« 東京の風景から 43~黒門町 | トップページ | 東京の風景から 44~小塚原 »

2014年9月15日 (月)

試作品で喜多八・小ゑん

早めに東京へ行って、日比谷線の三ノ輪から南千住まで
かつての小塚原(刑場跡)の辺りを歩いていたのだが、
再び日比谷線で仲御徒町まで戻ってきて、黒門町へ。
夕方からは落語協会にて、小ゑん・喜多八「試作品」。
小ゑん師匠の新しいCD(セルフの男・願い事や)を購入。

柳家喜多八:がまの油
柳家小ゑん:稲葉さんの大冒険
柳家喜多八:盃の殿様
柳家小ゑん:鉄寝床

今回は喜多八師匠から。この後、鈴本の夜席で、トリなので、
後半のネタは「盃の殿様」でお稽古だ。その辺のネタに関して、
鈴本のサイトで確認してみたら、なんと、喜多八師匠の終演時に、
緞帳の落下事故があったらしい。驚いた。もちろん怪我人はなく、
喜多八師匠もご無事なのだけど、連休でお客も多かっただろうし、
きっと大変だったのだろうな…って。でもトリで、深々と頭を下げて、
その目の前に緞帳が落ちてきたら、それは恐かったであろうと
それより少し間違えれば、大事故につながったわけで、ゾッとする。
緞帳が下りてくるわけだから、その下に頭はないわけなのだが…
喜多八師匠の一席目は、昔の見世物小屋の話題から「がまの油」。
がまの油売りの口上は、あの渋い声で、見事に決まるわけである。
それが打って変わって、昼酒で酔っぱらってしまって、グズグズに…
舌は回らず、呂律も回らず、その可笑しさといったらなかった。
小ゑん師匠も現在、新宿末廣亭で行われている先代馬生師匠の
三十三回忌追善興行の話題から、馬生師匠の思い出話にはじまり、
小さん師匠と馬生師匠の酒のやり取りで…それはまるで「長短」だと、
会場は大爆笑である。つまり馬生師匠は、静かで、穏やかで、
おっとりとした印象であり、酒を飲むので、食べなかったそうなのだ。
それに対して、有名だけど、小さん師匠はとにかく食べたわけで…
そんなところから、「名は体を表す」という話題になり、ここでお馴染み、
稲葉稔さんの登場。「稲葉さんの大冒険」である。稲葉さんが誰なのか…
それは調べてください!って、書かないけど、この噺は、圓丈師匠の作。
こういうことってあるな…という、ちょっと考えだすといろいろと気になり、
結局は何もできなくなってしまう。もちろんそこには性格があるわけで、
考えが及ぶ人と及ばない人、そして及び過ぎて、困ってしまう人と
いろいろ出てくるのだけど、ごく当たり前の日常で、些細なことにより
とんでもない事件に巻き込まれていくというのは、実にリアルな話だ。
この実感があっての面白さは、噺の中に入り込めているのであり、
大笑いの人は、そんなことないよ!って、ある程度、他人事なのかも。
どちらにしても稲葉さんの愛すべきキャラクターで何とも魅力的である。
仲入り後の喜多八師匠は、「盃の殿様」だ。江戸も戦のない時代になり、
ひ弱というか、神経質というか、何とも力の出ない…か細い殿様が
生まれてくるのだけど、久々の虚弱キャラ全開で、絶妙な印象という。
それに対して、植村弥十郎さんは、武骨で迫力のあるキャラなので
その対比で大笑い。御国表の九州から江戸へ三百里、道中付けは、
今回はじめて聞いた。京都から東海道を下り、江戸日本橋に着いて、
吉原まで行かないといけないので、さらにその先があるのが面白い。
トリは小ゑん師匠の「鉄寝床」。お馴染み「寝床」の改作である。
新作なので、あまり書けないが、「鉄」というのは、鉄道ネタであり、
特に今回は、鉄道模型(HOゲージ)のジオラマが!という噺である。
かなり忠実に「寝床」の噺の展開を取り入れながら、一方では、
台詞など、緻密に言葉を入れ替えていて、それはすごいのである。
印象としては、古典落語の「寝床」を強く意識させながらも…
噺は全く別の新作ともいえる…それはそれは、見事であった。
もちろん新作ファンも夢中だし、古典落語のマニアをも唸らせる、
丁寧にひと言ひと言を積み上げていく小ゑん師匠の職人技に
すっかりまいってしまった。「鉄寝床」は傑作だ。楽しかった。

|

« 東京の風景から 43~黒門町 | トップページ | 東京の風景から 44~小塚原 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121598/60323992

この記事へのトラックバック一覧です: 試作品で喜多八・小ゑん:

« 東京の風景から 43~黒門町 | トップページ | 東京の風景から 44~小塚原 »