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2015年1月13日 (火)

第271回 柳家小満んの会

新年、最初の小満んの会だ。夕方から日本橋へ。
神田の駅前にある麺屋武蔵神山でらー麺を食べて、
急ぎ日本橋亭へ。あまり余裕がなかったので、
じっくり味わうことができなかった。ちょっと後悔。
もちもち太麺と分厚いトロトロ焼豚が絶品。
豚骨スープに魚介を合わせている。また行こう!

三遊亭わん丈:看板のピン
柳家小満ん:古事記談
柳家小満ん:幾代餅
柳家小満ん:二番煎じ

今年の最初の一席は「古事記談」。高座で古事記をお喋りするのは、
師匠の念願であったので、それがついに実現で、うれしくなってしまう。
西暦600年代って、飛鳥時代といったか?朝鮮半島の情勢を踏まえて
まずは歴史的背景から。「古事記」と「日本書紀」の違いなどを解説。
漢文の「日本書紀」に対して、大和言葉で書かれている「古事記」は、
すっかり忘れられていたのだが、復活させたのは、江戸時代中期の
本居宣長である。「古事記伝」という註釈書を書き上げたそうだ。
古事記の物語に入り、日本の国土の成立について、語られるけれど
この辺は、同じく師匠の「種の起源」における聖書の創世記を思い出し、
ヨーロッパにおける世界のはじまりと、それに対しての…日本における
考え方の違いは興味深くて、どちらも荒唐無稽な神話ではあるけれど
落語で聞くと親しみがわく。小満ん師匠の噺だと、すごく楽しく聞けた。
後半は、どこかで聞いて知っている…天照大御神の岩戸隠れであり、
太陽神である天照大御神が閉じこもってしまったので、高天原は、
暗闇に包まれてしまい、他の神々が岩戸の外で賑やかに踊り、
天照大御神を誘い出す。そこは実に賑やかな情景で、明るくて、
つい盆踊りか何かを思い出してしまうけれど、わかりやすかった。
師匠もこれを機会に古事記に興味をもってほしいと仰っていたが、
古事記を読む…となると、ちょっと私にはハードルが高そうである。
でも古事記についての解説本のようなものは探してみたくなった。
そして何より、師匠の「古事記談」はまた聞いてみたい。ぜひ横浜で。
古事記の内容は、まだいくらでも膨大な広がりがあるのであろうから、
ネタは尽きないし、噺の組み換えというのも可能なのであろう。期待!
二席目はお馴染みの「幾代餅」である。でもマクラ等、入り方が独特で
吉原の歴史から、名代の太夫の逸話など、太夫と呼ばれる花魁が、
いかに見識が高く、遠い存在であったのか…それがみっちり語られて、
つまりはここでの幾代大夫も会えるわけもないことを踏まえた上で
恋煩いの清蔵の場面に進むのだ。小満ん師匠の「幾代餅」には、
笑いを取ろうとするくどい演出、しつこい台詞はないし、さっぱりとして、
基本はスタンダードだけど、どこか違っているように聞こえてきた。
要するに清く、美しく描いて、ウソっぽい、わざとらしく映ることがないし、
ここでの清蔵さんは、ただ純朴で、真っ直ぐなだけなのだ。それがいい。
錦絵に恋煩いで、少々抜けているところもあるけれど、それゆえに
一年もの間、ひたすら働きまくるのであって、その正直なところが、
幾代の心を開かせた。この噺は、落語の中でも格別に清らかな噺だが、
そこを追及し過ぎない…正面から向き合っていれば、それでいいのだと
改めて気付かせる…小満ん師匠の「幾代餅」であった。いろいろ納得。
仲入り後は、こちらもお馴染みの「二番煎じ」である。素晴らしかった。
寒い外、凍えた体を火で暖めて、酒で温まり、猪鍋で心を温めて、
その温度差や体感の変化が実に伝わってくるのである。夜回りでは、
一緒に歩いて、寒さに震えるその感覚を何とも味わってしまうのであり、
それゆえに土瓶の酒と猪の肉では、心が暖まる。師匠で聞くならば
やはりもちろんではあったのだけど、葱で挟んで食べる猪の肉、
実においしそうで、焼けた味噌の香りが漂いそうな、たまらなかった。
それで最後のところだけど、火番小屋に見回りに来るお役人が、
またいいのである。厳しく恐そうだけど、その中身は融通が利いて、
この寒い夜に酒でもなければ、とてもやっていられない…というのが
あるのだろうが、これまで聞いた中でも、一番しびれたのであった。
このお役人が、煎じ薬にどういう反応を示すのか…その描き方で
「二番煎じ」という噺のすべてが決まると思うのである。とにかく最高!
終演後の外の寒さ、そこに出ていくのは、まさにここでの夜回りの気分。
でも実は、今日は比較的、寒さは和らいでいたようで…それでも寒い。
ということだが、今月は関内ホールが改装中で、横浜の会はなく、
次回の小満んの会は、やはり日本橋にて、3月13日なのである。
演目は「風の神送り」「偽御使僧」「夢金」の三席である。楽しみだ!
昨年の7月に続いて、「河内山宗春」の続編が登場である。期待。

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