末を詫びて、心の広い、穏やかで
立派な旦那なのであり、その辺の人柄が豊かに伝わってくるので、感動的なのだ。
狭い長屋で、職人と旦那が差し向かいでやり取りしているシンプルな情景だけど、
その言葉は深いし、何とも絵になっているというか、芝居の一幕のようである。
こういう想いが残るので、今日の「雛鍔」は本当によかったのだ。聞けてうれしい。
「こんなもの拾った!」って、相変わらず生意気な子供だけど、それがまたかわいい。
旦那に対して、お茶の菓子で羊羹を勧める場面があるが、ちょうど似ているのが、
「髪結新三」の後半の大家さんのところでも出てきて、それが今回の共通項?
いや、それは偶然。まあ、関係ないであろう。忘れることにして、続いて「髪結新三」。
季節でもあり、「初鰹」のマクラから。これは後半の…大家さんが新三のところで
初鰹を半身貰うよ…って、そういいながら金を半分巻き上げるという展開なのだが、
つまりは初鰹って、噺の重要な小道具で、それもあって、この時期の噺なのである。
それに今日、気付いたことではあるのだが、新三の策略で、白子屋のお熊さんが、
誘拐されるのが五月四日であり、それは…明日は五日、端午の節句というので、
髪を結っておいたら…と、回り髪結の新三が白子屋さんにお邪魔しているのである。
それでお嬢様がいなくなったと…店では大騒ぎ、車力の善八さんが、新三のところへ
掛け合いに行くのが、翌日の五月五日ということだ。あともうひとつ、記憶に残ったのが、
新三は「上総無宿の入墨新三」だと無宿人だったのだ。つまりはそれで、大家さんが
無宿人を長屋に置いてやっていると恩に着せ、新三もまた、いざとなると頭が上がらない…
新三は過去に何を仕出かしたのか知らないが、腕には二本の墨が入っているという。
罪人上がりということである。弥太五郎源七の前では下手に調子のよかった家主が、
新三の前では、勢いよく凄んで、悪党の新三までも追い詰めてしまうところは見せ場だ。
善八さんに頼まれて、源七が白子屋からの十両で話を付けようとしたのを撥ね付けて、
間に入った家主の長兵衛の采配で、三十両まで吊り上がり、初鰹の片身に託けて、
半分の十五両は取られ、滞った家賃でさらに五両、結局は十両しか手に入らない。
そんなことなら、弥太五郎源七に恩を売っておくのだったと落胆しているのは滑稽。
源七を追い返した新三の迫力はすっかり消え失せているのであり、その程度…
というのと、脇役の大家さんが、一気に主役に躍り出るのが、この噺の面白さ。
弥太五郎にしても新三にしても見た目の悪党なのであり、本当の悪はこの大家。
へらへらと調子のよいことを言って、嘘で固めた…陰の中心人物は大家である。
仲介で話をまとめた家主の長兵衛が二十両を持って行ったので、いつの世にも
上手く間に入った人間が利を掠めていくという…何とも考えさせられる場面である。
しかし「髪結新三」は面白い。私は大好きだ。夢中になってしまう。そういう噺である。
前回の日本橋(2012年5月)での「髪結新三」が、上と下で、どこで切れ場だったのか?
忘れてしまったのだが、今回は車力の善八さんが、源七親分のところへお願いに行く…
おかみさんの取り成しで、頼みを聞いてやんなさい…とそこまでが(上)であった。
そして(下)は、善八と源七が永代橋を渡り、深川富吉町の新三のところへ行く場面から。
またもうひとつ地名で記憶に残ったのが、新三と手代の忠七が雨の中を歩いており、
小網町で稲荷堀(とうかんぼり)の辺りにまでやってくる…という、稲荷堀であった。
弥太五郎源七を追い返し、男を上げた新三であったが、大家の長兵衛にへこまされ、
結果、ここでいい思いをしたのは、長兵衛だけである。一方で弥太五郎源七は、
ここでは全くいいところがなく、深く恨みを残すのであり、その後に深川閻魔堂橋で
新三を殺害するというのが、この先の展開である。「白子屋政談」の後半も
師匠はいずれ演りたいとおっしゃっているので、ぜひに!と期待しているのだ。
話は前後してしまうのだが、白子屋を話題にするときには、紀伊国屋のことも
(上)のマクラでは紀伊国屋文左衛門の話も丁寧に語られて、この辺は、
師匠のお得意の話で、説明しておきたいという思いがよく伝わってくる。
そして(下)の方では、弥太五郎源七の登場で…ということだけど、
町内の親分の存在、役割、…、落語でよく聞く花会(はながい)の説明なども
いろいろと勉強になった。また町役人を務める大家さんの話題も…である。
ということで、次回は7月17日(木)第123回 横浜 柳家小満んの会
演目は「垂乳根」「有馬のお藤」「大山詣り」の三席。楽しみである!

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