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2014年10月 5日 (日)

柳家小満ん「在庫棚卸し」

小満ん師匠の「棚卸し」で、今月もお馴染みの荒木町へ。
生憎の雨だ。それも大雨である。台風が接近中であり、
これが明日ならば、さらにたいへんだったわけで、
無事に済んでよかった!今回も貴重品の三席である。

柳家小満ん「在庫棚卸し」第22回
柳家小満ん:呼び継ぎ
柳家小満ん:鶉衣
柳家小満ん:九州吹き戻し

今回ははじめて聞く噺を三席で、うれしくなってしまった。
一席目は、二十数年前の新作ということだそうだが、
おそらく骨董関係の雑誌に掲載された随筆ではないかと?
師匠がすぐに気に入られて、執筆者に掛け合って、早速に
落語に仕上げてしまったという…そんな話をされていたような。
障りのある噺ということだけど、男性は大笑いして、女性は…
見る見るうちに引いていくという、しかしこれが面白かった。
「呼び継ぎ」というのは、骨董の世界で、道具屋さんの用語か、
ここでは、徳利の口が欠けてしまい、そこを別の似たもので
補い、修復するということだそうだけど、出入りの六さんに
隠居さんが嫁を世話してやり、新婚旅行のお土産で、京都の
清水寺の三年坂にある道具屋さんで徳利を求めてきたのだが、
それが、少々不都合があって、現在、修理に出しているという。
つまりそれで呼び継ぎの話題が出てくるのだけど、徳利の欠陥と
六さんのおかみさんの間違いとが対比されて、それが大笑い。
目千両と…目が実にいい!と旦那は褒めていたけれど、それは
なんと付けマツゲで、六さんはゲジゲジと間違えて、叩き潰したり、
豊かな胸元だよ…といっていたのは、パットの三枚重ねで…
ある朝、メガネを掛けた知らないおばさんがいると思ったら、
かみさんは、実は普段、コンタクトを入れていた…などなど。
隠居が真面目に徳利の欠陥を、骨董用語を交えつつ説明すると
六さんも負けじと…かみさんには騙されたと抗議するのである。
骨董好きの小満ん師匠ならではだなって、専門用語もたくさんで
それを隠居さんの口から丁寧に説明させ、そこが実によかった。
こういう噺は大好きである。道具屋さん関係の話題は面白い。
続いて、鶉(ウズラ)の話題であり、おお!「鶉衣」来た…って、
これは、宇野信夫さんが圓生師匠のために書いた噺であり、
小満ん師匠は、圓生師匠のご次男さんとお知り合いだったそうで、
「鶉衣」を演りませんか…宇野信夫先生のご子息を紹介しますと
師匠は、許可を貰いに宇野家へ挨拶に行ったことがあると
以前、お話を聞いていた。なので、師匠が「鶉衣」を演るとのことは、
知っていたのだけど、今回、はじめて聞けた。圓生師匠の録音も
以前にちょっとだけ聞いたことはあるのだけど、すっかり忘れて、
でもなぜか…鶉を食べるな!というのは、鮮明に覚えていた。笑。
ここでのお侍(長屋で浪人暮らし)も真っ直ぐな人で、まるでそれは、
「井戸の茶碗」の千代田卜斎のようだけど、清く正しい…信念を貫き、
これぞ武士の鏡という清々しい心に触れられるのは、感動的である。
この鶉の一件によって、仕官が叶うという出世話もまた、おめでたい。
武士と町人、特に商人を対比させるということもあるのだろうけれど、
伊勢屋のわがまま娘でお糸というのが、急に改心して、賢くなる…
というのは、少々わざとらしい感じもするのだが、そこは噺である。
三席目は「九州吹き戻し」。筋は知っていたが、聞くのははじめて。
小満ん師匠は、二年ぐらい前にらくだ亭で演じていると記憶する。
いい暮らしをしていた若旦那が、道楽で店を潰し、幇間に成り下がり、
「幇間もち揚げての末の幇間もち」の展開であり、東海道から四国、
ついには九州へ…肥後熊本へとたどり着く。すっかり無一文になり、
無銭宿泊の宿屋で、そこの旦那がなんと昔の馴染みの人であり、
同じく江戸でしくじって、九州に流れ着いてきた…江戸者同士と
面倒を見てくれる。料理方を務め、馴染みを作り、稼ぎまくって、
ついに貯まった百両の金を手に、江戸へ戻ることを決意する。
熊本から船で、海上を江戸へ向かうのだが、嵐に見舞われ、
たどり着いたのは薩摩の桜島。ここで…江戸へは四百里、
熊本からは二百八十里、急ぎ過ぎて百二十里吹き戻された…
というオチだが、熊本から薩摩って、そんなにあるのか?謎。
嵐で時化(しけ)に…というところは、ちょうど今回の台風18号で
偶然か?急遽、準備をされたのか?わからないが、リアルである。
それにしても江戸から熊本へ、そして船の旅では流されて…という
スケールの大きい噺で、なかなか珍しい印象。「長崎の赤飯」と同様、
九州シリーズは、こんなことあるわけないよ!という噺の展開だが、
江戸からはそれだけの途方もない距離感であり、それこそが魅力!
あまりの突拍子なさではあるが、そこに引き込まれてしまうのである。
ということで、次回の「棚卸し」は11月2日(日)。もちろん予約済!

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