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2014年9月13日 (土)

第269回 柳家小満んの会

黒門町から日本橋へ移動。夜は柳家小満んの会。
13日といえば、小満んの会である。9月は土曜日の開催で、
何となく気持ちも楽に…本当に心落ち着く会だ。混むけれど…

柳家小かじ:たらちね
柳家小満ん:関津富
柳家小満ん:五人廻し
柳家小満ん:試し酒

一席目は「関津富」。「津」と「富」が記憶に残っていたので、
上方の「高津の富」を思い出して、調べたら、江戸では「宿屋の富」。
おかしいな…と思っていたのだが、今朝、よく見たら「関津富」だった。
大違いである。お恥ずかしい。それでまた「富」の字が入っていると、
富くじの噺かと思ってしまうところが、全くの見当違いであり(バカだ…)、
文化・文政の頃の俳諧師で関津富(せきしんぷ)の逸話噺であった。
印象としては、狂歌で噺を進める「蜀山人」や「紫檀楼古木」に似ている。
つまりは、関津富の俳句が紹介されて、句作で窮地を乗り越えるという。
大酒飲みで、妻にも愛想を尽かされて、十年の間、旅に出ていたのだが、
無一文になって江戸へ戻ってくるけれど、行く先々で、句を詠んでは、
酒にありつける。「武者修行」という別名もあるそうだけど、それは、
剣術の道場へ武者修行に行くと、飯を食わせてもらえる上に、帰りに
草鞋銭も持たせてもらえると…道場を訪ねるのである。飲み食いをして、
さっさと引き上げようとするが、一勝負求められ、仕方なく木刀を握り、
竹刀で思い切り、頭を叩かれて、実はこうこう…とすべてを白状して、
御高名な関津富先生であるかと…一句を所望され、厚くもてなされる。
といった具合である。人生、何が起こるかわからない…と実に面白い。
何とかなるよ!で、うまくいくものかと…師匠のこういう噺は大好きだ。
今日の三席でも一番はまってしまった。小満ん師匠ならではの一席。
続いて「五人廻し」。こちらも師匠は古い速記を参照されているのでは?
他で聞いている「五人廻し」とは、いろいろと違っているところがあって、
一人目の荒っぽい江戸っ子だが、宵に済ませた勘定の明細を見て…
その値段は三円八十銭。その内の娼妓揚げ代金(玉代)は五十銭である。
寿司もとって、遣手のおばさんにすっかり食べられてしまったようだが、
吉原でとる寿司は、笹っ葉ばかりで、高くつく。それでみんなで箸を付け、
魚が乗った寿司は食べたことがないって…そういう愚痴が実にいい。
玉代が五十銭で、つまりオチに関係してくる…お大尽が出す金額も
四人分で二円ということ。他で聞く…いま多いのは、玉代は一円。
その他に若い衆の喜助どんにも五十銭を祝儀で、さらに喜瀬川も
五十銭を貰って、それをお大尽に返して、四人と一緒に帰っておくれ。
今回も感じたことではあるのだが、金額的には、明治かもしれないけれど
廓の風景は、完全に江戸を連想させ、やはり言葉選びに気を使われている。
登場した客とその順番に関しては、最初が吉原に詳しいと言い張る江戸っ子、
二人目が気持ちの悪い半可通、三番目が畳を上げて鼻をかんだ田舎者、
四番目が乃木大将の話を持ち出す軍人…そして五人目が金を出すお大尽だ。
仲入り後の三席目は「試し酒」である。マクラでやはり大酒飲みの李白の話。
難解な文書を読み解いて、時の帝に召し抱えられることになるのだけれど、
それ断わり、ただ酒を飲み続けられるようにと…それだけを望んだとか。
こういうところが、いかにも小満ん師匠なのだけど、噺への入り方が違う。
つまりは噺の印象も全く変わってくる。「試し酒」の中身の方は、他で聞くのと
ほとんど同じと思われるスタンダードな形なのだが、やはりこの噺は、
下男の久蔵が、武蔵野で野見尽くせない(飲み尽くせない)といわれる…
洒落た大杯で、五升の酒を飲む場面であり、見ても楽しい愉快な噺で、
そこは酒の噺は小満ん師匠は大得意なのであるから、とにかく最高だ!
ということで…少し先になるのだが、9月26日が横浜での小満んの会で
演目は「粗忽長屋」「お札はがし」「寝床」の三席。楽しみである!

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