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2014年7月13日 (日)

第268回 柳家小満んの会

お昼から東京へ行って、お仲間と馬喰町、小伝馬町、
椙森神社、恵比寿神社、紺屋町、室町、日本橋と
落語散歩をしていたのだが、夕方からは日本橋亭で
柳家小満んの会である。13日といえば、小満んの会。

林家けい木:オレオレ詐欺
柳家小満ん:本膳
柳家小満ん:河内山宗春~丸利の強請
柳家小満ん:引越の夢

けい木さんが、「粗忽長屋」をオレオレ詐欺で…演目は不明。
小満ん師匠の一席目は「本膳」である。村の衆が総勢36名で、
本膳の食べ方を先生のところに教わりに行くのだが、練習の間もなく、
失礼ながら上座に座らせていただいて、私の食べるのを真似なさいと。
その辺は、大らかな先生であり、物事を心得ている立派なお人だが、
いざ食事がはじまると、失敗までを全員が真似るので、怒り出して、
隣の人を肘で付く…するとそれまでも真似されてしまうのだけど、
先生もさすがに怒るのだな…って、その長閑さは何とも好きである。
近頃の病気の名前で、「結膜炎」を「ケツまくり炎」といったり…
今回は「インフルエンザ」も何か面白い言い方で出てきたのだが、
忘れてしまった。何だっけ?思い出せずに…悔しい。残念。
二席目は「河内山宗春」である。師匠の案内ハガキから引用すると
歌舞伎の方では「宗俊」だが、講釈では「宗春」であり、講談のネタ。
そして今日の話で、二代目の松林伯圓が「天保六花撰」として、
講談にまとめたという。この人は、通称「泥棒伯圓」と呼ばれたそうで
泥棒の噺が得意だったということ、その冒頭が、今回の噺だそうだ。
この河内山宗春という人は、お城の茶坊主で、特に格上の奥坊主だと。
しかしその中身は悪党であり、ここで痛快噺として語られるのだけど。
その物語だが、なかなか頭に残っていなくて、正直なところ、難しい。
しかし断片的にでも記録しておかなければ…弟分の牛松が訪ねてきて、
仲間が近く佐渡送りになるので、何とか十両の金をこさえたいと。
それで宗春が丸利へ強請に行く。十三両二分の珊瑚玉が無くなり、
宗春が鼻をかんで、その間に紙に包み、外へ投げ、牛松が回収する。
店の方では、目の前で珊瑚玉が無くなったのであり、宗春を奥へ…
着物を脱がせて、調べるのだが、物は出てこない。そこで怒り出して、
百両の金を巻き上げる。ここは「丸利の強請」という場面だそうである。
噺の展開など、予習をして、多少は頭に入れておくべきだった。
でも帰って、ネットで調べてみると、どうもあらすじも出てこなくて、
復習もできない。最後はスカッとする噺だったので、これはぜひ、
また聞いてみたいと。何度か聞かないと頭に入らないような印象である。
仲入り後は、「引越の夢」だ。これが面白かった。たくさん笑った。
「引越の夢」は、番頭さんが新しく来た女中さんにいろいろ得な話をして、
来年は別居しますから、そのときには、かみさんをもらおうと思っている…
そこまで言い出すのだけど、その辺は、この噺の笑いどころではあるのだが、
でもどうもこれまで、そんなに面白い噺とは思ったことがなくって、しかし…
今回は面白くてたまらなかったので、すごくよかったのである。やはり描き方。
以前に師匠に聞いたことがあるのだが、元は上方の噺で、ここでの情景も
上方の大きなお店がモデルであって、多少こちらの雰囲気とは違っていると。
お店の奉公人、商売の様子、店の造りや間取りなど、色々と表現されているが、
奉公人の男たちの寝床、それに対して、奥の台所や女中部屋の位置関係、
どうも聞けば聞くほど、謎に思うことが多かったのだが、今日は非常に明快で
店の様子が目の前に…鮮やかに広がったのである。それが何よりの喜び。
女中部屋は台所に隣接してあり、もちろんそれは極めて合理的なところだが、
よって新しく来た女中さんもそこに寝ていると。当然といえば当然なのだけど、
そこもきちんと説明が行き届いていたし、しかしそうして具体化してくると…
なんで女中部屋が中二階なのか?というのは、その設定にしておかないと
噺が成立しなくなってしまう…ということなのだけど、梯子を上って、中二階。
するとその下の階は、どういうスペースになっているのか?倉庫、物置?
味噌樽、漬物樽が並んでいたり、今でいえば、食品庫になるわけだけど、
台所に面して、そうした場所があっても不思議はないような気がするが、
なんで女中部屋が二階にあるのか?というのは、実に興味深いのである。
だから、そうしないと噺にならなくなっちゃうよ…ということなんだけど。
それは…もしかしたら、まさに夜這い防止のためにわざわざ二階にして、
梯子を取り外しちゃえば、女中の身は守られると…それが理由なのかも。
昔のお店は、奉公人同士の恋愛は、堅く御法度で、許されなかったと
よく噺の中では出てくるのだが、店の中で男女の動線が交わらないように
そうした間取りが、お店の造りで、基本としてあったのかもしれない。
奉公人が堅い…というのが、店の信用につながるとそうした考えかも。
あと、オチにつながる台所の吊戸棚だが、部屋の中央に吊ってあり、
前後、両方から取り出しができる構造になっていると、その辺も明快。
二番番頭の忠七が落ちてしまった戸棚を担いでいると、下地が垂れてくる。
それがおできに染みて、嫌な心持ちだと…この辺も実に目に浮かぶ。
こうした細かな表現が、情景を描き出していくのに大切な役割をしていると…
「引越の夢」という噺が、はじめてしっかり入ってきた気がする。よかった。
ということで…今週、木曜日(7月17日)が横浜での柳家小満んの会だ。
演目は「たらちね」「有馬のおふじ」「大山詣り」の三席である。楽しみ!

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